似た意味を持つ「壮絶」(読み方:そうぜつ)と「凄絶」(読み方:せいぜつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「壮絶」と「凄絶」という言葉は、どちらも「程度が激しいこと」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
壮絶と凄絶の違い
壮絶と凄絶の意味の違い
壮絶と凄絶の違いを分かりやすく言うと、壮絶とは勇ましいさまを表し、凄絶とは恐ろしいさまを表すという違いです。
壮絶と凄絶の使い方の違い
一つ目の壮絶を使った分かりやすい例としては、「関ケ原の戦いで壮絶な最期を遂げた戦国武将です」「壮絶な人生を送った人ならではの名言である」「オリンピック選手の壮絶人生を描いた映画が話題になっている」などがあります。
二つ目の凄絶を使った分かりやすい例としては、「凄絶な癌との戦いを綴った闘病日記です」「中学時代に凄絶ないじめを受けていました」「実は職場で凄絶なパワハラを受けています」「凄絶な戦いを描いた戦争映画です」などがあります。
壮絶と凄絶の使い分け方
壮絶と凄絶という言葉は、どちらも物事の程度がはなはだしい様子を表し、「壮絶な最期」「凄絶な最期」のように似たような表現しますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
壮絶とは、非常に勇ましい様子を意味します。上記の例文にある「壮絶な最期」とは、勇敢な死にざまであることを表しています。一方、凄絶とは、非常に凄まじく恐ろしいさまを意味します。「凄絶な最期」となると、この上ない恐怖を覚えるような死にざまや、苦しむ最期を表します。
つまり、壮絶とは勇ましいというポジティブなニュアンスを持ち、凄絶とは恐ろしいというネガティブなニュアンスを持つ言葉なのです。
壮絶は「壮絶なパワハラ」「壮絶なイジメ」のような間違った使い方で、凄絶と同じような意味で使われることがありますす。このような使い方は誤用になるので、壮絶という言葉の本来の意味には、恐ろしいというニュアンスはないことを覚えておきましょう。
壮絶と凄絶の英語表記の違い
壮絶を英語にすると「courageous」「heroic」「brave」となり、例えば上記の「壮絶な最期を遂げる」を英語にすると「die heroically」となります。
一方、凄絶を英語にすると「fierce」「savage」「sublime」となり、例えば上記の「凄絶な戦い」を英語にすると「a fierce battle」となります。
壮絶の意味
壮絶とは
壮絶とは、きわめて勇ましく激しいことを意味しています。
表現方法は「壮絶な人生」「壮絶な戦い」「壮絶な過去」
「壮絶な人生」「壮絶な戦い」「壮絶な過去」などが、壮絶を使った一般的な言い回しです。
壮絶の使い方
壮絶を使った分かりやすい例としては、「息子には、たくましく壮絶な人生を送って欲しいです」「壮絶な人生とは、どのようなものだろうか」「屈強で壮絶な世界のスター選手たちである」などがあります。
その他にも、「馬と神輿の壮絶な戦いが見物のお祭りです」「日本の偉人の壮絶な人生を英語に訳す」「壮絶な荒波模様がデザインされた半纏です」「隠居した祖父は、壮絶な過去をひけらかすことなどなかった」などがあります。
壮絶という言葉の「壮」は勢いが盛んであること、意気に燃えていることを表し、「絶」は この上ない様子を表します。壮絶とは、他に類をみないほど勇ましく激しいことを意味する言葉です。
「壮絶ないじめ」「壮絶な被災体験」は誤り
しかし、壮絶という言葉は本来の意味ではなく、誤った意味で使われることが多くあります。「壮絶ないじめ」「壮絶な被災体験」などは誤った使い方の一例で、「想像を絶すること」「凄まじい」「悲惨」といった意味で使われています。
例えば「壮絶な人生」とは、本来は「勇ましく意気さかんな人生」というポジティブな意味になります。しかし、誤って「浮き沈みの激しい人生」「見聞きに耐えられない悲惨な人生」のようなネガティブな意味で捉えられる傾向があります。
壮絶という言葉は、受け止められ方が辞書の意味とかけ離れてしまう可能性があるので、使用する時には注意しましょう。
壮絶の対義語
壮絶の対義語・反対語としては、気が小さくびくびくしているさまを意味する「小心翼翼」、態度や気性が柔弱であることを意味する「女々しい」、気が弱いことを意味する「気弱」、気が小さいことや度胸がないことを意味する「小胆」などがあります。
壮絶の類語
壮絶の類語・類義語としては、度胸があって恐れを知らないことを意味する「大胆不敵」、勇ましいさまを意味する「雄雄しい」、意気が盛んで激しいことを意味する「壮烈」、勇ましく元気なことを意味する「勇壮」、悲しい中にも雄々しく立派なところがあることを意味する「悲壮」などがあります。
凄絶の意味
凄絶とは
凄絶とは、非常に凄まじいこと、そのさまを意味しています。
凄絶の読み方
凄絶の読み方は「せいぜつ」です。誤って「そうぜつ」「さいぜつ」などと読まないようにしましょう。
凄絶の使い方
凄絶を使った分かりやすい例としては、「歴史に残る凄絶な戦いが繰り広げられた」「凄絶な光の彼方に戦闘機は消えてしまった」「調査により凄絶なセクハラの実態が明るみになる」「実父からの凄絶な虐待が明るみになった」などがあります。
その他にも、「その英語教師は留学先で凄絶ないじめにあっていたそうです」「裏では凄絶な争いが起きていたようだ」「効果のある塗り薬のおかげで凄絶なアトピーが治りました」「我が家では凄絶な嫁姑戦争が繰り広げられています」などがあります。
凄絶とは、息をのむほどすさまじい様子や、ぞっとする凄まじいさまを意味する言葉です。凄絶という言葉の「凄」は、訓読みで「すさまじい」と読み、程度がはなはだしいさまや、恐怖を感じさせるほどものすごいことを表す漢字です。
凄絶は、恐ろしいという意味合いを持つ言葉であるため、マイナスイメージを伴います。
「凄絶な戦い」の意味
上記の例文にある「凄絶な戦い」とは、非常に恐ろしく、凄まじい戦いを意味します。
凄絶の対義語
凄絶の対義語・反対語としては、静かでのどかなさまを意味する「穏やか」、無事平穏なことを意味する「平安」、無事で安らかなことを意味する「安泰」、他からの影響がなく平穏なことを意味する「無風」などがあります。
凄絶の類語
凄絶の類語・類義語としては、勢いが強くはげしいさまを意味する「猛烈」、力や刺激が強く激しいことを意味する「強烈」、すさまじくて激しいさまを意味する「凄烈」、きわめてはげしいことを意味する「激烈」、見聞きに耐えられないほどいたましいことを意味する「悲惨」などがあります。
壮絶の例文
この言葉がよく使われる場面としては、きわめて壮烈なさま、勇ましく意気盛んなさまを表現したい時などが挙げられます。
壮絶とは、上記の例文にあるように、本来はプラスイメージを伴う言葉です。
凄絶の例文
この言葉がよく使われる場面としては、息をのむほど凄まじい様子を表現したい時などが挙げられます。
凄絶とは、上記の例文にあるように、マイナスイメージのある言葉です。
壮絶と凄絶という言葉は、どちらも「ものすごいさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、非常に勇ましいさまを表現したい時は「壮絶」を、非常に恐ろしいさまを表現したい時は「凄絶」を使うようにしましょう。