似た意味を持つ「励行」(読み方:れいこう)と「徹底」(読み方:てってい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「励行」と「徹底」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
励行と徹底の違い
励行と徹底の意味の違い
励行と徹底の違いを分かりやすく言うと、励行とは決めたことを実行すること、徹底とは最後まで貫き通すことという違いです。
励行と徹底の使い方の違い
一つ目の励行を使った分かりやすい例としては、「服装や頭髪に関する規律を励行させる」「全校をあげて挨拶励行に取り組みます」「普段から時間励行を心掛けています」「手指消毒の励行をお願いします」などがあります。
二つ目の徹底を使った分かりやすい例としては、「水質汚染の徹底的な調査に乗り出した」「携帯電話の料金を徹底比較したサイトだ」「現場の声を徹底取材します」「徹底的に英語を勉強するつもりです」「セキュリティ対策を徹底させる」「LGBT教育が徹底しない」などがあります。
励行と徹底の使い分け方
励行と徹底という言葉は、物事を推し進める時に用いられ、混同して使われる傾向がありますが、意味は大きく異なります。
励行とは、「励み行うこと」であり、自分が決めたことや、ルールとして決められたことを厳格に実行することを意味します。上記の例文にある「手指消毒の励行」とは、各人が手指を消毒することがルールとしてあり、それをきちんと実行することを表します。
徹底とは、「奥底まで貫き通すこと」です。「徹底的に英語を勉強する」のように使われ、行動や態度などが始めから終わりまで貫き通すことや、「対策を徹底させる」のように、物事がすみずみまで行き届くことを意味します。
励行と徹底の英語表記の違い
励行を英語にすると「strict observance」「strict enforcement」となり、例えば上記の「規律を励行させる」を英語にすると「enforce discipline」となります。
一方、徹底を英語にすると「thoroughness」「completeness」となり、例えば上記の「徹底的な調査」を英語にすると「a thorough investigation」となります。
励行の意味
励行とは
励行とは、決めたこと、決められたことをその通りに実行することを意味しています。
励行の読み方
励行の読み方は「れいこう」です。「げいこう」「れいぎょう」などとの読むことは誤読になります。
表現方法は「励行させる」「励行される」「挨拶励行」「時間励行」
「励行させる」「励行される」「挨拶励行」「時間励行」などが、励行を使った一般的な言い回しです。
励行の使い方
励行を使った分かりやすい例としては、「昼食後の歯みがきを励行する」「毎朝、英語の書き取りを励行する」「情操教育の観点から子どもの読書活動を励行する」「クールビズの励行は義務化するものではない」などがあります。
その他にも、「従業員に社内ルールを励行させる」「一人一人が感染予防を励行してください」「安全装置の正しい使い方を励行させる」「守秘義務を確実に励行することを徹底します」「アイドリングストップが励行されるようになった」などがあります。
励行は「厲行」とも書きますが、常用漢字を用いた「励行」と表記することが一般的です。まれに「励行う」と間違って送り仮名を付けることがありますので、注意しましょう。
励行の意味は、「自分で決めたこと、規則などで決められたことをきちんと実行すること」になります。「励」は訓読みで「はげむ」「はげます」と読み、力をこめて行うことや、相手を力づけてやらせることを表します。したがって、単にやるのではなく熱心にやるというニュアンスを伴う言葉です。
励行の対義語
励行の対義語・反対語としては、法規や契約などにそむくことを意味する「違反」、法律や規則に反することを意味する「反則」、他人の言動などを受け入れないで強く否定することを意味する「反発」などがあります。
励行の類語
励行の類語・類義語としては、法律や習慣を守り従うことを意味する「遵守」、法律や教えなどを尊重して従うことを意味する「遵奉」、法律や意見などに逆らわないでその通りにすることを意味する「従う」などがあります。
徹底の意味
徹底とは
徹底とは、中途半端でなく一貫していることを意味しています。
その他にも、「すみずみまで行き届くこと」の意味も持っています。
表現方法は「徹底する」「徹底攻略」「徹底解説」
「徹底する」「徹底攻略」「徹底解説」などが、徹底を使った一般的な言い回しです。
徹底の使い方
「彼は徹底した金儲け主義だね」「わき目も振らずに徹底的に取り組む」「英語を徹底攻略するためのテキストです」「徹底点検TOKYOサポートチームが飲食店を訪問する」「感染防止徹底点検済証を発行する」などの文中で使われている徹底は、「一貫していること」の意味で使われています。
一方、「生徒に手洗いやマスクの着用を徹底させる」「上司の指示が徹底しないのは問題だ」「英語の習得を徹底させるカリキュラムです」「法令遵守を徹底させる」「業務連絡が徹底していない」などの文中で使われている徹底は、「すみずみまで行き届くこと」の意味で使われています。
徹底の「徹」は、貫き通すこと、とことんまで行き届くこをを表し、「底」は物の下部や奥深いところを表します。徹底という言葉の語源はこれらの漢字にあり、「底まで貫き通ること」が原義となっています。
態度や行動などが中途半端でなく一貫していること、物事などがすみずみまで行き渡ることを表す時に用いられています。
仏教用語「大悟徹底」の意味
徹底を用いた仏教用語には「大悟徹底」があります。一切の迷いをたちきって悟りにも滞らないこと、悟りきって絶対の真理と一体になることを意味します。
徹底の対義語
徹底の対義語・反対語としては、物事のやり方が中途半端で十分に行き届かないことを意味する「不徹底」、気のくばり方や注意が足りないことを意味する「不行き届き」、足りないところのあることや完全でないことを意味する「不十分」などがあります。
徹底の類語
徹底の類語・類義語としては、思想や雰囲気などが次第に広い範囲に行きわたることを意味する「浸透」、しっかりと根づくことを意味する「定着」、広く行き渡ることや行き渡らせることを意味する「普及」などがあります。
励行の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その決めを破らないように努めることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「挨拶励行」とは、挨拶を進んで行うことを意味し、学校や職場のスローガンなどに掲げられている言葉です。例文3の「飲水励行」の意味は、水を飲むことを取り決めて、それを行うことです。
徹底の例文
この言葉がよく使われる場面としては、底まで貫き通ること、物のすみずみまで行き届くこと、中途半端でなく一貫していることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「徹底抗戦」とは、対抗する相手に対して手を緩めたり、こちらの主義や態度を変えることなく戦い続けることを意味します。例文5の「徹底的」とは、どこまでも一貫して行うさまを表します。
励行と徹底という言葉は、似ていますが意味は大きく異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、決めたことやルールをきちんと実行することを表現したい時は「励行」を、行動や態度が一貫していることや物事が行き届くことを表現したい時は「徹底」を使うようにしましょう。