似た意味を持つ「語弊」(読み方:ごへい)と「誤解」(読み方:ごかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「語弊」と「誤解」という言葉は、どちらも「言葉の意味を取り違えること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
語弊と誤解の違い
語弊と誤解の意味の違い
語弊と誤解の違いを分かりやすく言うと、語弊とは話し手が適切ではない言い方をすることを表し、誤解とは聞き手が話の意味を取り違えることを表すという違いです。
語弊と誤解の使い方の違い
一つ目の語弊を使った分かりやすい例としては、「こう言うと語弊があるかもしれませんね」「少し語弊がありますが、失敗も大事な経験です」「古いと言えば少々語弊があるかもしれません」「語弊がないように文章を見直す」などがあります。
二つ目の誤解を使った分かりやすい例としては、「誤解を解くにはどうしたらよいのだろう」「お客様に誤解や誤認を与えるおそれがある」「誤解を招いてしまい申し訳ございません」「誤解を招く英語表現を指摘する」などがあります。
語弊と誤解の使い分け方
語弊と誤解という言葉は、どちらも話し手と聞き手の間で意味の取り違えがあることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
語弊とは、文字通り「言葉の弊害」であり、言葉の使い方が適切でないために誤解を招きやすい言い方を意味します。多くは「語弊がある」の形で用いて、話し手の表現方法に問題がある可能性があることを表します。
誤解とは、「誤った解釈」であり、相手の言葉などの意味を取り違えることや、ある事実について誤って思い込むことを意味します。会話においては聞き手側の間違った理解を表す言葉であり、「誤解される」「誤解を解く」「誤解を生む」などと表現します。
つまり、語弊は話す側の誤解を招くような言い方であり、誤解は聞く側の誤った認識を指す言葉なのです。
語弊と誤解の英語表記の違い
語弊を英語にすると「misleading」「faulty statement」「defect in expression」となり、例えば上記の「こう言うと語弊がある」を英語にすると「The word is misleading」となります。
一方、誤解を英語にすると「misunderstanding」「misapprehension」「mistake」となり、例えば上記の「誤解を解く」を英語にすると「clear up a misunderstanding」となります。
語弊の意味
語弊とは
語弊とは、言葉の使い方が適切でないために誤解を招きやすい言い方、そのために起こる弊害を意味しています。
語弊の読み方
語弊の読み方は「ごへい」です。同じ読み方をする熟語に「御幣」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「語弊がない」「語弊が生じる」「語弊を生む」
「語弊がない」「語弊が生じる」「語弊を生む」などが、「語弊」を使った一般的な言い回しです。
語弊の使い方
語弊を使った分かりやすい例としては、「この標題は語弊を生むので良くない」「期待以上と言っては語弊があるだろうか」「少し語弊があるかも知れないが英語なんて簡単です」「語弊があったことお詫びいたします」などがあります。
その他にも、「語弊があるかもしれませんが」「語弊を生む可能性がある表現はやめよう」「興味がないというのは語弊がある」「天真爛漫というと語弊がありそうですね」「何とかなりますと言えば語弊があるかもしれません」などがあります。
語弊の「弊」は、 悪いことや間違っていることを表します。言葉づかいを表す「語」と組み合わさり、語弊とは、言葉による弊害、つまり言葉の使い方が適切でないために起きる良くない影響を意味します。
語弊という言葉は、「語弊がある」という言い回しで使用されることがほとんどです。「語弊があるかもしれませんが…」と前置きした場合、これから話すことを悪いように捉えないで欲しいというニュアンスを含んでいます。
「語弊を招く」「語弊を恐れず」は誤用
語弊を用いた誤った表現には、「語弊を招く」「語弊を恐れず」があります。語弊という言葉には、「誤解を招く言い方」という意味があるので、「招く」「恐れず」という言葉を重ねるのは不自然です。「誤解を恐れず」「誤解を招く」と言い換えると良いでしょう。
語弊の対義語
語弊の対義語・反対語としては、巧みに言い表しているさまを意味する「言い得て妙」などがあります。
語弊の類語
語弊の類語・類義語としては、物事がうまくかみ合わないことや食い違うことを意味する「齟齬」、考え方や感じ方などに少し隔たりがあることを意味する「ずれ」、 意志がうまく通じないでくい違いを生じることを意味する「行き違い」などがあります。
誤解の意味
誤解とは
誤解とは、ある事実について間違った理解や解釈をすること、相手の言葉などの意味を取り違えること、思い違いを意味しています。
表現方法は「誤解を解く」「誤解される」「誤解を与える」
「誤解を解く」「誤解される」「誤解を与える」などが、「誤解」を使った一般的な言い回しです。
誤解の使い方
誤解を使った分かりやすい例としては、「そんな態度では誤解を招くだろう」「この英語の意味を誤解する日本人は多い」「簡単に誤解を解く方法はないものか」「誤解を招くようなことを言ってすいません」などがあります。
その他にも、「誤解を招く表現がありましたことをお詫び申し上げます」「曖昧な言葉は誤解を生むので言い換えてください」「誤解を恐れずに言えば、私は現実主義者です」「口数が少ない人は誤解されやすい」などがあります。
誤解とは、文字通り「間違った解釈をすること」であり、知識や能力が足りないために事実や言葉などを正しく理解できないことを意味します。誤解という言葉には、言動を受け止める側の誤った認識を非難するニュアンスがあります。
「誤解を招く」の意味
上記の例文にある「誤解を招く」とは、多くの人が誤って認識されやすいさまを意味する言い回しです。「勘違いされやすい」「間違われやすい」などと言い換えることができます。
誤解の対義語
誤解の対義語・反対語としては、正しく解釈することを意味する「正解」などがあります。
誤解の類語
誤解の類語・類義語としては、物事や相手の言動などを捻じ曲げて解釈することを意味する「曲解」、間違って思い込むことを意味する「勘違い」、間違えて思い込むことを意味する「思い違い」、誤ってそれと認めることを意味する「誤認」などがあります。
語弊の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ことばの上の弊害、誤解を招きやすい言い方を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、語弊という言葉は、「語弊がある」という言い回しで使用されることが多くあります。例文2の「語弊がない」とは、誤解を招きやすい言い方をしないことを意味します。例文3の「語弊力」は、不適切な言葉遣いから誤解を招く力を意味する俗語です。
誤解の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手が言ったことの意味を取り違えること、ある事実について誤って思い込むことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、誤解の慣用的な言い回しには「誤解を解く」「誤解を招く」「誤解される」などがあります。
語弊と誤解という言葉は、どちらも「意味を取り違えること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、話し手が適切ではない言い方をすることを表現したい時は「語弊」を、聞き手が話の意味を取り違えることを表現したい時は「誤解」を使うようにしましょう。