似た意味を持つ「野暮用」(読み方:やぼよう)と「雑用」(読み方:ざつよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「野暮用」と「雑用」という言葉は、どちらも「いろいろな用事」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
野暮用と雑用の違い
野暮用と雑用の意味の違い
野暮用と雑用の違いを分かりやすく言うと、野暮用とは実務的な用事やつまらない用事を表し、雑用とはこまごまとした用事を表わすという違いです。
野暮用と雑用の使い方の違い
一つ目の野暮用を使った分かりやすい例としては、「退社する前に野暮用を済ませる」「野暮用で休日出勤しました」「ちょっと野暮用でお先に失礼します」「食事に誘ったら野暮用があると断られた」などがあります。
二つ目の雑用を使った分かりやすい例としては、「舞台裏の雑用係を買って出る」「面倒な雑用を押しつけられた」「雑用水利用を推進します」「雑用水槽の清掃を定期的に行う」「消耗品費と雑用は明確に分ける」などがあります。
野暮用と雑用の使い分け方
野暮用と雑用という言葉は、どちらも「種々のいろいろな用事」を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
野暮用とは、趣味や遊びのためではない実務上の用事を意味します。また、「野暮用でお先に失礼します」「野暮用があると断られた」のように、用向きをはっきりさせたくない時に、つまらない用事の意味でも用いられています。
雑用とは、こまごまとして雑多な用事を意味します。なすべき事ではあるけども、あまり重要でない用件というニュアンスがある言葉です。上記の例文にある「雑用係」とは、主な業務ではない、いろいろな仕事を担当する人のことです。
野暮用と雑用の英語表記の違い
野暮用を英語にすると「minor business」「some errands」となり、例えば上記の「野暮用を済ませる」を英語にすると「run some errands」となります。
一方、雑用を英語にすると「chore」「add job」「miscellaneous expenses」となり、例えば上記の「雑用係」を英語にすると「does chores」となります。
野暮用の意味
野暮用とは
野暮用とは、趣味や遊びではない、仕事上や付き合い上の用事を意味しています。
表現方法は「野暮用がある」「野暮用ができた」「野暮用を片付ける」
「野暮用がある」「野暮用ができた」「野暮用を片付ける」などが、野暮用を使った一般的な言い回しです。
野暮用の使い方
野暮用を使った分かりやすい例としては、「休みを返上して野暮用を片付ける」「野暮用があって英語のレッスンに参加できない」「野暮用があるから今は機械の使い方を教えられない」「ちょっと野暮用で帰ります」などがあります。
その他にも、「野暮用を思い出したので失礼します」「彼氏の野暮用に付き合わされる」「大切な用事は野暮用とは言わない」「彼女の野暮用って何だろう」「野暮用があるからとデートを断られた」などがあります。
野暮用という言葉の「野暮」とは、融通のきかないことや、言動が洗練されていないことを意味します。野暮用とは、取り立てて言う程ではないような実務上の用事や、何の変哲もないつまらない用事を表します。
野暮用とは、はっきりと言いたくない用事や、詮索されたくない用事に対して使われることが多い言葉です。誘いを断る時や、先に帰る時の理由をオープンにしたくない場合などにも用いられています。
野暮用の対義語
野暮用の対義語・反対語としては、大がかりな仕事を意味する「大事」、急いでしなければならない任務や仕事を意味する「急務」などがあります。
野暮用の類語
野暮用の類語・類義語としては、勤務する会社などの用務を意味する「公用」、ちょっとした用事を意味する「小用」、世間の煩わしい務めを意味する「俗務」などがあります。
雑用の意味
雑用とは
雑用とは、こまごました、いろいろの用事を意味しています。
その他にも、「こまごましたものの費用、雑費」の意味も持っています。
雑用の読み方
雑用の読み方は「ざつよう」の他に「ぞうよう」がありますが、一般的には「ざつよう」と読まれています。
表現方法は「雑用を頼まれる」「雑用をこなす」「雑用係」
「雑用を頼まれる」「雑用をこなす」「雑用係」などが、雑用を使った一般的な言い回しです。
雑用の使い方
「仕事が雑用ばかりでやりがいを感じられない」「再生水を雑用水として使用する」「英語スクールの雑用係を任されています」「雑用チェーンを通販で買う」「就活では雑用を率先してやるとアピールした」などの文中で使われている雑用は、「いろいろの用事」の意味で使われています。
一方、「当てはまる勘定科目がないときは雑用に分類する」「英語教室の雑用は月に数万円です」「雑用が大きいと経理上好ましくない」などの文中で使われている雑用は、「こまごましたものの費用」の意味で使われています。
雑用という言葉は、上記の例文にあるように二つの意味がありますが、日常会話においては「いろいろの用事」の意味で使われています。雑用という言葉の「雑」とは、入り混じることや異なる事物が数多いことを表します。
「雑用水道」の意味
雑用という言葉を用いた日本語には「雑用水道」があります。雑用水道とは、人の飲用を用途目的に含めない水道の総称です。消火用、清掃用、水洗便所用など、飲用水道とは別に設ける水道を指します。
雑用の対義語
雑用の対義語・反対語としては、急ぎの用事を意味する「急用」、主要な用事を意味する「主用」などがあります。
雑用の類語
雑用の類語・類義語としては、本来の仕事以外のいろいろな用事を意味する「雑事」、自分個人の用事を意味する「私用」、こまごましたいろいろの用務を意味する「雑務」などがあります。
野暮用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、仕事上やつきあい上の用事を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある野暮用とは、取るに足らない些細な用事の意味で使われています。例文4のように、野暮用という言葉は、わざわざ用事の内容を説明する必要性がない場合に用いられることがあります。
例文5では、仕事上の用事の意味で使われていますが、若い世代では野暮用という言葉を使うことが少なくなっているために通じにくくなっています。
雑用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、雑多な用事、雑費を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の文中にある雑用は、こまごました雑多な用事の意味で使われています。例文5の文中にある雑用は、主要な用途以外のこまごました費用の意味で使われています。
野暮用と雑用という言葉は、どちらも「いろいろな用事」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、実務的な用事や内容をはっきり言いたくない用事を表現したい時は「野暮用」を、種々のこまごました用事を表現したい時は「雑用」を使うようにしましょう。