似た意味を持つ「自主性」(読み方:じしゅせい)と「主体性」(読み方:しゅたいせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「自主性」と「主体性」という言葉は、どちらも「自ら進んで行動する姿勢」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
自主性と主体性の違い
自主性と主体性の意味の違い
自主性と主体性の違いを分かりやすく言うと、自主性とは決められたことを進んで行う態度、主体性とはやるべき事を考え進んで行う態度という違いです。
自主性と主体性の使い方の違い
一つ目の自主性を使った分かりやすい例としては、「子どもたちの自主性を尊重する教育に賛同します」「部下の自主性を高める方法を模索しています」「自己PRでは自主性よりも主体性をアピールした方がいい」などがあります。
二つ目の主体性を使った分かりやすい例としては、「社員の主体性を高めることは会社の成長に繋がります」「主体性や自律性の育成は人格形成の核となります」「主体性がない人とは仕事をしたくありません」などがあります。
自主性と主体性の使い分け方
自主性と主体性という言葉は、どちらも自ら率先して事にあたる性質を表し、プラスイメージの言葉ですが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
自主性とは、他者からの指示を受ける前に、自ら率先してやるべきことを行う態度や性質を意味します。例えば、ルーチン業務をやるように上司から言われる前に、自分から進んで行う積極的な姿勢を「自主性がある」と言います。
主体性とは、自分の意志や判断によって、自ら行動しようとする態度や性質を意味します。例えば、ルーチン業務の問題点に気付いた際に、その改善案を自分で考え実行に移そうとする姿勢は、「主体性がある」と言えます。
つまり、自主性は決められたことを進んで行う態度であり、主体性はやるべきことを自分で考えて行う態度のことです。自主性と主体性を比べると、やるべきことが決まっておらず目標や目的から設定する主体性の方が、責任が伴う次元の高い言葉だと言えるでしょう。
自主性と主体性の英語表記の違い
自主性も主体性も英語にすると「autonomy」「independence」となり、例えば上記の「自主性を尊重する」を英語にすると「respect independence」となります。
自主性の意味
自主性とは
自主性とは、他に頼らず、自ら率先してやるべきことを行う態度や性質を意味しています。
表現方法は「自主性を育てる」「自主性を高める」「自主性を身につける」
「自主性を育てる」「自主性を高める」「自主性を身につける」などが、自主性を使った一般的な言い回しです。
自主性の使い方
自主性を使った分かりやすい例としては、「子どもの自主性を育てるコツを教えてください」「本校は自主性を重んじる学校です」「自主性を大事にしながら英語力をアップさせる」「自主性がない部下に困っています」などがあります。
その他にも、「社員の自主性と責任感を育てることがポイントです」「自主性を引き出すには見守ることです」「改めて自主性の大切さを痛感する」「自主性を持つにはどうしたらよいですか」「生徒の自主性と主体性を向上させたい」などがあります。
自主性という言葉の「自主」は、他人の保護や干渉を受けないで、独立して事を行なうことを表します。物事に備わった性質を表す「性」と結びつき、自主性とは、他に頼らず、自分の力で考えたり行なったりすることのできる性質を意味します。
例えば、学校で掃除の時間となり、先生や他の生徒に言われなくても、自らが進んで清掃道具を取り出して掃除を始めた生徒は「自主性がある」と言えます。反対に、掃除の時間になっても掃除を始めようとせず、先生の指示を待つような生徒は「自主性がない」と言います。
自主性の対義語
自主性の対義語・反対語としては、他からの働きかけを受け入れる性質を意味する「受動性」、他に頼って存在または生活することを意味する「依存」などがあります。
自主性の類語
自主性の類語・類義語としては、他の力や支配を受けないで自力でやっていこうとする心構えを意味する「自立心」、他人に依存しないでひとり立ちしようとする心を意味する「独立心」などがあります。
主体性の意味
主体性とは
主体性とは、自分の意志や判断で行動しようとする態度を意味しています。
表現方法は「主体性を高める」「主体性を身につける」「主体性を持つ」
「主体性を高める」「主体性を身につける」「主体性を持つ」などが、主体性を使った一般的な言い回しです。
主体性の使い方
主体性を使った分かりやすい例としては、「学生時代に主体性を持って取り組んだことは何ですか」「主体性を持つためにはビジョンを明確にすることです」「英語弁論では主体性を重んじています」などがあります。
その他にも、「学校行事を通して主体性を育成する」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を評価します」「転職の自己PRで主体性があることをアピールする」「主体性がない女性にイライラします」などがあります。
主体性という言葉の「主体」は、意志に基づいて行動したり、作用を他に及ぼしたりするものを表します。そのような性質を表す「性」と結び付き、主体性とは、他人の意見や指示に頼らず、自分自身の考えをもとに取り組もうとする姿勢を意味します。
例えば、ゴミが散らばっている教室を見て片付けた方が良いと考え、掃除の時間ではないのに自ら掃除を始める行いは、主体性のある行動です。
主体性の対義語
主体性の対義語・反対語としては、自分から進んで物事をしないさまを意味する「消極的」、自分の意志からでなく他に動かされてするさまを意味する「受動的」、相手の意思を無視して威力などによって無理にさせるさまを意味する「強制的」などがあります。
主体性の類語
主体性の類語・類義語としては、物事を自分から進んで行うさまを意味する「自発的」、物事を進んでするさまを意味する「積極的」、自分から他へはたらきかけるさまを意味する「能動的」などがあります。
自主性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自らが率先して行動する性質を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある自律性と自主性の違いは、自らで考え行動を起こすことが自律性であることに対し、自主性は決められた事柄を自ら率先して取り組むことであり、やるべきことを自分で考えるか予め決まっているかにあります。
主体性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 行動する際に自分の意志や判断に基づいて自覚的であることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「主体性を発揮する」とは、自分の意志に基づいて行動する能力を十分に働かせることです。
自主性と主体性という言葉は、どちらも「自ら進んで行動するさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、決められたことを進んで行動するさまを表現したい時は「自主性」を、自分で考えて進んで行動するさまを表現したい時は「主体性」を使うようにしましょう。