似た意味を持つ「蛇足」(読み方:だそく)と「余談」(読み方:よだん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「蛇足」と「余談」という言葉は、どちらも余計な話を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
蛇足と余談の違い
蛇足と余談の意味の違い
蛇足と余談の違いを分かりやすく言うと、蛇足とは無駄な話や行為を表し、余談とは本筋から外れた話を表すという違いです。
蛇足と余談の使い方の違い
一つ目の蛇足を使った分かりやすい例としては、「彼はいつも話の最後に蛇足を添える」「蛇足ながら最後に一言述べさせてください」「蛇足ながら申し上げます」「君の企画書のこのグラフは蛇足だから外した方がいい」などがあります。
二つ目の余談を使った分かりやすい例としては、「余談はさておき本題に入りましょう」「話が余談になり失礼しました」「これ余談なんですけどドラマの最終回を見逃しました」「余談ですが、英語は話せますか」などがあります。
蛇足と余談の使い分け方
蛇足と余談という言葉は、どちらも「蛇足ですが」「余談ですが」などの言い回しで、自分の話を余計な話だとへりくだる時に用いられています。二つの言葉は似た表現で使われていますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
蛇足とは、付け加える必要のないものや、無駄なことを意味する故事成語です。「蛇足ですが」とは、不要なことかもしれないけれど、伝えておきたいことを表します。また、上記の例文にある「このグラフは蛇足だ」のように無駄なものや、余計な行為などにも用いられる言葉です。
余談とは、本筋から外れた話を意味し、本題との直接的な関係がない雑談を指します。「余談ですが」とは、それまでの話と変わって本筋から外れた雑談をする際の前置き表現です。話に関して使われる言葉であり、蛇足のように物事や行為に対して使うことは出来ません。
つまり、蛇足とは無駄な話の意味合いが強く、余談とは本筋とは違う話の意味合いが強い言葉です。また、蛇足は話だけでなく物事や行為に対して使われますが、余談は話のみに使われる言葉です。これらが、蛇足と余談という言葉の違いになります。
蛇足と余談の英語表記の違い
蛇足を英語にすると「redundancy」「superfluity」「useless addition」となり、例えば上記の「蛇足を添える」を英語にすると「add something superfluous」となります。
一方、余談を英語にすると「parenthesis」「digression」となり、例えば上記の「余談はさておき」を英語にすると「to cut short this digression」となります。
蛇足の意味
蛇足とは
蛇足とは、付け加える必要のないもの、無用の長物を意味しています。
蛇足の読み方
蛇足の読み方は「だそく」です。誤って「じゃそく」「へびあし」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「蛇足ですが」「蛇足ながら」「蛇足になりますが」
「蛇足ですが」「蛇足ながら」「蛇足になりますが」などが、蛇足を使った一般的な言い回しです。
蛇足の使い方
蛇足を使った分かりやすい例としては、「蛇足ですが、一言お話しさせてください」「蛇足ながら付け加えさせていただきます」「蛇足になりますが、私事のご報告をさせていだだきます」「話の最後に蛇足を加える」「この説明は蛇足に過ぎないので省きます」などがあります。
その他にも、「なぜか年齢を聞かれたけど、蛇足ではないか」「この場で昔の話をすることは蛇足でしょう」「この書き下し文には蛇足がありますね」「あなたのお金の使い方には蛇足が多い」「セールだからと蛇足な物を買ってしまった」などがあります。
蛇足の由来
蛇足という言葉は、中国の史書「戦国策」に由来します。古代中国の楚の国で、蛇の絵を速く書く競争がありました。この競争のなかで、最初に描き上げた者が調子にのって足まで描いてしまい、蛇に足はないという理由から結局は負けてしまいました。
この故事から、蛇足とは、余計な付け足しや、あっても役に立たずに邪魔になるものを意味する故事成語になりました。現在では「蛇足ですが」「蛇足ながら」の言い回しで、何か話を付け加える時に謙遜する気持ちを表現する言葉としても用いられています。
蛇足の対義語
蛇足の対義語・反対語としては、最後に付け加える肝心な部分のことや物事の最も大切な部分のことを意味する「画竜点睛」、ぜひ必要なことを意味する「不可欠」、必ず用いるべきことや欠かせないことを意味する「必須」などがあります。
蛇足の類語
蛇足の類語・類義語としては、役に立たないことを意味する「無駄」、必要な度を超えて無駄なことを意味する「余計」、いらないことを意味する「無用」、必要や予定より多いことを意味する「余分」、程度や限度を超えていることを意味する「過分」などがあります。
余談の意味
余談とは
余談とは、用件以外の話、本筋を離れた話を意味しています。
表現方法は「余談となりますが」「余談になりますが」「余談はさておき」
「余談となりますが」「余談になりますが」「余談はさておき」などが、余談を使った一般的な言い回しです。
余談の使い方
余談を使った分かりやすい例としては、「余談なんですけど聞いてください」「余談ですが、かまいたちの芸風は好きですか」「余談ではあるが、英語のビジネスメールの書き方を伝えておきます」などがあります。
その他にも、「ところで余談ですが、英語は話せますか」「余談が許されない緊迫した議論の場でした」「余談ですが、ビジネスメールを整理していますか」「余談なんですけど、お昼は牛丼にしようかと思います」などがあります。
余談という言葉の「余」は、直面しているものから外れた部分を表し、「談」は、あることについて話をすることを表します。余談とは、話の内容の事柄と少しは関連しているものの、本筋からは外れた雑談を意味する言葉です。
「余談ですが」の意味
「余談ですが」という言い回しは、本筋ではない話に切り替えることを明確にして、たわいもない話を続ける場合に使われています。ビジネスの場においても用いられる表現で、話のメリハリをつけて場を和ませる効果があります。
余談の対義語
余談の対義語・反対語としては、中心となる題目や議論の眼目を意味する「本題」、中心となる題目や問題を意味する「主題」、討議や研究などで問題として取りあげる事柄を意味する「題目」、本来の筋道を意味する「本筋」などがあります。
余談の類語
余談の類語・類義語としては、話や行為が本筋から横道にそれることを意味する「脱線」、本筋から外れた方向を意味する「脇道」、本筋からはずれた筋道を意味する「横道」、役に立たないおしゃべりを意味する「無駄話」、用もないことをベラベラしゃべることを意味する「駄弁」などがあります。
蛇足の例文
この言葉がよく使われる場面としては、余計なもの、あっても何の役に立たないもの、不必要なもの、無用の長物を表現したい時などが挙げられます。
例文1の「蛇足になりますが」とは、余計な話かもしれないことを意味し、へりくだって話をする場合に用いられる言い回しです。例文2や例文3の蛇足は、「あっても役に立たないもの」の意味で、例文4や例文5の蛇足は、「余計なもの」の意味で用いられています。
余談の例文
この言葉がよく使われる場面としては、用件以外の話、本筋を離れた雑談を表現したい時などが挙げられます。
余談という言葉は、例文1から例文4のように、話の前置きに使われ、何ら役に立たないだろう話であったり、単なる雑談であることを表明します。
蛇足と余談という言葉は、どちらも余計な話を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、無駄な話や行為を表現したい時は「蛇足」を、本筋から逸れた話を表現したい時は「余談」を使うようにしましょう。