似た意味を持つ「不易流行」(読み方:ふえきりゅうこう)と「温故知新」(読み方:おんこちしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不易流行」と「温故知新」という言葉は、どちらも「新しいものと古いものの価値」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
不易流行と温故知新の違い
不易流行と温故知新の意味の違い
不易流行と温故知新の違いを分かりやすく言うと、不易流行とは新しいものを取り入れる大切さを表し、温故知新とは古いものを見直す大切さを表すという違いです。
不易流行と温故知新の使い方の違い
一つ目の不易流行を使った分かりやすい例としては、「不易流行の理念で斬新なアイデアも取り入れたい」「運営方針に不易流行を掲げるクラブチームです」「時代に流されず不易流行の精神を貫きたい」などがあります。
二つ目の温故知新を使った分かりやすい例としては、「温故知新の精神こそが人類の知恵です」「温故知新の心構えで日本史を研究しています」「昔の思想を研究することで現代思想がよく分かる、まさに温故知新ですね」などがあります。
不易流行と温故知新の使い分け方
不易流行と温故知新という言葉は、どちらも新しいものと古いものの価値に言及した四字熟語ですが、意味や使い方には違いがあります。
不易流行とは、古くから受け継がれてきた事柄を踏まえつつ、一方では新しいものを取り入れることが大切だとする考えです。また、古いものも新しいものも両方が大切だ、という意味で使われることもあります。
温故知新とは、昔のことを詳しく調べて、そこから新しい知識や道理を見つけ出すことを意味します。「論語」に由来する言葉であり、孔子は、先人の知恵に学び新しい見識をひらくことが大事であると説きました。
つまり、二つの言葉は新旧どちらも大切であるという価値観があります。ただし、不易流行は新しい価値を取り入れることの大切さ強調した表現であり、温故知新は古いものの価値を見直すことの大切さを強調した表現である点に大きな違いがあります。
不易流行と温故知新の英語表記の違い
不易流行を英語にすると「immutability」「changelessness」となり、例えば上記の「不易流行の理念」を英語にすると「the idea of immutability」となります。
一方、温故知新を英語にすると「visiting old, learn new」「learning from the past」となり、例えば上記の「温故知新の精神」を英語にすると「the spirit of learning from the past」となります。
不易流行の意味
不易流行とは
不易流行とは、本質的なものを忘れない中にも新しく変化をも取り入れていくこと、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であることを意味しています。
不易流行の使い方
不易流行を使った分かりやすい例としては、「不易流行という考えは英語教育でも重要です」「教育現場における不易流行を考える」「不易流行とは松尾芭蕉が示した俳諧の理念です」「三冊子の不易流行を現代語訳にしてください」などがあります。
その他にも、「不易流行を意識したビジネスモデルです」「不易流行の精神でチャレンジし続けます」「不易流行の原理はあらゆる物事に通じます」「社長は不易流行を座右の銘にしています」などがあります。
不易流行の「不易」は、世の中が変わっても変わらないもの、変えてはいけないもの、「流行」は世の中の変化とともに変わっていくものを表します。不易流行とは、変わらないものを基本にしつつ、状況に応じて柔軟に変わっていくことが大切であることを意味する四字熟語です。
不易流行は、蕉風俳諧の理念の一つです。新しみを求めて変化していく流行性こそが、実は永遠に変わることのない不易の本質であり、不易と流行は根元的に結合すべきであるとするものです。松尾芭蕉自身が説いた文献はありませんが、門弟の「去来抄」や「三冊子」に記されています。
不易流行の対義語
不易流行の対義語・反対語としては、その時々の社会が好む嗜好に応じた一時的な新しさのことを意味する「一時流行」、ファッションの流行や経済変動の動向などを意味する「トレンド」などがあります。
不易流行の類語
不易流行の類語・類義語としては、価値などが長年にわたり変化しないことを意味する「千古不易」、価値を保ったまま永久に残ることを意味する「百世不磨」、永久に変わらないことを意味する「万世不易」などがあります。
温故知新の意味
温故知新とは
温故知新とは、過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくことを意味しています。
温故知新の使い方
温故知新を使った分かりやすい例としては、「温故知新というから歴史の勉強は重要です」「温故知新の精神で先人の教えを学びたい」「考古学は温故知新の意味がわかりやすい学問です」などがあります。
その他にも、「アイデアは温故知新というように昔の発想に潜んでいる」「今年度の生徒会スローガンは温故知新に決まりました」「座右の銘を聞かれたら温故知新と答えています」などがあります。
温故知新とは、古いことや昔の出来事を調べたり考えたりして、そこから新しい知識や道理を見つけ出すことを意味する四字熟語です。「温」という漢字には、たずね求めるという意味があります。
温故知新の由来
温故知新という言葉の由来は、孔子の言行録「論語」の為政篇にあります。「子曰、温故而知新」とあり、書き下し文は「故きを温ねて新しきを知る(ふるきをたずねてあたらしきをしる)」と訓読します。先人たちの思想や学問を研究するよう述べた言葉です。
温故知新の類語
温故知新の類語・類義語としては、古い事柄を顧みて新しい問題を考察することを意味する「覧古考新」、先人の事業を受け継ぎ発展させながら未来を切り開くことを意味する「継往開来」などがあります。
不易流行の例文
この言葉がよく使われる場面としては、伝統を踏まえつつ、一方では新しいものを取り入れることが大切であることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、不易流行という言葉は、企業理念や学校教育の指針、あるいは座右の銘として用いられています。
温故知新の例文
この言葉がよく使われる場面としては、昔のことを研究して、そこから新しい知識や道理を見つけ出すことを表現したい時などが挙げられます。
例文4や例文5のように、温故知新という言葉は、社訓や座右の銘に用いられることの多い四字熟語です。
不易流行と温故知新という言葉は、どちらも「新しいものと古いものの価値」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、新しいものを取り入れることの大切さを表現したい時は「不易流行」を、古いものを見直すことの大切さを表現したい時は「温故知新」を使うようにしましょう。