似た意味を持つ「重畳」(読み方:ちょうじょう)と「重複」(読み方:ちょうふく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「重畳」と「重複」という言葉は、どちらも重なることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
重畳と重複の違い
重畳と重複の意味の違い
重畳と重複の違いを分かりやすく言うと、どちらも重なるとことを意味していますが、重畳はこの上なく喜ばしいことの意味も持っているという違いです。
重畳と重複の使い方の違い
一つ目の重畳を使った分かりやすい例としては、「重畳的債務の引受け契約を締結したいです」「映像信号を重畳させた」「気に入ってくれるなんて重畳の至りだな」「村の北側には重畳たる山々が並んでいる」などがあります。
二つ目の重複を使った分かりやすい例としては、「重複しているデータを確認したい」「重複メールを削除しました」「参議院選挙では重複立候補をすることはできません」「重複するレコードを無視する」などがあります。
重畳と重複の使い分け方
重畳と重複は重なることという共通の意味を持っているのですが、重畳の方はこの上なく喜ばしいことという意味を持っているのが、明確な違いになります。
重複はこの上なく喜ばしいことの意味を持っていないため、上記の例の「気に入ってくれるなんて重畳の至りだな」を、「気に入ってくれるなんて重複の至りだな」とすることは出来ません。
重複という言葉は現代社会においてもよく使われる言葉です。特にビジネスシーンにおいてよく見かけるはずです。反対に、重畳は現代社会においてあまり見かけない言葉なので、馴染みがないかもしれません。
重畳と重複の英語表記の違い
重畳を英語にすると「Superposition」となり、例えば上記の「重複させた」を英語にすると「Superimposed」となります。
一方、重複を英語にすると「duplicate」となり、例えば上記の「重複しているデータを確認したい」を英語にすると「I want to check duplicate data」となります。
重畳の意味
重畳とは
重畳とは、幾重にも重なることを意味しています。
その他にも、この上なく喜ばしいことの意味も持っています。この上なく喜ばしい意味を用いる場合は、感動詞的に使われることもあります。
表現方法は「重畳させる」「重畳の至り」「それは重畳」
「重畳させる」「重畳の至り」「それは重畳」などが、重畳を使った一般的な表現方法です。
重畳の使い方
「通信用信号を重畳して伝送させた」「西側には重畳たる山脈が南北に走っている」「大きな直流電圧に重畳した微弱な交流信号を測定した」「重畳不可サービスを利用されているため利用出来ません」などの文中で使われている重畳は、「幾重にも重なること」の意味で使われています。
一方、「重畳の至りに存じ奉ります」「重畳、重畳と返事をした」「たくさんのコメントを頂き重畳の至りであります」「それは重畳だ」などの文中で使われている重畳は、「この上なく喜ばしいこと」の意味で使われています。
重畳という言葉は、現代ではあまり使われていなので馴染みがないはずです。重畳がよく使われていたのは江戸時代以前なので、時代劇などではよく登場する言葉になります。
重畳の由来
重畳の由来は畳が重なることからきています。江戸時代以前では、一部の高貴な人々しか畳を使うことができませんでした。そのため、高級品である畳が幾重にも重なっている状態は、この上なく喜ばしいことだったため、この言葉が生まれたと言われています。
重畳の類語
重畳の類語・類義語としては、幾重にも層になって重なっていることを意味する「重層」、幾重にも多く重なることを意味する「十重二十重」(読み方:とえはたえ)などがあります。
重畳の畳の字を使った別の言葉としては、岩が幾重にも重なっていることを意味する「岩畳」、幾重にも重なることを意味する「層畳」、幾重にも敷物を敷くことを意味する「八重畳」、藪が幾重にも重なって茂っていることを意味する「藪畳」などがあります。
重複の意味
重複とは
重複とは、同じ物事がいくつも重なり合うことを意味しています。
表現方法は「重複する」「重複しない」「重複した」
「重複する」「重複しない」「重複した」などが、重複を使った一般的な表現方法です。
重複の使い方
重複を使った分かりやすい例としては、「重複データのチェックはエクセルが便利だ」「この項目は重複しています」「重複したメールは一つありませでした」「重複立候補者が小選挙区で当選した」「重複した回答は無効となります」などがあります。
その他にも、「意味が重複することになります」「重複したキャラクター名は使用できません」「重複したことをお詫び申し上げます」「先程お話した内容と重複することもあるかと思います」などがあります。
重複という言葉を使う点で大事なことは「同じ物事」が重なるということです。そのため物事に対してしか使わない言葉になります。日常生活でも使うことはありますが、ビジネスシーンで使うことの方が多いはずです。
重複の読み方
重複の読み方を悩んでいる人も多いはずです。「ちょうふく」「じゅうふく」どちらの読み方も辞書に載っているためどちらとも間違いではないのですが、一般的な読み方は「ちょうふく」になります。どちらかの読み方を使うか迷った場合は「ちょうふく」を使いましょう。
「重複順列」の意味
重複という言葉を使った慣用句に「重複順列」(読み方:ちょうふくじゅんれつ)があります。n個のものから同一のものの重複を許してr個取る順列のこを意味しています。
重複の類語
重複の類語・類義語としては、反復することを意味する「繰り返し」、同じ劇などを再び上演することを意味する「再演」、分裂していたものがまとまって収まりがつくことを意味する「収束」、文章などで同じ事柄が重複して出ることを意味する「重出」などがあります。
重複の複字を使った別の言葉としては、単純と複雑のことを意味する「単複」(読み方:たんぷく)、複数のものが合わさって一つのものになることを意味する「複合」、数が二つ以上であることを意味する「複数」などがあります。
重畳の例文
この言葉がよく使われる場面としては、幾重にも重なることを表現したい時などが挙げられます。
例文2や例文5は幾重にも重なる意味で使われている重畳になります。また、例文3はこの上なく喜ばしいという感動詞的な使い方をしています。
重複の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同じものがいくつも重なることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文5のように重複は物事に対して使う言葉です。重複はビジネスシーンでも日常使う言葉なため馴染みのある言葉になります。
同じものが重なるの意味で重畳か重複どちらを使うか迷った時は、現代社会においてよく使われている重複を使うと間違いありません。