似た意味を持つ「利発」(読み方:りはつ)と「聡明」(読み方:そうめい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「利発」と「聡明」という言葉は、どちらも「賢いこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
利発と聡明の違い
利発と聡明の意味の違い
利発と聡明の違いを分かりやすく言うと、利発とは頭の回転の速いことを表し、聡明とは理解力や判断力があることを表すという違いです。
利発と聡明の使い方の違い
一つ目の利発を使った分かりやすい例としては、「明るく利発な子に育って欲しい」「彼女は美しく利発な女性です」「利発な生徒は効率的な時間の使い方をしています」「いかにも利発そうな顔をしている」などがあります。
二つ目の聡明を使った分かりやすい例としては、「娘の私からみても母は聡明な人です」「聡明な英語の先生を信頼しています」「心理テストで聡明な人だと診断されて嬉しい」「あの人の言動から聡明さは感じられない」などがあります。
利発と聡明の使い分け方
利発と聡明という言葉は、どちらも頭がよくて賢いさまを表し、誉め言葉として使用されていますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
利発とは、頭脳が優れていて頭の回転の速いことを意味します。特に子どもへの誉め言葉として使われ、その年齢の割に知能が発達している様子を指す言葉です。知的で機知に富む人のことを「利発人」「利発者」と言います。
聡明とは、耳と目が鋭敏なことを表し、物事の理解が早く正確であり、洞察力や判断力にも優れた様子を意味します。「聡明な少年」「聡明なジェントルマン」「聡明な女性」のように年齢層や性別に関係なく使われる言葉ですが、比較的女性に対して使われることが多くあります。
つまり、利発とは頭の回転の速いことの意味合いが強く、聡明とは理解力や判断力があることの意味合いが強い言葉なのです。
利発と聡明の英語表記の違い
利発も聡明も英語にすると「intelligent」「wise」「smart」となり、例えば上記の「利発な子」を英語にすると「an intelligent boy」となります。
利発の意味
利発とは
利発とは、さとく賢いこと、才知があって頭の回転が速いことを意味しています。
表現方法は「利発な子」「利発な女性」「利発そうな顔」
「利発な子」「利発な女性」「利発そうな顔」などが、利発を使った一般的な言い回しです。
利発の使い方
利発を使った分かりやすい例としては、「あの子は利発で頭がいい」「近所にとても利発そうな子がいます」「我が子を利発な子に育てたい」「甥っ子は利発的な顔をしている」「利発な子の特徴の一つに行動力があります」などがあります。
その他にも、「才能豊かで利発な女性です」「利発的な性格は誰からも好かれている」「転校生は利発そうな顔をしていました」「利発は最大級の誉め言葉です」「幼少より聡明利発でありました」などがあります。
利発は利口発明の短縮語
利発とは「利口発明」を短縮した言葉であり、才知があって頭の回転の速いことを表します。主に子供に対して使用し、その年齢にしては賢いという意味で使うことが多くあります。大人に使用することは、辞書のうえでは問題ないのですが、人によっては失礼と感じるかもしれないので注意しましょう。
ことわざ「女の利発牛の一散」の意味
利発を用いたことわざには「女の利発牛の一散」があります。これは「枕草子」に見られる古い表現であり、女は利口であっても、考えは牛の一散のように深い思慮がなくはやるものだということを意味します。現代では女性蔑視の表現になるので、「牛の一散」とだけ使用されるようになってます。
利発の対義語
利発の対義語・反対語としては、判断力や理解力がにぶいことを意味する「愚鈍」、頭の働きがにぶいことを意味する「鈍才」、はきはきしないで動作や決断が鈍いことを意味する「愚図」などがあります。
利発の類語
利発の類語・類義語としては、頭がよいことや賢いことを意味する「利口」、賢いことや利口なことを意味する「怜悧」、賢いことや利発であることを意味する「発明」、高い知能を有するさまを意味する「インテリジェント」などがあります。
聡明の意味
聡明とは
聡明とは、物事の理解が早く賢いことを意味しています。
また「神に供える餅やきびなど」の意味も持っています。
聡明の読み方
聡明の読み方は「そうめい」です。ただし、聡明は男性の名前として「としあき」「さとあき」などと読ませることがあります。
表現方法は「聡明な人」「聡明な女性」「聡明で優しい」
「聡明な人」「聡明な女性」「聡明で優しい」「聡明で美しい」などが、聡明を使った一般的な言い回しです。
聡明の使い方
「課長は冷静沈着で聡明な人です」「失言が多い人は聡明とは言えないだろう」「幸せになるために聡明な選択をしよう」「彼女は聡明ではあるけど英語は苦手なようです」「聡明な男性が好みです」などの文中で使われている聡明は、「物事の理解が早く賢いこと」の意味で使われています。
一方、「神棚に大きな聡明がお供えしてありました」「お供え物の聡明を食べてはいけません」「松の内が明けてから聡明を下げて食べます」などの文中で使われている聡明は、「神に供える餅やきび」の意味で使われています。
聡明の「聡」は全てを聞き分けること、「明」は全てを見分けることを表します。聡明とは、理解力や判断力が優れていて賢いことを意味する言葉です。「神に供える餅やきびなど」の意味もありますが、この意味ではほとんど使われていません。
聡明の由来
聡明という言葉の由来は、中国から伝わった漢語「聡明叡知」を語源とします。「聡」「明」「叡」「知」は聖人が持つ四つの徳とされ、知識があり物事を深く理解する能力があることを意味する四字熟語です。
「聡明期」は誤り
聡明を用いた誤った使い方には「聡明期」があります。正しくは「黎明期」(読み方:れいめいき)であり、新しい時代や文化、芸術の運動などが始まろうとする時期のことです。
聡明の対義語
聡明の対義語・反対語としては、おろかで道理に暗いことを意味する「愚昧」、知識が不十分で道理にくらいことを意味する「蒙昧」、物事の是非を判断する力がなく愚かなことを意味する「暗愚」、知能が劣り愚かなことを意味する「馬鹿」などがあります。
聡明の類語
聡明の類語・類義語としては、賢くて物事の判断が適切であることを意味する「賢明」、知性の感じられるさまを意味する「知的」、聡明で物事の道理に通じていることを意味する「明哲」、すぐれて賢いことを意味する「英明」などがあります。
利発の例文
この言葉がよく使われる場面としては、賢いこと、頭の回転の速いことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「利発的」とは、賢いことである「利発」に、そのような性質をもったものの意を表す「的」が組み合わさった言葉です。賢い様子や頭の回転の速いさまを表現します。
聡明の例文
この言葉がよく使われる場面としては、頭がさえており、理解力があって賢いことを表現したい時などが挙げられます。
例文3について、聡明という言葉は女性に対して使われることが多くありますが、男性に使用することも可能です。頭がよく道理をわきまえていることを表す誉め言葉です。
利発と聡明という言葉は、どちらも「賢いこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、頭の回転の速いことを表現したい時は「利発」を、理解力や判断力があることを表現したい時は「聡明」を使うようにしましょう。