似た意味を持つ「さることながら」と「さながら」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「さることながら」と「さながら」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「さることながら」と「さながら」の違い
「さることながら」と「さながら」の意味の違い
「さることながら」と「さながら」の違いを分かりやすく言うと、「さることながら」とはある事柄は当然だがそれ以外ものことを提示すること、「さながら」とは非常によく似ていることという違いです。
「さることながら」と「さながら」の使い方の違い
一つ目の「さることながら」を使った分かりやすい例としては、「このお店はチャーハンもさることながら餃子も美味しいです」「彼女は見た目もさることながら声も美しいです」「この曲は歌詞もさることながらメロディーが良いです」などがあります。
二つ目の「さながら」を使った分かりやすい例としては、「牛丼屋の値下げ競争はさながらチキンレースだ」「さながら滝のような雨が降っている」「少年たちはさながら猿のように木を登っている」「彼女はさながら自国語のようにフランス語を話す」などがあります。
「さることながら」と「さながら」の使い分け方
「さることながら」と「さながら」は言い方が似ている言葉ですが、意味は全く異なっているので間違えないように注意しましょう。
「さることながら」はある事柄は当然だがそれ以外ものことを提示することを意味しており、上記の「彼女は見た目もさることながら声も美しいです」のように、「Aは言うまでもないがそれだけではなくBも」という表現で使う言葉です。
一方、「さながら」は非常によく似ていることを意味しており、上記の「少年たちはさながら猿のように木を登っている」のように、何かが他の別のものとよく似ているという表現で使う言葉になります。
「さることながら」と「さながら」の英語表記の違い
「さることながら」は日本語特有の表現なので、直訳した英語はありませんが、近い表現として「that goes without saying but also」「not only that but」などがあります。
「さながら」は日本語特有の表現なので、直訳した英語はありませんが、近い表現として「just like」「as if」などがあります。例えば上記の「彼女はさながら自国語のようにフランス語を話す」を英語にすると「She speaks French as if it were his mother tongue」となります。
「さることながら」の意味
「さることながら」とは
「さることながら」とは、ある事柄は当然だがそれ以外ものことを提示することを意味しています。
「さることながら」の漢字表記
「さることながら」を漢字にすると、「然る事乍ら」と表記することができますがあまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「さることながら」を使うようにしましょう。
表現方法は「見た目もさることながら」「味もさることながら」
「見た目もさることながら」「味もさることながら」などが、「さることながら」を使った一般的な言い回しになります。
「さることながら」の使い方
「さることながら」を使った分かりやすい例としては、「彼は勉強もさることながらスポーツもできる超人です」「ここの製品は性能もさることながらデザインも素敵です」「このお店は料理の味もさることながら接客が素晴らしい」などがあります。
「さることながら」はある事柄は当然だがそれ以外ものことを提示することを意味する言葉で、「Aは言うまでもないがそれだけではなくBも」ということを表現したい時に使います。また、話し手側がAよりもBの方を強調したい時に使う表現と覚えておきましょう。
「さることながら」はビジネスシーンにおいても使える言葉です。また、相手の意見を否定せずに自分の意見を述べる表現なので、上司や取引先などの目上の人に対して使っても問題ありません。
「さることながら」は日本語能力試験でN1に属する難しい日本語です。日本語能力試験はN1からN5までの難易度があり、N1が最も難しくN5が最も簡単になります。N1の目安としては、幅広い場面で使われる日本語を理解することができるとされています。
「さることながら」の類語
「さることながら」の類語・類義語としては、それは当然だがそれ以外のことものことを意味する「さるものながら」、前の事柄を受けて、それにさらにある事が付け加わることを表す「その上」などがあります。
「さながら」の意味
「さながら」とは
「さながら」とは、非常によく似ていることを意味しています。その他にも、そのままのこと、全てのこと、そうは言うもののことの意味も持っています。
「さながら」の漢字表記
「さながら」を漢字にすると、「宛ら」と表記することができますがあまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「さながら」を使うようにしましょう。
「さながら」の使い方
「さながら」を使った分かりやすい例としては、「彼女はさながら自国語のように日本語を話す」「ユニフォームを着て本番さながらに練習をしました」「このシミュレータは本物さながらの臨場感が楽しめます」などがあります。
「さながら」は非常によく似ていること、そのままのこと、全てのこと、そうは言うもののことと複数の意味を持つ言葉ですが、現代で使われているのは非常によく似ていることの意味で、その他の意味は昔は使われていたものの、現代ではあまり使用されていません。
「さながら」の語源
「さながら」は副詞「さ」に、接続助詞の「ながら」が合わさったことが語源です。「さ」はすでにある事物状態などをうけてそれを指示すること、「ながら」は内容の矛盾する二つの事柄を繋ぐことという意味があります。
「さながら」の類語
「さながら」の類語・類義語としては、 違いがわからないほどあるものやある状態に類似していることを意味する「まるで」、そっくりそのままある物事にたとえられることを意味する「丁度」、あるものが他によく似ていることを意味する「あたかも」などがあります。
「さることながら」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある事柄は当然だがそれ以外ものことを提示することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「さることながら」は、「Aは言うまでもないがそれだけではなくBも」ということを表現したい時に使う言葉です。
「さながら」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、非常によく似ていることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、そのままのこと、全てのこと、そうは言うもののことの意味も持っています。
例文1と例文2の「さながら」は非常によく似ていること、例文3の「さながら」はそのままのこと、例文4の「さながら」は全てのこと、例文5の「さながら」はそうは言うもののことの意味で使っています。
「さることながら」と「さながら」は似た言葉ですが、意味は異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、ある事柄は当然だがそれ以外ものことを提示することを表現したい時は「さることながら」を、非常によく似ていることを表現したい時は「さながら」を使うと覚えておきましょう。