似た意味を持つ「憚られる」(読み方:はばかられる)と「憚る」(読み方:はばかる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「憚られる」と「憚る」という言葉は、どちらも遠慮したり躊躇うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「憚られる」と「憚る」の違い
「憚られる」と「憚る」の意味の違い
「憚られる」と「憚る」の違いを分かりやすく言うと、「憚られる」とは自分を下げる表現がある、「憚る」とは自分を下げる表現がないという違いです。
「憚られる」と「憚る」の使い方の違い
一つ目の「憚られる」を使った分かりやすい例としては、「部長に意見をするのは憚られるのですが申し上げます」「この場は意見するのも憚られる雰囲気があった」「意見を述べるのも憚られるのですが、一言よろしいでしょうか」などがあります。
二つ目の「憚る」を使った分かりやすい例としては、「彼は世間体を憚る」「誰にも憚ることなく自由に生きています」「憎まれっ子世に憚る」「君は憚るという言葉を知らないのか」「人目を憚る必要はありません」などがあります。
「憚られる」と「憚る」の使い分け方
「憚られる」と「憚る」はどちらも同じ意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「憚られる」は「憚る」に「られる」がついたことにより自分を下げるというニュアンスが加わり、自分の立場を下げて遠慮する場合に使う言葉です。一方、「憚る」はただ単純に遠慮する場合に使う言葉なので、自分を下げるというニュアンスがないというのが違いになります。
また、「憚る」は幅をきかせたり、威張ることという正反対の意味も持っているのいうも違いの一つです。
「憚られる」と「憚る」の英語表記の違い
「憚られる」も「憚る」も英語にすると「hesitate」「be afraid」となり、例えば上記の「人目を憚る必要はありません」を英語にすると「You need not fear be afraid of what others may say」となります。
「憚られる」の意味
「憚られる」とは
「憚られる」とは、遠慮したり躊躇うことを意味しています。
表現方法は「外出が憚られる」「口に出すのも憚られる」
「外出が憚られる」「口に出すのも憚られる」などが、「憚られる」を使った一般的な言い回しになります。
「憚られる」の使い方
「憚られる」を使った分かりやすい例としては、「ローカル歌手というには憚られるほど彼女の名前は売れてきています」「新人の私が言うのも憚られるのですが、一言申し上げます」「今回の試験の結果は話すことも憚られる」などがあります。
「憚られる」は躊躇うことや遠慮することを意味する「憚る」に、自分の立場を下げて敬意を表すことを意味する「られる」が合わさり、自分の立場下げて遠慮したり躊躇うことを意味する言葉です。
「憚られる」はビジネスシーンと日常生活のどちらでも使われています。ビジネスシーンでは主に、目上の人に対して何か意見をする時やお願いする時に使います。また、相手に対して遠慮や配慮の姿勢を示す時にも使うことが可能です。
「憚られる」の類語
「憚られる」の類語・類義語としては、決心が着かずにぐずぐずすることを意味する「躊躇われる」、差し出がましい言動をする時に使う言葉を意味する「出過ぎたことですが」、あれこれ迷って決心できないことを意味する「躊躇する」などがあります。
「憚る」の意味
「憚る」とは
「憚る」とは、差し当たりを覚えて躊躇うことを意味しています。その他にも、幅をきかせたり、威張ることの意味も持っています。
表現方法は「憚ることなく」「憎まれっ子世に憚る」
「憚ることなく」「憎まれっ子世に憚る」などが、「憚る」を使った一般的な言い回しになります。
「憚る」の使い方
「彼女は周りを憚ることなく大声で叫びました」「自己紹介する時は憚る必要はありません」などの文中で使われている「憚る」は、「差し当たりを覚えて躊躇うこと」の意味で使われています。
一方、「憎まれっ子世に憚るということわざは有名です」「彼は他人に対してすぐ憚る」などの文中で使われている「憚る」は、「幅をきかせたり、威張ること」の意味で使われています。
「憚る」は差し当たりを覚えて躊躇うこと、幅をきかせたり、威張ることなど複数の意味を持つ言葉ですが、一般的に使われているは差し当たりを覚えて躊躇うことの意味なります。
そのため、「憚る」は差し当たりを覚えて躊躇う場合に使う言葉と覚えておいて問題ないでしょう。
あまり使われていない幅をきかせたり、威張ることの意味は、「はばかる」という音が「幅」と似ているため、使われるようになったと言われています。また、こちらの意味は「憎まれっ子世に憚る」ということわざで使うことがほとんです。
「憎まれっ子世に憚る」の意味
「憎まれっ子世に憚る」とは人に憎まれるような者がかえって世間では幅をきかせることを意味しています。
「憚る」の類語
「憚る」の類語・類義語としては、 人に対して言葉や行動を慎み控えることを意味する「遠慮する」、実際以上に自分がすぐれていると思い込んで得意になることを意味する「自惚れる」、他人の思惑などに気をつかうことを意味する「気兼ねする」などがあります。
「憚られる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、遠慮したり躊躇うことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「憚られる」はビジネスシーンにおいても使うことができます。
「憚る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、差し当たりを覚えて躊躇うことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、幅をきかせたり、威張ることを表現したい時にも使います。
例文1から例文4の「憚る」は差し当たりを覚えて躊躇うこと、例文5の「憚る」は幅をきかせたり、威張ることの意味で使っています。
「憚られる」と「憚る」はどちらも遠慮したり躊躇うことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、自分を下げる表現があるのが「憚られる」、自分を下げる表現がないのが「憚る」と覚えておきましょう。