【食指】と【食思】と【食欲】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「食指」(読み方:しょくし)と「食思」(読み方:しょくし)と「食欲」(読み方:しょくよく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「食指」と「食思」と「食欲」という言葉は、食べたいという気持ちを表す時に使うという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




食指と食思と食欲の違い

食指と食思と食欲の意味の違い

食指と食思と食欲の違いを分かりやすく言うと、食指は人差し指を表現する時に使い、食思は食べたいと思えない時に使い、食欲は食べたい時にも使うという違いです。

食指と食思と食欲の使い方の違い

食指という言葉は、「彼女の食指が動くのは珍しい」「他者の食指を動かすにはそれ相応の頑張りが必要だ」などの使い方で、人差し指を意味します。

食思という言葉は、「食思不振に陥ってから何日かが経った」「食思不良を訴える彼にお粥を作った」などの使い方で、食欲や食い気を意味します。

食欲という言葉は、「子どもたちの食欲が旺盛で困っている」「食欲がわかないまま夜を迎えてしまったため今日一日何も食べていないことになる」などの使い方で、何かを食べたいを思う気持ちを意味します。

食指と食思と食欲の使い分け方

食思と食欲はどちらも、食べたいという欲求を表す言葉ですが、前者は状態が悪い場合に使われることがほとんどで、後者は状態がいい時を表す場合にも使うことができます。

そのため、「食欲旺盛」という使い方はできますが、「食思旺盛」という使い方はほとんどなされませんが、「食思不振」という言葉を「食欲不振」と言い換えることはできます。

一方の食指という言葉は、本来人差し指を意味するため、何かを食べたいという欲求を意味する言葉ではありません。「食指が動く」という表現が食欲が起きることを意味するため、誤って認識されていることがあります。

これが、食指、食思、食欲の明確な違いです。

食指の意味

食指とは

食指とは、人差し指を意味しています。

食指は、中国語で人差し指を意味する言葉で、食べ物を掴む際に必ず使う指であることからこの名が付きました。

「食指が動く」の由来

食指を使った言葉として、「食指が動く」があります。これは、食欲が起こることを意味する故事成語で、『春秋』という歴史書に書かれた出来事が由来となりました。

当時、すっぽんを献上された子公の人差し指が動き、この反応が起きる時はご馳走にありつけると言ったことから、「食指が動く」ことが美味しいものにありつけるため、食欲が起こることを意味するようになりました。

この食欲が出るという意味が転じて、興味や関心を持つことや、その物をほしいと思うことも意味するようになりました。

「食指が伸びる」「食指がわく」「食指がそそられる」は誤り

そのため、「食指が伸びる」「食指がわく」「食指がそそられる」などの使い方は間違いで、「食指が動く」「食指が動かない」などの使い方をします。

食思の意味

食思とは

食思とは、食欲や食い気を意味しています。

表現方法は「食思不振」「食思低下」「食思減退」

食思を使った言葉として、「食思不振」「食思低下」「食思減退」などがあります。

どれも、食べ物を食べていないのにも関わらずお腹が空かない状態であったり、食事が進まない状態を指します。

食思は医療分野や介護分野などで使われる

また、「食思不振症」が存在することから医療分野や介護分野などで使われる言葉であり、日常生活ではあまり使われることがない言葉です。

食思よりも食欲を使うのが一般的

口頭での会話であれば、同音の「食指」と混同される可能性もあるため、日常会話や一般企業などでのビジネスシーンにおいては「食欲」という言葉が使われることがほとんどです。

食欲の意味

食欲とは

食欲とは、何かを食べたいを思う気持ちを意味しています。

食欲の読み方

食欲は「しょくよく」という読み方をしますが、「じきよく」という読み方をすることもできます。ただし、この場合は仏教用語の食べ物に対する欲望を表す言葉となります。

表現方法は「食欲がない」「食欲をそそる」「食欲をそそられる」

「食欲がない」「食欲をそそる」「食欲をそそられる」などが、食欲を使った一般的な言い回しです。

食欲を使った言葉として、「食欲の秋」「食欲異常」があります。

「食欲の秋」の意味

一つ目の「食欲の秋」とは、春夏秋冬のうち、秋が最も食欲が増す季節であることを意味する言葉です。

日照時間が短くなると必然的に人間が太陽の光を浴びる時間も短くなります。そうなると、満腹感を感じさせるセロトニンの分泌量が減ると言われており、空腹を感じるようになり、食欲が増すと言われています。

「食欲異常」の意味

二つ目の「食欲異常」とは、食べたいという気持ちを失ったり、食べても食べても満腹感を得られなかったりなどの状態を指す言葉です。後者はいわゆる「過食症」に当たります。

食欲の類語

食欲の類語・類義語としては、食べたいと思う気持ちを意味する「食い気」、どうしても食べたいと思う気持ちを意味する「食い意地」があります。

食指の例文

1.食指が動くような豪華な料理を目の前にしているものの、仕事で立て込んでいるため今はまだ冷めるのを眺めることしかできていない。
2.彼の食指を動かすための提案をするために事前調査を念入りに行ったことが功を奏したか、どれも好評だったため心の中でガッツポーズをした。
3.離乳食を食べることができるようになった息子は、離乳食に食指が動かないのか、わざわざ手作りしなければ食べてくれなかった。

この言葉がよく使われる場面としては、人差し指を意味する時などが挙げられます。

例文のように「食指が動く」や「食指が動かない」などの使い方で食指という言葉を、欲望に関する言葉として使うことができます。

食思の例文

1.ストレスのせいか食思不振に陥り、ここ最近食事が楽しくなくなってしまった話を上司にしたらゆっくり休むように言われた。
2.食思低下もあって家族にも心配されたが、翌日には元気になっており、寝不足だったのかもしれないと反省した。
3.今後も食思の減退が進むようであれば病院へ行くように勧められたが、実際行ってみたら病の早期発見に繋がったこともあるため侮れない。

この言葉がよく使われる場面としては、食欲や食い気を意味する時などが挙げられます。

食べたくとも食べれない、食べたいという気持ちがわかない時に使われることが多い言葉です。どの食思という言葉も、食欲という言葉に置き換えて使うことができます。

食欲の例文

1.自宅の玄関を開けて中へと入った瞬間、食欲をそそられるような匂いがして、今日の晩御飯は何かと考え始めた。
2.夏になり暑さがピークを迎えたころに食欲が落ちてしまったが、脱水状態にならないように水分だけは欠かさず摂取していた。
3.友人がダイエットをしているようで、何とか食欲を抑える方法を試していたが、こちらまでご飯がマズくなりそうで見ていられなかった。

この言葉がよく使われる場面としては、何かを食べたいを思う気持ちを意味する時などが挙げられます。

どの例文の食欲という言葉も、悪い状態を表すために使われていないため、食指という言葉に置き換えて使うことができません。

食指と食思と食欲どれを使うか迷った場合は、人差し指を表す場合は「食指」を、食べたいと思えない場合は「食思」を、食べたい場合は「食欲」を使うと覚えておけば間違いありません。

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