似た言葉の「貧乏暇なし」(読み方:びんぼうひまなし)と「稼ぐに追いつく貧乏なし」(読み方:かせぐにおいつくびんぼうなし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「貧乏暇なし」と「稼ぐに追いつく貧乏なし」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「貧乏暇なし」と「稼ぐに追いつく貧乏なし」の違い
「貧乏暇なし」と「稼ぐに追いつく貧乏なし」の意味の違い
「貧乏暇なし」と「稼ぐに追いつく貧乏なし」の違いを分かりやすく言うと、「貧乏暇なし」とは貧乏で生活に追われ少しも時間のゆとりがないこと、「稼ぐに追いつく貧乏なし」とは常に精を出して働けば貧乏に苦しむことはないことという違いです。
「貧乏暇なし」と「稼ぐに追いつく貧乏なし」の使い方の違い
一つ目の「貧乏暇なし」を使った分かりやすい例としては、「貧乏暇なしで働くのはもう辛い」「貧乏暇なしなので旅行に行く時間さえありません」「相変わらず貧乏暇なしの生活をしています」などがあります。
二つ目の「稼ぐに追いつく貧乏なし」を使った分かりやすい例としては、「稼ぐに追いつく貧乏なしを信じて一生懸命働いています」「宝くじを買うくらいなら稼ぐに追いつく貧乏なしで働いた方がいいだろう」などがあります。
「貧乏暇なし」と「稼ぐに追いつく貧乏なし」の使い分け方
「貧乏暇なし」と「稼ぐに追いつく貧乏なし」はどちらも貧乏という言葉を使っていますが、意味は全く異なっているので間違えないように注意しましょう。
「貧乏暇なし」は貧乏で生活に追われ少しも時間のゆとりがないことを意味しており、単純に時間がなかったり、相手の誘いを断る場合や謙遜の言葉として使います。
一方、「稼ぐに追いつく貧乏なし」は常に精を出して働けば貧乏に苦しむことはないことを意味しており、たくさん働けば貧乏で苦しむことはないことを意味で使う言葉です。
「貧乏暇なし」と「稼ぐに追いつく貧乏なし」の英語表記の違い
「貧乏暇なし」も「稼ぐに追いつく貧乏なし」も日本で生まれたことわざなので、直訳した英語表記はありません。
「貧乏暇なし」の意味
「貧乏暇なし」とは
「貧乏暇なし」とは、貧乏で生活に追われ少しも時間のゆとりがないことを意味しています。
「貧乏暇なし」の漢字表記
「貧乏暇なし」を漢字にすると、「貧乏暇無し」と表記することができます。
「貧乏暇なし」の使い方
「貧乏暇なし」を使った分かりやすい例としては、「貧乏暇なしなので寝る間を惜しんで働いています」「貧乏暇なしで全然儲かっていませんよ」「貧乏暇なしなので忘年会には参加できません」「安月給だから貧乏暇なしだ」などがあります
「貧乏暇なし」は貧乏で生活に追われ少しも時間のゆとりがないことを意味することわざです。主に、相手に忙しさを伝える場合や、謙遜言葉として使うのが特徴です。
例えば、上記の「貧乏暇なしなので忘年会には参加できません」は忙しいのでお誘いを断るという意味で使います。
また、相手から褒められた場合は、上記の「貧乏暇なしで全然儲かっていませんよ」のように謙遜の言葉として使えると覚えておきましょう。
「貧乏暇なし」の語源
「貧乏なし」の語源は江戸いろはかるたの一句です。江戸いろはかるたとは、江戸時代後期に作られた48文字のいろは歌のかるたのことを意味しています。また、いろは歌は、弘法大使の仏教の教えをもとに作成されたと言われています。
これの「ひ」に書かれていたのが「貧乏暇なし」であり、このいろはかるたによって日本全国に広まりました。
「貧乏暇なし猫灰だらけ」は誤用
よく使われている言葉の「貧乏暇なし猫灰だらけ」は誤用なので使わないように注意しましょう。貧乏人は暇がなく掃除ができないので家が猫の毛ばかりだという意味で使う人もいますが、このような日本語は存在しません。
しかし、「結構毛だらけ猫灰だらけ」という言葉はあります。「結構毛だらけ猫灰だらけ」とは、大変結構だのことををふざけていうことを意味しています。
「貧乏暇なし」の類語
「貧乏暇なし」の類語・類義語としては、貧乏すると生活の苦しさのために精神の働きまで愚鈍になることを意味する「貧すれば鈍する」があります。
「稼ぐに追いつく貧乏なし」の意味
「稼ぐに追いつく貧乏なし」とは
「稼ぐに追いつく貧乏なし」とは、常に精を出して働けば貧乏に苦しむことはないことを意味しています。
「稼ぐに追いつく貧乏なし」の漢字表記
「稼ぐに追いつく貧乏なし」は「稼ぐに追いつく貧乏無し」と漢字で表記することはできないので注意しましょう。
「稼ぐに追いつく貧乏なし」の使い方
「稼ぐに追いつく貧乏なし」を使った分かりやすい例としては、「コツコツ働いて稼ぐに追いつく貧乏なしに勝るものはないと思っています」「私の座右の銘は稼ぐに追いつく貧乏なしです」「稼ぐに追いつく貧乏なしで働いているもののなぜか貯金が増えません」などがあります。
「稼ぐに追いつく貧乏なし」は常に精を出して働けば貧乏に苦しむことはないことを意味することわざです。簡単に言うならば、一生懸命働いていれば貧乏で困ることはないとなります。また、貧乏と悩んでいる暇があるのなら一生懸命働くべきだというニュアンスもあります。
そのため、「稼ぐに追いつく貧乏なし」を座右の銘にしている人も多いでしょう。
「稼ぐに追いつく貧乏なし」の語源
「稼ぐに追いつく貧乏なし」の語源は貧乏神です。貧乏神とは、貧乏人にとりついて貧乏にさせるという神のことや、貧乏をもたらす人のことを意味しています。
この貧乏をもたらす貧乏神が追いかけてきても、一生懸命仕事していれば追いつかれないということが転じて、常に精を出して働けば貧乏に苦しむことはないことを「稼ぐに追いつく貧乏なし」と言うようになりました。
「稼ぐに追いつく貧乏なし」の類語
「稼ぐに追いつく貧乏なし」の類語・類義語としては、働きさえすれば人は乞食にならないことを意味する「鍬を担げた乞食は来ない」(読み方:わをかたげたこじきはこない)などがあります。
「貧乏暇なし」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、貧乏で生活に追われ少しも時間のゆとりがないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「貧乏暇なし」はマイナスのイメージで使われている言葉です。
「稼ぐに追いつく貧乏なし」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、常に精を出して働けば貧乏に苦しむことはないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「稼ぐに追いつく貧乏なし」は自分を奮い立たせる場合によく使われています。
「貧乏暇なし」と「稼ぐに追いつく貧乏なし」は似ていても意味は異なっています。
どちらの言葉を使うか迷った場合、貧乏で生活に追われ少しも時間のゆとりがないことを表現したい時は「貧乏暇なし」を、常に精を出して働けば貧乏に苦しむことはないことを表現したい時は「稼ぐに追いつく貧乏なし」を使うと覚えておきましょう。