似た意味を持つ「シュール」と「カオス」と「ナンセンス」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「シュール」と「カオス」と「ナンセンス」という言葉は、理解の範疇を超えることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
シュールとカオスとナンセンスの違い
シュールとカオスとナンセンスの意味の違い
シュールとカオスとナンセンスの違いを分かりやすく言うと、シュールは奇抜な様子を表現する時に使い、カオスは雑然とした様子を表現する時に使い、ナンセンスは無意味である様子を表現する時に使うという違いです。
シュールとカオスとナンセンスの使い方の違い
シュールという言葉は、「シュールな絵柄に惹かれてファンになった」「自分のこの姿がなんともシュールに感じた」などの使い方で、非現実的な、奇抜な様子を意味します。
カオスという言葉は、「脳内がカオスすぎて落ち着く時間がほしい」「カオスな家の中をいい加減片付けなければと感じている」などの使い方で、混沌としていてぐちゃぐちゃとしている様子を意味します。
ナンセンスという言葉は、「彼の話はナンセンスで面白い」「ナンセンスな提案に一度時が止まったような感覚さえした」などの使い方で、無意味であることを意味します。
シュールとカオスとナンセンスの使い分け方
シュールもナンセンスはどちらも、一般的なものとは異なるものに対して使う言葉ですが、前者は奇抜なものや突拍子もないようなことに対して使い、後者は面白さを感じるものの意味をなさないようなものに対して使います。
一方のカオスは、整っておらずぐちゃぐちゃな様子を指すため、シュールやナンセンスとは大きく異なります。
これが、シュール、カオス、ナンセンスの明確な違いです。
シュールの意味
シュールとは
シュールとは、非現実的な、奇抜な様子を意味しています。
シュールの語源
シュールはフランス語の「シュールレアリスム」または「シュルレアリスム」という芸術思想を指す言葉で、ダリ、シャガールなどの画家をはじめ、詩人も存在していました。
「レアリスム」は英語で言う「リアリズム」で現実主義を意味する言葉で、「シュール」は程度が普通以上である「超」を意味として付与する接頭語です。
1924年に発表された『シュルレアリスム宣言』では、別の存在が身体に乗り移り、肉体が支配されているかのように自身の意識とは関係なしに動作を行う現象を指すオートマティスムや自動筆記のように、様々な先入観から離れた思考の書き取りと定義されました。
シュールの由来
1990年代末あたりから、日本のメディアでは「シュール」という言葉が、無意識的な深層心理が感じ取っている現実ではなく、常識には反していることや現実離れしていることを意味する言葉として使われるようになりました。
表現方法は「シュールだね」「シュールすぎる」「シュールな絵面」
「シュールだね」「シュールすぎる」「シュールな絵面」などが、シュールを使った一般的な言い回しです。
シュールの類語
シュールの類語・類義語としては、筋道が通らないことを意味する「不条理」、誇張表現が加わって現実にはありえないことを意味する「絵空事」、無理があることを意味する「不自然」、変わっていておかしい様子を意味する「珍妙」などがあります。
カオスの意味
カオスとは
カオスとは、混沌としていてぐちゃぐちゃとしている様子を意味しています。
カオスの由来
本来は、ギリシア神話において世界の始まりに存在した原初の神とされており、からっぽの空間を意味を持ちます。このカオスからガイアなどが生まれて世界が始まったと『神統記』には記載されており、天地が創り出される前の混沌を示すようになりました。
それが転じて、英語の「chaos」では無秩序状態や混乱状態を意味するようになり、日本では若者言葉としてぐちゃぐちゃとした状態を表す言葉として使われるようになりました。
「カオス論」の意味
カオスを使った言葉として、「カオス論」があります。これは、初期状態が少し違うだけで今後非常に大きな違いが生まれ、やがて混沌とした状態が生まれる考え方で、正確には予測ができない現象が存在することを論じたものです。
表現方法は「カオスすぎる」「カオスな状況」「カオスな画像」
「カオスすぎる」「カオスな状況」「カオスな画像」などが、カオスを使った一般的な言い回しです。
カオスの対義語
カオスの対義語・反対語としては、秩序があり調和のとれた様子を意味する「コスモス」、整っている様子を意味する「整然」、飾り気や無駄なところがなく簡素な様子を意味する「シンプル」などがあります。
カオスの類語
カオスの類語・類義語としては、物事が入り乱れて整理がつかなくなることを意味する「混乱」、複雑に入り混じり見通しがつかないことを意味する「混迷」、ばらばらでまとまりのないことを意味する「支離滅裂」などがあります。
ナンセンスの意味
ナンセンスとは
ナンセンスとは、無意味であることを意味しています。
また、間違っていることや問題があることに対してもナンセンスという言葉が使われることもありますが、本来ナンセンスという言葉にはそういった意味はありません。
表現方法は「ナンセンスだ」「ナンセンスな質問」「ナンセンスな人」
「ナンセンスだ」「ナンセンスな質問」「ナンセンスな人」などが、ナンセンスを使った一般的な言い回しです。
ナンセンスを使った言葉として、「ナンセンスコメディー」「ナンセンス文学」があります。
「ナンセンスコメディー」の意味
一つ目の「ナンセンスコメディー」とは、だじゃれなどの他愛のない笑いを売り物にする喜劇を指す言葉です。舞台や映画、アニメのジャンルにも存在しており、どうでもいいような話で視聴者を笑わせるような作品となっています。
「ナンセンス文学」の意味
二つ目の「ナンセンス文学」とは、文法や文脈など何かしら理解可能な形を保っているものの語調などに不条理な要素を加える文学を指す言葉で、ノンセンス文学とも言われています。
ナンセンスの類語
ナンセンスの類語・類義語としては、馬鹿馬鹿しい話を意味する「戯言」、価値がなくつまらないことを意味する「無意味」、用もないことをべらべらと話すことを意味する「駄弁」、論じる価値もないようなことを意味する「論外」などがあります。
シュールの例文
この言葉がよく使われる場面としては、非現実的な、奇抜な様子を意味する時などが挙げられます。
例文1のように、相手に対してシュールという言葉を使う場合は、褒め言葉として捉えられないこともあります。
カオスの例文
この言葉がよく使われる場面としては、混沌としていてぐちゃぐちゃとしている様子を意味する時などが挙げられます。
今日では若者言葉の一つとして使われることが多いため、例文のように使う場合にはビジネスシーンなどにおいて目上の人に使う言葉として適していません。
ナンセンスの例文
この言葉がよく使われる場面としては、馬鹿馬鹿しいことや、無意味であることを意味する時などが挙げられます。
例文1のように他者の考えを悪く言う使い方もありますが、例文2や例文3のように面白いという意味で使われることもあります。
シュールとカオスとナンセンスどれを使うか迷った場合は、奇抜な様子を表す場合は「シュール」を、雑然とした様子を表す場合は「カオス」を、無意味である様子を表す場合は「ナンセンス」を使うと覚えておけば間違いありません。