似た意味を持つ「然り」(読み方:しかり)と「その通り」(読み方:そのとおり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「然り」と「その通り」という言葉は、どちらも相手の見解の内容が正しく的を射ていることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「然り」と「その通り」の違い
「然り」と「その通り」の意味の違い
「然り」と「その通り」の違いを分かりやすく言うと、「然り」は一般的に使われていない、「その通り」は一般的に使われているという違いです。
「然り」と「その通り」の使い方の違い
一つ目の「然り」を使った分かりやすい例としては、「然り、あなたの言う通りです」「最近顔にお肉がついてきた。腹もまた然り」「高速道路を使いますか、然り」「私は然りと答えました」などがあります。
二つ目の「その通り」を使った分かりやすい例としては、「それはその通りだと思います」「その通りです、私こう見えてかなりのオタクです」「これは富士山ですか?その通り」「この件に関しては確かにその通りです」などがあります。
「然り」と「その通り」の使い分け方
「然り」と「その通り」はどちらも相手の見解の内容が正しく的を射ていることを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「然り」は一般的に使われていないのに対して、「その通り」は一般的に使われているという点です。
「然り」は古語であるため、現代の日常会話で使われることは少なく、「その通り」に置き換えて使うのが一般的になっていると覚えておきましょう。
「然り」と「その通り」の英語表記の違い
「然り」を英語にすると「yes」「affirmative」となり、例えば上記の「私は然りと答えました」を英語にすると「I answer in the affirmative」となります。
一方、「その通り」を英語にすると「that’s right」「exactly」「you’re right」となり、例えば上記の「これは富士山ですか?その通り」を英語にすると「Is this Mount Fuji ?That’s right」となります。
「然り」の意味
「然り」とは
「然り」とは、そのようであることを意味しています。
「然り」の読み方
「然り」の読み方は「しかり」です。誤って「ねんり」「ぜんり」などと読まないようにしましょう。また、「然り」は「しかり」の他に、「さり」と読むこともできますが、受け答えとして単体で使う場合は「しかり」になります。
表現方法は「逆もまた然り」「然りです」「a然りb然り」
「逆もまた然り」「然りです」「a然りb然り」などが、「然り」を使った一般的な言い回しになります。
「然り」の使い方
「然り」を使った分かりやすい例としては、「この件は然り、彼の言う通りだろう」「あなたがこの機械の発明者ですか?然り」「薬は使い方によっては毒になることもあります。逆もまた然り」「彼は質問に対して然りと答えました」などがあります。
「然り」は万葉集などでも使われている古語になります。また、「然り」の語源はそのままの状態を表わす「然」が変化したことです。この「然」に、ラ変動詞の「あり」が合わさり、「しかあり」から「しかり」へ変化したと言われています。
上記にも書いたように、「然り」は古語です。そのため、古文や漢文などではよく使われていましたが、現代の日常生活などではあまり使われていません。
しかし、「逆もまた然り」という言い回しは現代でも使われることがあります。「逆もまた然り」とは、その通りでの意味ではなく、逆もまた同じという意味で使われています。
分かりやすい例を挙げると、「高級食材を使っているからと言って、料理が美味しいとは限らない。逆もまた然り」です。「逆もまた然り」を使うことによって、安い食材を使っているからといって、美味しくないとは限らない」ということも表現しています。
「然り」の類語
「然り」の類語・類義語としては、相手の考えを強く肯定することを意味する「いかにも」、かなり信頼できると判断することを意味する「確かに」、正しく解釈することを意味する「正解」などがあります。
「その通り」の意味
「その通り」とは
「その通り」とは、相手の見解の内容が正しく的を射ていることを意味しています。
表現方法は「その通りです」「まさにその通り」「その通りにします」
「その通りです」「まさにその通り」「その通りにします」などが、「その通り」を使った一般的な言い回しになります。
「その通り」の使い方
「その通り」を使った分かりやすい例としては、「お恥ずかしい限りですがその通りです」「その通りだよ高田君」「これがあの有名なエアーズロックですか?はい、その通りです」「彼女が昔悪さをしていたのはその通りだが、今では改心している」などがあります。
「その通り」は相手の見解の内容が正しく的を射ていることを意味しており、現代の日常会話においてよく使われています。そのため、馴染みのある人も多いでしょう。
「その通り」はビジネスシーンにおいても使うことができますが、上司や取引先などの目上の人に対しては使うことができません。ビジネスシーンで使う場合は、同僚や部下などの同等や目下の人に対してのみになります。
ではなぜ目上の人に対して使えないかというと、「その通り」という言葉が上から目線の印象を与えるからです。もし、目上の人に対して使いたい場合には、「おっしゃる通りです」や「ご認識の通りです」を使うようにしましょう。
「その通り」の類語
「その通り」の類語・類義語としては、言う通りのことを意味する「仰る通り」、相手の言葉を受けてそれを強く肯定することを意味する「全くだ」などがあります。
「然り」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、そのようであることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「逆もまた然り」という表現はよく使われています。
「その通り」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手の見解の内容が正しく的を射ていることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「その通り」は様々な場面で使われている言葉です。
「然り」と「その通り」はどちらも相手の見解の内容が正しく的を射ていることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に使われていないのが「然り」、一般的に使われているのが「その通り」と覚えておきましょう。