似た意味を持つ「得てして」(読み方:えてして)と「往々にして」(読み方:おうおうにして)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「得てして」と「往々にして」という言葉は、どちらもそうなることがあることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「得てして」と「往々にして」の違い
「得てして」と「往々にして」の意味の違い
「得てして」と「往々にして」の違いを分かりやすく言うと、「得てして」よりも「往々にして」の方が断定的な意味合いが強いという違いです。
「得てして」と「往々にして」の使い方の違い
一つ目の「得てして」を使った分かりやすい例としては、「頭の良い人は得てして策に溺れるものだ」「親は得てして子供に期待することが多い」「精鋭が集まるチームは得てしてまとまりにくいものである」「一人っ子は得てして競争心が足りません」などがあります。
二つ目の「往々にして」を使った分かりやすい例としては、「両親は往々にして子供を可愛がりすぎる」「忘れ物をすることは往々にしてある」「緊張して失敗してしまうのは往々にしてあります」「こういうことは往々にしてある」などがあります。
「得てして」と「往々にして」の使い分け方
「得てして」と「往々にして」はどちらもそうなることがあることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「得てして」はある事態になる傾向があることを意味しており、傾向があるだけで必ずしも繰り返されるわけではありません。一方、「往々にして」は物事がしばしばあることを意味しているため、繰り返しておこるというニュアンスが強い表現です。
つまり、「得てして」よりも「往々にして」の方が断定的な意味合いが強いというのが違いになります。
また、「往々にして」は常に「得てして」に置き換えることができるのに対して、「得てして」は必ずしも「往々にして」に置き換えることはできないと覚えておきましょう。
「得てして」と「往々にして」の英語表記の違い
「得てして」を英語にすると「tend to」「be apt to」「be likely to」となり、例えば上記の「一人っ子は得てして競争心が足りません」を英語にすると「An only child is apt to lack competitive spirit」となります。
一方、「往々にして」を英語にすると「often」「frequently」「sometimes」となり、例えば上記の「こういうことは往々にしてある」を英語にすると「This sort of thing often happens」となります。
「得てして」の意味
「得てして」とは
「得てして」とは、ある事態になる傾向があることを意味しています。
「得てして」の読み方
「得てして」の読み方は「えてして」です。誤って「とくてして」「うてして」などと読まないようにしましょう。
「得てして」の使い方
「得てして」を使った分かりやすい例としては、「傲慢な人は得てして失敗するだろう」「ドイツ語が上達してくると得てしてドイツに行きたくなるものだ」「長い間一緒にいると得てして考え方が似てくるものだ」などがあります。
「得てして」はある事態になる傾向があることを意味する副詞です。副詞とは品詞の一つであり、他の言葉を修飾して説明を加えるという役割を担っています。
「得てして」はこの人はこういう傾向があるやこういうことをする人はこのような傾向があるのように、人の性格や行動に対して使うことが多いのが特徴です。あくまでも多いだけなので、物に対して使うことも可能となっています。
「得てして妙」は誤り
「得てして」を使った言い回しである「得てして妙」という表現は誤用なので使わないように注意しましょう。なぜ間違ってしまうかというと、「言い得て妙」と混同しているからです。正しい日本語である「言い得て妙」は巧みに言い表していることを意味しています。
「得てして」の類語
「得てして」の類語・類義語としては、とかくある状況になりやすいことを意味する「ややもすれば」、場合によってはのことを意味する「ともすると」、同じ事が何度も重なって行われることを意味する「しばしば」などがあります。
「往々にして」の意味
「往々にして」とは
「往々にして」とは、物事がしばしばあることを意味しています。
「往々にして」は「往往にして」とも表記可能
「往々にして」は別表記で「往往にして」とすることもできます。
「往々にして」の読み方
「往々にして」の読み方は「おうおうにして」です。誤って「じゅうじゅうにして」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「往々にしてある」「往々にしてみられる」
「往々にしてある」「往々にしてみられる」などが、「往々にして」を使った一般的な言い回しになります。
「往々にして」の使い方
「往々にして」を使った分かりやすい例としては、「こういうことは往々にしてあるものだ」「人は完璧ではないので往々にして失敗することがあります」「このラーメン屋さんは往々にして待ち時間が長いです」「産業化は往々にして公害を伴う」などがあります。
「往々にして」は物事がしばしばあることを意味する副詞です。物事がしばしば起こるのであれば、その頻度はたまにではあっても使うことができます。
例えば、4年に1回しか行われないワールドカップであったとしても、20年間あれば5回も開催されるので「往々にして」を使うことができます。したがって、どれくらいの頻度かは前後の文章で読み取るようにしましょう。
「往々にして」はビジネスシーンにおいて使われることが多い言葉です。また、「失敗は往々にしてある」「往々にして間違う」などのように、マイナスなイメージで使うのが一般的になっています。
「往々にして」は「往々にしてございます」のように敬語の文章を加えることによって、上司や取引先などの目上の人に対して使うことも可能です。
「往々にして」の類語
「往々にして」の類語・類義語としては、時々のことを意味する「時折」、わずかの間を置いて同じことが繰り返されることを意味する「ちょくちょく」、頻繁ではないが時々現れることを意味する「まま」などがあります。
「得てして」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある事態になる傾向があることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「得てして」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「往々にして」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事がしばしばあることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「往々にして」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「得てして」と「往々にして」はどちらもそうなることがあることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「得てして」よりも「往々にして」の方が断定的な意味合いが強い場合に使うと覚えておきましょう。