似た意味を持つ「脱線」(読み方:だっせん)と「脱輪」(読み方:だつりん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「脱線」と「脱輪」という言葉は、どちらも車両トラブルを表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
脱線と脱輪の違い
脱線と脱輪の意味の違い
脱線と脱輪の違いを分かりやすく言うと、脱線とは車両トラブルだけでなく話がそれることも表し、脱輪とは車両トラブルのみを表すという違いです。
脱線と脱輪の使い方の違い
一つ目の脱線を使った分かりやすい例としては、「脱線した列車の運転手は意識不明の重体です」「脱線事故の生存者が書いた手記を読みました」「会議の途中で話が脱線してしまった」「海外で貨物列車の脱線事故が相次いでいる」などがあります。
二つ目の脱輪を使った分かりやすい例としては、「脱輪した時の脱出方法を教えましょう」「脱輪の引き上げ料金はいくらぐらいですか」「脱輪は事故扱いになりますか」「仮免の試験で脱輪したけど合格できました」「地震が原因で脱輪事故が起きる」などがあります。
脱線と脱輪の使い分け方
脱線と脱輪という言葉は、どちらも車両トラブルを表す言葉であり、「列車などの車輪がレールからはずれること」という共通する意味を持っています。この意味で使用されている「貨物列車の脱線事故」は、「貨物列車の脱輪事故」と言い換えることができます。
さらに脱線という言葉は、車両トラブルに関することだけでなく、比喩的に用いられ「話や行為が本筋から横道にそれること」の意味も持っています。この意味は「脱輪」にはないので、「話が脱線する」の脱線は、脱輪という言葉に置き換えることはできません。
二つの言葉を比べると、車両トラブルだけでなく会話や議論が道筋からそれることも表す「脱線」の方が、幅広いシーンで使用される言葉だと言えるでしょう。
脱線と脱輪の英語表記の違い
脱線も脱輪も英語にすると「derailment」となり、例えば上記の「脱線した列車」を英語にすると「a derailed train」となります。
脱線の意味
脱線とは
脱線とは、汽車や電車などの車輪が線路からはずれることを意味しています。
その他にも、「話や行為が本筋から横道にそれること」の意味も持っています。
脱線の読み方
脱線の読み方は「だっせん」です。誤って「だつせん」「たっせん」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「脱線事故」「話が脱線」「脱線する」
「脱線事故」「話が脱線」「脱線する」
などが、脱線を使った一般的な言い回しです。
脱線の使い方
「尼崎駅付近で脱線事故が発生しました」「福知山線脱線事故から今日で15年です」「最近は脱線事故のニュースを聞かなくなった」「脱線事故に遭遇する夢を見た」「日比谷線の脱線事故を覚えていますか」などの文中で使われている脱線は、「車輪が線路からはずれること」の意味で使われています。
一方、「英語ディベートで議論が脱線してしまった」「病気の症状として次々に話が脱線することがある」「あえて人生のレールから脱線してみる」などの文中で使われている脱線は、「話や行為が横道にそれること」の意味で使われています。
脱線とは、電車や列車などの車輪が線路からはずれることを意味し、鉄道車両の事故を表す言葉です。また、この意味が転じて、談話や論文などにおいて本題から横道へそれること、常軌を逸した行動をとることも意味します。
「脱線防止レール」の意味
脱線を用いた日本語には「脱線防止レール」があります。脱線防止レールとは、線路の内側にガードレール等を敷いて、車両が大きな揺れを受けても脱線しないようにするものです。「脱線防止ガード」とも言います。
「脱線剤」は誤用
脱線を用いた誤った表現には「脱線剤」があります。正しくは「脱染剤」であり、髪からヘアカラーや白髪染めの染料のみを抜く役割を持つ「カラーリムーバー」のことです。
脱線の類語
脱線の類語・類義語としては、回り道をすることや遠回りすることを意味する「迂回」、本筋や決められた枠から外れることを意味する「逸脱」、本筋を離れた話を意味する「余談」などがあります。
脱輪の意味
脱輪とは
脱輪とは、自動車や飛行機などの車輪が、走行中に外れることを意味しています。
その他にも、「自動車などが、走行中に道路の外に車輪を踏み外すこと」「列車が脱線すること」の意味も持っています。
脱輪の読み方
脱輪の読み方は「だつりん」です。誤って「だつわ」「たつりん」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「脱輪した」「脱輪する」「脱輪してしまった」
「脱輪した」「脱輪する」「脱輪してしまった」などが、脱輪を使った一般的な言い回しです。
脱輪の使い方
「雪道では脱輪防止対策をしっかりしてください」「脱輪した側にジャッキをセットする」「タイヤの脱輪は減点の対象になりますか」などの文中で使われている脱輪は、「車輪が走行中に外れること」の意味で使われています。
一方、「脱輪したら落ち着いて対処しよう」「脱輪は警察に通報する必要ありますか」などの文中で使われている脱輪は「道路の外に車輪を踏み外すこと」の意味で、「本日未明に列車の脱輪事故が発生しました」などの文中で使われている脱輪は「列車が脱線すること」の意味で使われています。
脱輪とは、上記の例文にあるように複数の意味を持つため、文脈により意味を判断する必要があります。脱輪の「脱」は訓読みで「ぬぐ」「ぬげる」と読み、ある枠から外れることや取れて無くなることを表し、「輪」は車両のタイヤを表す漢字です。
「脱輪事故」の意味
「脱輪事故」とは車両トラブルを表す言葉ですが、三つのケースが考えられます。一つは乗り物のタイヤが外れる事故、二つめは車の車輪が側溝にはまるなど道路の外に車輪を踏み外す事故、そして三つめは列車がレールから外れる事故であり「脱線事故」とも言われるものです。
脱輪の対義語
脱輪の対義語・反対語としては、部品などを取りつけることを意味する「装着」などがあります。
脱輪の類語
脱輪の類語・類義語としては、タイヤが道路を踏み外して動けなくなった状態を意味する「落輪」、鉄道や自動車あるいは航空機や船舶などの事故を意味する「交通事故」、思わぬ故障を意味する「アクシデント」などがあります。
脱線の例文
この言葉がよく使われる場面としては、汽車や電車などの車輪が線路からはずれること、 常軌を逸した行動をすること、目的や本題からそれることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3の脱線は、車輪が線路からはずれることの意味で用いられています。例文4や例文5にある脱線は、目的や本題からそれることの意味で使用されています。
脱輪の例文
この言葉がよく使われる場面としては、走行中の自動車や飛行機などから車輪がはずれること、道路の外に車輪を踏み外すこと、列車などが脱線することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、脱輪の慣用的な言い回には「脱輪する」「脱輪事故」などがあります。例文1の脱輪は車輪がはずれること、例文2から例文5の脱輪は道路外に車輪を踏み外すことの意味で用いられています。
脱線と脱輪という言葉は、どちらも「列車が脱線するなどの車両トラブル」を表します。さらに「脱線」という言葉には、「話などが本筋からはずれること」を意味する比喩的用法があることこを覚えておきましょう。