似た意味を持つ「門出」(読み方:かどで)と「船出」(読み方:ふなで)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「門出」と「船出」という言葉は、どちらも「新しい生活を始めること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
門出と船出の違い
門出と船出の意味の違い
門出と船出の違いを分かりやすく言うと、門出とは生活に密着した事柄に使われ、船出とは生活だけでなくビジネスに関した事柄にも使われるという違いです。
門出と船出の使い方の違い
一つ目の門出を使った分かりやすい例としては、「あなたの人生の門出に際してエールを送ります」「甥の門出を祝福する結婚祝いを用意する」「新入生の門出にふさわしい晴天です」「北海道への門出を見送った」などがあります。
二つ目の船出を使った分かりやすい例としては、「穏やかな朝の船出は気持ちがいい」「出港の際に船出の歌が流れる」「新たな船出を祝う声が寄せられた」「お二人の人生の船出を祝福します」「新しい内閣は前途多難の船出となった」などがあります。
門出と船出の使い分け方
門出と船出という言葉は、どちらも「新しい生活を始めること」を表し、結婚式などで用いられるプラスイメージの言葉です。この意味では二つの言葉に大きな違いはありませんが、語源の違いから使い方には少し違いがあります。
門出とは、家の門を出て出発することから、新しい生活を始めることを意味します。家の門に由来する言葉のため、生活に密着した事柄である結婚や就職など、ライフステージの変化に際して使われることが多い傾向にあります。
船出とは、船が港を出ることに由来し、新しい生活を始めることや新しい物事を始めることの意味で使われています。門出と同じようにライフステージの変化に際して用いられていますが、「新しい内閣は前途多難の船出となった」のようにビジネスシーンで使われることが多くあります。
つまり、門出は生活に密着した事柄に使われることが多い言葉であり、船出は生活に関してだけでなくビジネスに関する事柄にも使われることに二つの言葉の違いがあります。
門出と船出の英語表記の違い
門出を英語にすると「threshold」「departure」となり、例えば上記の「人生の門出に際して」を英語にすると「at the threshold of one’s life」となります。
一方、船出を英語にすると「putting out to sea」「sailing」となり、例えば上記の「朝の船出」を英語にすると「departure of a ship in the morning」となります。
門出の意味
門出とは
門出とは、旅などのために、自分の家を出発することを意味しています。
その他にも、「新しい生活を始めること」の意味も持っています。
表現方法は「門出を祝う」「門出を祝う」「門出を祈る」
「門出を祝う」「門出を祝う」「門出を祈る」などが、門出を使った一般的な言い回しです。
門出の使い方
「夜更けの門出を見送る」「いつでも門出が出来る状態です」「門出する前に雑用を片付けておく」などの文中で使われている門出は、「旅などで自分の家を出発すること」の意味で使われています。
一方、「結婚する二人の門出を祝うメッセージを考える」「人生の門出にふさわしい歌を選ぶ」「就職して門出の時を迎える」「社会人としての門出を祝う」などの文中で使われている門出は「新しい生活を始めること」の意味で使われています。
門出は「首途」とも書く
門出は「首途」とも書きますが、一般的には「門出」と表記されています。門出の読み方は、以前は「かどいで」とも読みましたが、現在では「かどで」に統一されています。
門出の由来
門出の由来は、文字通り「家の門を出ること」にあります。家を出発して旅に出ることを意味しますが、転じて、新しい生活を始めることや、新たな道に進むことを表すようになりました。今では後者の意味で用いられることが多く、特に結婚式や入学式などのお祝いの場で使われています。
門出という言葉は、土佐日記や更級日記などの古典でも登場します。昔は、旅に出る前に吉日や吉方を選んで、仮に家を出て近くに移る習わしがあり、それを門出と言いました。
ことわざ「乞食にも門出」の意味
門出を用いたことわざには、「乞食にも門出」があります。どんなにつまらない者でも、門出に際してはそれなりの祝い事をすることであり、門出の時には相応の式作法があることのたとえになっています。
門出の対義語
門出の対義語・反対語としては、目的地などに行きつくことを意味する「到着」、帰りつくことを意味する「帰着」、最終目的に達することを意味する「ゴール」などがあります。
門出の類語
門出の類語・類義語としては、目的地に向かって出かけることを意味する「出発」、旅に出発することを意味する「出立」、旅に出ることや出発することを意味する「旅立ち」、新しく始まることや始めることを意味する「スタート」などがあります。
船出の意味
船出とは
船出とは、船が港を出ることを意味しています。
その他にも、「新しい生活などを始めること」の意味も持っています。
表現方法は「新たな船出」「新しい船出」「船出を祝う」
「新たな船出」「新しい船出」「船出を祝う」などが、船出を使った一般的な言い回しです。
船出の使い方
「漁師たちが夜明け前から船出の準備をしている」「船出の時を見極めるのは船長の役目です」「船出の絵をリビングに飾る」「昼下がりの船出をイラストにしました」などの文中で使われている船出は、「船が港を出ること」の意味で使われています。
一方、「転職する友人の新たな船出を祝う」「憧れの英語教師として船出を切る」「この地方には祝いの席で歌われる船出の歌があります」などの文中で使われている船出は、「新しい生活などを始めること」の意味で使われています。
船出という言葉の原義は、船が目的地に向かって港から出発することですが、比喩的に用いて、新しい生活のスタートも意味します。前述した門出と同じように、結婚式などのお祝い事や新しい物事を始めるときに用いられています。
船出を用いた有名な古典の一節には、「雲の気色はなはだ悪しといひて、船出ださずなりぬ」があります。これは紀貫之の土佐日記の一文で、現代語訳にすると「雲の様子がとても悪いと言って船を出さないことになった」という意味になります。
船出の対義語
船出の対義語・反対語としては、船が港に入ることを意味する「入港」、航海中の船が途中の港に立ち寄ることを意味する「寄港」、行事や催物などが終わりになることを意味する「閉幕」などがあります。
船出の類語
船出の類語・類義語としては、船や飛行機が出発することを意味する「出航」、船が港を出ることを意味する「出帆」、船が港を出ることや港を出てゆく船を意味する「出船」、船が港を出ることを意味する「出港」、時期がきて物事が始まることを意味する「開幕」などがあります。
門出の例文
この言葉がよく使われる場面としては、旅などのために自分の家を出発すること、新しい生活を始めることを表現したい時などが挙げられます。
例文1の文中にある門出は「自分の家を出発すること」の意味で、例文2から例文5にある門出は「新しい生活を始めること」の意味で用いられています。
船出の例文
この言葉がよく使われる場面としては、船が港を出ること、新しい生活などを始めることを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある船出は、船が港を出ることの意味で用いられています。例文3から例文5の船出は「新しい生活などを始めること」の意味で用いられています。例文4にある「船出を切る」の意味は、新しく物事を始めることであり、「スタートを切る」と言い換えることが出来ます。
門出と船出という言葉は、どちらも「新しい生活を始めること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、生活に密着した変化を表現したい時は「門出」を、生活に密着した変化やビジネス上の変化を表現したい時は「船出」を使うようにしましょう。