似た意味を持つ「遜色ない」(読み方:そんしょくない)と「大差ない」(読み方:たいさない)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「遜色ない」と「大差ない」という言葉は、どちらも比べたものに差がないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「遜色ない」と「大差ない」の違い
「遜色ない」と「大差ない」の意味の違い
「遜色ない」と「大差ない」の違いを分かりやすく言うと、「遜色ない」とはプラスのイメージでしか使えない、「大差ない」とはプラスとマイナスどちらのイメージでも使えるという違いです。
「遜色ない」と「大差ない」の使い方の違い
一つ目の「遜色ない」を使った分かりやすい例としては、「入賞作品に比べて遜色ない出来だと思います」「彼はレギュラー陣と遜色ないプレーで勝利に貢献しました」「学力では彼女に遜色はないだろう」「これらは他社の製品と比べて少しも遜色がないです」などがあります。
二つ目の「大差ない」を使った分かりやすい例としては、「どちらの商品を選んでもそう大差はないだろう」「今日の携帯電話は製造元がどこであっても大差ないと思います」「バスで行ってもタクシーで行っても時間的には大差ない」などがあります。
「遜色ない」と「大差ない」の使い分け方
「遜色ない」と「大差ない」はどちらも比べたものに差がないことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「遜色ない」は「彼は大学生だがプロサッカー選手と遜色ないプレーをする」のように、褒め言葉として使うのが一般的で、「回らないお寿司屋にいったものの味は回転寿司と遜色ない」のように、マイナスイメージで使うことはありません。
一方、「大差ない」は「回らないお寿司屋にいったものの味は回転寿司と大差ない」のようにマイナスのイメージだけではなく、「ここにある洗濯機の性能は大差ないのでデザインで決めていいと思う」のように、プラスのイメージでも使えるというのが違いです。
「遜色ない」と「大差ない」の英語表記の違い
「遜色ない」を英語にすると「inferiority」となり、例えば上記の「これらは他社の製品と比べて少しも遜色がないです」を英語にすると「These are in no way inferior to the products of other companies」となります。
一方、「大差ない」を英語にすると「no great difference」となり、例えば上記の「バスで行ってもタクシーで行っても時間的には大差ない」を英語にすると「There is no great difference in time whether you go by bus or by taxi」となります。
「遜色ない」の意味
「遜色ない」とは
「遜色ない」とは、他に比べて見劣りしていないことを意味しています。
「遜色ない」の読み方
「遜色ない」の読み方は「そんしょくない」です。誤って「そんしきない」などと読まないようにしましょう。
「遜色ない」の使い方
「遜色ない」を使った分かりやすい例としては、「彼女の歌声はプロと比較しても遜色ないです」「他の作品と比べても遜色ない素晴らしいできだと思います」「彼はまだ入社2年目だが仕事ぶりは先輩たちと遜色ないです」などがあります。
「遜色ない」は他に比べて劣っていることや見劣りすることを意味する「遜色」に、否定形の「ない」が合わさり、他に比べて見劣りしていないことの意味で使われている言葉です。
「遜色ない」は「彼の歌声はプロの歌手と遜色ないなので、近いうちデビューするだろう」のように、褒め言葉としてプラスのイメージでしか使えないのが特徴になります。したがって、マイナスのイメージでは使えないと覚えておきましょう。
また、「遜色ない」を「遜色ありません」「遜色がありません」などの敬語表現にすることによって、目上の人に対しても使うことが可能です。
「遜色ない」の類語
「遜色ない」の類語・類義語としては、劣っていないことを意味する「引けを取らない」、同じ程度の力や地位をもって張り合うことを意味する「肩を並べる」、比べてみて能力や価値などが同程度であることを意味する「匹敵する」などがあります。
「大差ない」の意味
「大差ない」とは
「大差ない」とは、大きな差がないことを意味しています。
「大差ない」の読み方
「大差ない」の読み方は「たいさない」です。誤って「だいさない」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「どこも大差ない」「そう大差ない」
「どこも大差ない」「そう大差ない」などが、「大差ない」を使った一般的な言い回しになります。
「大差ない」の使い方
「大差ない」を使った分かりやすい例としては、「与野党の政策に大差ないと思っています」「状況は数時間前と大差ないです」「今の冷蔵庫は製造元がどこであっても性能に大差ないのでデザインで決めていいだろう」などがあります。
「大差ない」は大きな差のことを意味する「大差」に、否定形の「ない」が合わさり、大きな差がないことの意味で使われている言葉です。
「大差ない」はプラスとマイナスなイメージどちらでも使えるのが特徴になっています。
例えば、「あの場所へ行くには新幹線と飛行機は時間的に大差ないので好きな方を使っていいだろう」「今のタブレットは製造元がどこであっても大差ない」などのように、比べたものに差がないことを表現したいのであれば使うことができます。
そのため、「大差ない」は様々な場面で使用することができる言葉と覚えておきましょう。
「大差ない」の類語
「大差ない」の類語・類義語としては、どれもこれも平凡で特にすぐれて目立つものがないことを意味する「どんぐりの背比べ」、程度や等級などが同じであることを意味する「同等」、少しの違いはあっても本質的には同じであることを意味する「五十歩百歩」などがあります。
「遜色ない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他に比べて見劣りしていないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「遜色ない」はプラスのイメージで使われている言葉です。
「大差ない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大きな差がないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にるように、「大差ない」はプラスとマイナスのどちらのイメージでも使える言葉です。
「遜色ない」と「大差ない」はどちらも比べたものに差がないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、プラスのイメージでしか使えないのが「遜色ない」、プラスとマイナスどちらのイメージでも使えるのが「大差ない」と覚えておきましょう。