似た意味を持つ「切磋琢磨」(読み方:せっさたくま)と「砥礪切磋」(読み方:しれいせっさ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「切磋琢磨」と「砥礪切磋」という言葉は、どちらも「学問や人徳を磨き上げること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
切磋琢磨と砥礪切磋の違い
切磋琢磨と砥礪切磋の意味の違い
切磋琢磨と砥礪切磋の違いを分かりやすく言うと、切磋琢磨とは仲間と高め合って努力するニュアンスがあり、砥礪切磋とは一人で努力するニュアンスがあるという違いです。
切磋琢磨と砥礪切磋の使い方の違い
一つ目の切磋琢磨を使った分かりやすい例としては、「切磋琢磨し合う仲間の存在は大切です」「優秀な同僚と仕事で切磋琢磨する」「チームメイトと切磋琢磨し合う」「良きライバルとして互い切磋琢磨してきました」などがあります。
二つ目の砥礪切磋を使った分かりやすい例としては、「高みを目指して砥礪切磋する」「受賞は自分なりに砥礪切磋した結果です」「幅広い業務に対応できるよう砥礪切磋していきます」「砥礪切磋で合格を勝ち取る」などがあります。
切磋琢磨と砥礪切磋の使い分け方
切磋琢磨と砥礪切磋という言葉は、どちらも「学問や人徳を磨き上げること、努力すること」を意味しますが、ニュアンスには違いがあります。
切磋琢磨とは、学問や徳を修めるために努力を重ねること、友人同士で励まし合い競い合って向上することを意味します。「切磋琢磨し合う仲間」「同僚と切磋琢磨する」のように、誰かとお互いを高め合うことのニュアンスで使われる言葉です。
砥礪切磋とは、学問や技芸、あるいは自らの人格を高めるために努力することを意味します。切磋琢磨のような、誰かと励まし合ったり競い合ったりする意味合いはなく、自分一人で努力するニュアンスがあります。
切磋琢磨と砥礪切磋の英語表記の違い
切磋琢磨も砥礪切磋も英語にすると「discipline」「work hard」「study hard」となり、例えば上記の「切磋琢磨し合う」を英語にすると「work hard together」となります。
切磋琢磨の意味
切磋琢磨とは
切磋琢磨とは、学問や人徳をよりいっそう磨き上げること、友人同士が互いに励まし合い競争し合って共に向上することを意味しています。
表現方法は「切磋琢磨させる」「切磋琢磨できる」「共に切磋琢磨」
「切磋琢磨させる」「切磋琢磨できる」「共に切磋琢磨」などが、切磋琢磨を使った一般的な言い回しです。
切磋琢磨の使い方
切磋琢磨を使った分かりやすい例としては、「切磋琢磨して仕事に取り組む」「英語検定に向けて友達と切磋琢磨する」「学生同士で切磋琢磨させる狙いがあります」「チーム内で切磋琢磨し合う雰囲気があります」などがあります。
その他にも、「ライバルと切磋琢磨しながら成長する」「切磋琢磨の効果は大きいものです」「ビジネススクールで切磋琢磨できる仲間に出会った」「共に切磋琢磨できる環境をつくる」「お互い切磋琢磨しながら頑張る」などがあります。
切磋琢磨という言葉の「切」は刻む、「磋」は研ぐ、「琢」は打つ、「磨」は磨くを表します。切磋琢磨とは、石や玉などを磨くように学問、技芸、人間性などを磨き上げることを意味する言葉です。特に、仲間同士で互いに戒め合い、励まし合い、競い合って向上することの意味も用いられています。
切磋琢磨の由来
切磋琢磨という四字熟語の由来は、中国で最も古い詩歌集「詩経」にあります。この中に「有匪君子、如切如磋、如琢如磨」とあり、骨を切るように、象牙を研ぐように、玉を打つように、石を磨くように、自己研鑽に励む優れた君子がいたと記されています。
切磋琢磨の対義語
切磋琢磨の対義語・反対語としては、ものぐさで何もしないことのたとえを意味する「横の物を縦にもしない」、怠けておろそかにすることを意味する「怠慢」、すべきことを故意に怠けることを意味する「横着」などがあります。
切磋琢磨の類語
切磋琢磨の類語・類義語としては、学問などを深く究めることを意味する「研鑽」、物事の本質をさぐって見極めようとするを意味する「探求」、きびしい訓練や修養を積んで技芸や心身を強く鍛えることを意味する「鍛錬」などがあります。
砥礪切磋の意味
砥礪切磋とは
砥礪切磋とは、学問や技芸などを高めようと努力することを意味しています。
砥礪切磋の使い方
砥礪切磋を使った分かりやすい例としては、「将来を見据えて砥礪切磋する」「結果を出せるまで砥礪切磋していきます」「砥礪切磋して数多くの四字熟語を覚えた」「英語教師になりたくて砥礪切磋しました」などがあります。
その他にも、「たゆまぬ砥礪切磋が大事です」「言志録に出てくる砥礪切磋という言葉が好きです」「祖父は退職後も砥礪切磋しています」「若い頃に砥礪切磋してパソコンの使い方を覚えました」「若者の砥礪切磋が報われる社会にしよう」などがあります。
砥礪切磋の「砥礪」とは砥石のことであり、研ぎ磨くことや努め励むことを表します。「切磋」とは、骨や角などを切ったり磨いたりする意味から、学問に励み徳義を磨いたり、努力を重ねることを表します。砥礪切磋とは、自らの技量や人格を高めるために努力することを意味する四字熟語です。
砥礪切磋の由来
砥礪切磋の由来は、江戸時代の著名な儒学者である佐藤一斎が記した「言志録」にあります。その59条に「砥礪切磋の地に非ざるは莫し」とあり、徳を積み学問を励ます糧となるものを表しています。
砥礪切磋の対義語
砥礪切磋の対義語・反対語としては、怠けることや怠るたることを意味する「懈怠」、面倒くさがり怠けることを意味する「懶惰」、何もしないでぶらぶらしていることを意味する「無為」などがあります。
砥礪切磋の類語
砥礪切磋の類語・類義語としては、学問や技芸などが向上するように心身を厳しく鍛えることを意味する「修練」、学問や技芸を磨くため努力して学ぶことを意味する「修行」、技能が上達するように訓練することを意味する「腕を磨く」などがあります。
切磋琢磨の例文
この言葉がよく使われる場面としては、学問や道徳などを磨き上げること、仲間同士互いに戒めあい競いあって向上することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、切磋琢磨とは、お互いを高め合うことの意味で用いられることが多いプラスイメージの言葉です。
砥礪切磋の例文
この言葉がよく使われる場面としては、学問に励み、人間性を養って大成することを目指すことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「砥礪切磋」は、学問に励むことを表し、例文2にある「砥礪切磋」は道徳的基準から見た人の性質を高めることを表しています。
切磋琢磨と砥礪切磋という言葉は、どちらも「学問や人徳を磨き上げること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、仲間同士で励まし合い競い合って磨き上げることを表現したい時は「切磋琢磨」を、自分一人で磨き上げることを表現したい時は「砥礪切磋」を使うようにしましょう。