似た意味を持つ「特段」(読み方:とくだん)と「格段」(読み方:かくだん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「特段」と「格段」という言葉は、どちらも「物事の差がはっきりしいるさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
特段と格段の違い
特段と格段の意味の違い
特段と格段の違いを分かりやすく言うと、特段とは物事の区別がはっきりしていることを表し、格段とは物事の良し悪しがはっきりしていることを表わすという違いです。
特段と格段の使い方の違い
一つ目の特段を使った分かりやすい例としては、「特段の事情がある場合に限り新規入国を認めます」「安全性に対しては特段の配慮が必要です」「帰国子女ですが特段英語ができるわけではありません」などがあります。
二つ目の格段を使った分かりやすい例としては、「盛り付けで料理の仕上がりが格段に上がる」「メイクのノリが格段に良くなる洗顔方法があります」「最近は指名されることが格段に増えた」「売り上げは格段に上がっている」などがあります。
特段と格段の使い分け方
特段と格段という言葉は、どちらも物事の程度の差がはっきりしている様子を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
特段とは、他のものとは程度や内容などにはっきりとした区別があるさまを意味します。どちらが良い悪いといった観点はなく、物事の違いがはっきりしていることを表す言葉です。上記の例文の「特別な事情」とは、内容の良し悪しに関係なく、普通とは異なる特別な事情を表します。
格段とは、物事の程度の差がはなはだしいこと、物事の程度が標準よりも著しく超えていることを意味します。物事の優劣や良し悪しに関して使われることが多い言葉であり、どちらかというと「格段に良くなる」「格段に上がる」のように良い意味で使われることが多くあります。
特段と格段の英語表記の違い
特段も格段も英語にすると「special」「exceptional」「unusual」となり、例えば上記の「特段の理由がない限り」を英語にすると「except in special circumstances」となります。
特段の意味
特段とは
特段とは、特別、格段を意味しています。
表現方法は「特段の事情」「特段の理由」「特段の配慮」
「特段の事情」「特段の理由」「特段の配慮」などが、特段を使った一般的な言い回しです。
特段の使い方
特段を使った分かりやすい例としては、「特段の事情がない限り途中退出できません」「特段の理由がある場合はこの限りではありません」「服装は特段指定されていないがビジネススーツが無難だろう」などがあります。
その他にも、「特段のご配慮ありがとうございます」「職場環境は特段問題ないと思います」「彼のお金の使い方が特段おかしいとは思わないよ」「私の方からは特段ございません」「ご利用いただく分には特段問題ございません」などがあります。
特段とは、他のものと比べて物事の状態や性質などの度合いに大きな差があることを意味し、物事の良し悪しに関係なく使われる言葉です。特段の「特」は目立って著しいさま、「段」は物事の区切りを意味する漢字です。
「特段のご配慮ありがとうございます」の意味
上記の例文にある「特段のご配慮ありがとうございます」とは、ビジネスシーンでよく用いられる表現です。特別に配慮してくれたことや、特に心配りしてくれたことに対する感謝を表しています。
特段の対義語
特段の対義語・反対語としては、ごくありふれたものであることや特に変わっていないことを意味する「普通」、特別でなく普通の状態であることを意味する「通常」、ごく一般的であることを意味する「並み」などがあります。
特段の類語
特段の類語・類義語としては、物事の状態や性質などの度合いが群を抜いているさまを意味する「特別」、特別なことや格別なことを意味する「別段」、性質や内容などが他と著しく異なることを意味する「特殊」、比べるとかなりのちがいのあるさまを意味する「一段」などがあります。
格段の意味
格段とは
格段とは、物事の程度の差がはなはだしいことを意味しています。
その他にも、「物事の程度が普通をはなはだしく超えていること」の意味も持っています。
表現方法は「格段に上がる」「格段に違う」「格段に美味しい」
「格段に上がる」「格段に違う」「格段に美味しい」などが、格段を使った一般的な言い回しです。
格段の使い方
「家計簿をつけるとお金の使い方が格段に変わります」「やるとやらないのでは格段に違う」「生産性を格段に向上させるシステムを導入します」などの文中で使われている格段は、「物事の程度の差がはなはだしいこと」の意味で使われています。
一方、「この店のラーメンは格段に美味しい」「彼女は英語の上達が格段にはやいですね」「電子化すれば紙ゴミは格段に減るでしょう」などの文中で使われている格段は、「物事の程度が普通をはなはだしく超えていること」の意味で使われています。
格段とは、物事の程度の差がとても大きいこと、普通の物事や場合と非常に違うさまを意味します。二つの物事を比べて程度の差が大きいことを表す場合は、優れている方を取り上げて「格段に良い」などと表現し、「格段に悪い」などと劣っている方を取り上げることはあまりありません。
「格段のご配慮をいただき」の意味
格段を用いた誤った表現には「格段のご配慮をいただき」があります。 特別な心遣いを示してくれたことを表す時には、「特段のご配慮をいただき」「格別のご配慮を賜り」などが一般的な表現になります。
格段の対義語
格段の対義語・反対語としては、これといったすぐれた特色もなくごく当たり前なことを意味する「平凡」、ありふれていることや珍しくないことを意味する「ありきたり」、世間一般の人と同じ程度であることを意味する「人並み」などがあります。
格段の類語
格段の類語・類義語としては、他と比べて特に目立っているさまを意味する「一際」、能力や品質などに非常な違いがあるさまを意味する「段違い」、格別なさまを意味する「ことさら」、普通の人以上であることを意味する「人一倍」、並外れて優れていることを意味する「とびきり」などがあります。
特段の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他のものとは明確な区別があるさまを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「特段の理由」とは、一般的な理由ではない特別な理由を指す場合に用いられる表現です。原則としては受け入れられないが、特例は認めるというニュアンスを含んでいます。
格段の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の程度の差がはなはだしいこと、普通の物事や場合と非常に違うさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の文中にある格段は、物事の程度の差がはなはだしいことの意味で用いられています。例文5の格段は、普通の物事や場合と非常に違うさまの意味で用いられています。これらの例文のように、格段という言葉は物事の優劣に対して使われることが多くあります。
特段と格段という言葉は、どちらも「物事の程度の差がはっきりしいるさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事の区別がはっきりしている様子を表現したい時は「特段」を、物事の優劣がはっきりしているさまを表現したい時は「格段」を使うようにしましょう。