似た意味を持つ「寓話」(読み方:ぐうわ)と「童話」(読み方:どうわ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「寓話」と「童話」という言葉は、どちらも「文学形態の一つ」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
寓話と童話の違い
寓話と童話の意味の違い
寓話と童話の違いを分かりやすく言うと、寓話とは教訓という内容に着目した物語、童話とは子供という読者に着目した物語という違いです。
寓話と童話の使い方の違い
一つ目の寓話を使った分かりやすい例としては、「イソップは世界で最も有名な寓話作家です」「寓話には様々な教訓が含まれています」「この映画は島の伝説をモチーフにした寓話的な作品です」などがあります。
二つ目の童話を使った分かりやすい例としては、「私の将来の夢は童話作家になることです」「グリム童話の人気ランキングをチェックする」「三歳の女の子におすすめの童話を教えてください」などがあります。
寓話と童話の使い分け方
寓話と童話という言葉は、どちらも文学形態の一つであり、私達に馴染みのある物語を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
寓話とは、教訓的な内容を盛り込んだ物語であり、多くは動物や植物の生活を描くことで人間になんらかの教訓を与えることを意図したものです。例えば、イソップ寓話の「アリとキリギリス」は、将来への備えを怠ると後に苦労することを示唆しています。
童話とは、文字通り「子供のための物語」を意味します。児童が読む、または親などが児童に読み聞かせる子ども向けの民話、おとぎ話、創作された物語などです。どのような内容であっても子供向けの物語は童話であるため、寓話であっても子供向けの話であれば童話に含まれます。
つまり、寓話は教訓という内容に着目した文学形態であり、童話は子供という読者に着目した文学です。童話は子供向けのお話ですが、寓話の読者は子供だけでなく大人も含まれることに注意しましょう。
寓話と童話の英語表記の違い
寓話を英語にすると「fable」「allegory」「apologue」となり、例えば上記の「寓話作者」を英語にすると「a fabulist」となります。
一方、童話を英語にすると「nursery tale」「fairy tale」「children’s story」となり、例えば上記の「童話作家」を英語にすると「a writer of stories for children’s stories」となります。
寓話の意味
寓話とは
寓話とは、擬人化した動物などを主人公に、教訓や風刺を織りこんだ物語を意味しています。
表現方法は「ためになる寓話」「寓話に生きた人」「寓話の効果」
「ためになる寓話」「寓話に生きた人」「寓話の効果」などが、寓話を使った一般的な言い回しです。
寓話の読み方
寓話の読み方は「ぐうわ」です。誤って「ぐわ」「ごうわ」などと読まないようにしましょう。
寓話の使い方
寓話を使った分かりやすい例としては、「イソップ寓話の代表作は何ですか」「寓話ウサギとカメを題材にした人形劇です」「この物語は寓話的なファンタジーです」「皮肉たっぷりの寓話集をもらいました」などがあります。
その他にも、「寓話を例に出しながら教え諭す」「イソップ寓話と教訓を一覧にしました」「寓話的な作風で人気の女性作家です」「中国の故事寓話は生きるヒントを教えてくれます」「おすすめの寓話をご紹介しましょう」などがあります。
寓話の「寓」は、訓読みで「かこつける」と読み、直接には関係しない他の事と結びつけて、気持ちを託することを表す漢字です。物語を表す「話」と結びつき、寓話とは、教訓や道徳あるいは風刺を含んだ短い物語を意味します。多くは、動物を描くことで人間になんらかの教訓を与えるものです。
「イソップ寓話」の意味
有名な寓話には「イソップ寓話」があります。イソップ寓話とは、古代ギリシャのイソップ(アイソポス)が作ったと伝えられる動物寓話集です。主に動物を主人公とする寓話に託して日常的な道徳教訓を説いており、「イソップ物語」「イソップ寓話集」として世界中で親しまれています。
寓話の対義語
寓話の対義語・反対語としては、娯楽性に重きを置いている小説を意味する「大衆小説」などがあります。
寓話の類語
寓話の類語・類義語としては、教えさとすための話や教訓的な話を意味する「訓話」、物語にある教訓や意見を仮託した小説を意味する「寓意小説」、他の物事にことよせて意見や教訓を述べた言葉やたとえ話を意味する「寓言」、社会現象を神に関連させて説く説話を意味する「神話」などがあります。
童話の意味
童話とは
童話とは、子供のために作られた話、昔から語り伝えられてきたおとぎ話や伝説、寓話などを意味しています。
表現方法は「グリム童話」「アンデルセン童話」「童話の世界」
「グリム童話」「アンデルセン童話」「童話の世界」などが、童話を使った一般的な言い回しです。
童話の使い方
童話を使った分かりやすい例としては、「宮沢賢治の童話の世界を楽しもう」「自作の童話に使えそうなフリーのイラストを探す」「童話劇の青い鳥に登場する鳥の種類を調べました」「本当は怖い童話の原作を紹介します」などがあります。
その他にも、「世界の名作童話を英語で読んでみよう」「有名な童話作家の直筆サインを持っています」「まるで童話のようなかわいい村を訪れる」「グリム童話一覧から読み聞かせの本を選ぶ」などがあります。
童話とは、子ども向けの物語であり、昔から語り伝えられてきたおとぎ話や伝説などを指します。特に、児童文学者によって童心を基調として創作された物語をさすことが多くあります。童話の「童」は訓読みで「わらべ」と読み、子供を意味する漢字です。
「宮沢賢治童話村」の意味
童話を用いた日本語には「宮沢賢治童話村」があります。宮沢賢治童話村とは、岩手県花巻市にあるテーマパークであり、賢治の童話に登場する動物や植物を紹介する展示室などがあります。
童話の対義語
童話の対義語・反対語としては、虚構を用いず事実に即して作られた作品を意味する「ノンフィクション」などがあります。
童話の類語
童話の類語・類義語としては、絵を主にした子供向きの本を意味する「絵本」、おとぎ話や童話を意味する「メルヘン」、民衆によって口から口へと伝えられてきた説話を意味する「民話」、作者の想像力によって作り上げられた架空の物語を意味する「フィクション」などがあります。
寓話の例文
この言葉がよく使われる場面としては、教訓を目的とした短い物語で、おもに擬人化された動物が活躍するものを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「寓話的」とは、直接的表現によらず喩えを中心とした表現であり、教訓めいたメッセージがあることを意味します。
童話の例文
この言葉がよく使われる場面としては、児童文学の一ジャンルで、民間に伝承されていたお伽話や英雄譚、伝説、説話、寓話などを含むを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「グリム童話」とは、ドイツのグリム兄弟が、ドイツや周辺地域の民話を収集し再編した童話集のことです。
寓話と童話という言葉は、どちらも「文学形態の一つ」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、教訓を内容とする物語を表現したい時は「寓話」を、子供を読者とする物語を表現したい時は「童話」を使うようにしましょう。