似た意味を持つ「怪奇」(読み方:かいき)と「奇怪」(読み方:きかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「怪奇」と「奇怪」という言葉は、どちらも「あやしく不思議なこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
怪奇と奇怪の違い
怪奇と奇怪の意味の違い
怪奇と奇怪の違いを分かりやすく言うと、怪奇とは正体がわからない不思議さを表し、奇怪とは理解できない不思議さを表すという違いです。
怪奇と奇怪の使い方の違い
一つ目の怪奇を使った分かりやすい例としては、「心霊スポットで怪奇現象が続発している」「株の相場が複雑怪奇になっている」「本当に怖い怪奇映画はどれですか」「怪奇な風体に身の毛がよだつ」などがあります。
二つ目の奇怪を使った分かりやすい例としては、「奇怪な事件が立て続けに起こる」「ゾンビが奇怪な動作で立ち上がる」「奇怪で幻想的な城が赤く燃えている」「奇怪な対応に呆れ果てる」などがあります。
怪奇と奇怪の使い分け方
怪奇と奇怪という言葉は、どちらも常識では説明ができない不思議なことを表し、漢字の前後が入れ替わった熟語ですが、厳密な意味には違いがあります。
怪奇とは、「怪奇現象」「怪奇映画」などの使い方で、超自然現象などの正体がわからない不思議なことを意味します。また、「怪奇な風体」のような使い方で、不気味でグロテスクなさまの意味もあります。
奇怪とは、「奇怪な事件」「奇怪な動作」のような使い方で、常識では考えられないほど不思議なことを意味します。また、「奇怪な対応」のような使い方で、非常識で理解できないことや道理に外れていて良くないことも意味する言葉です。
つまり、怪奇とは正体がわからないような不思議さを意味し、奇怪は理解できないような不思議さを表します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
怪奇と奇怪の英語表記の違い
怪奇も奇怪も英語にすると「mysterious」「strange」となり、例えば上記の「怪奇現象」を英語にすると「a strange phenomenon」となります。
怪奇の意味
怪奇とは
怪奇とは、あやしく不思議なことを意味しています。
その他にも、「姿かたちが不気味なこと、グロテスク」の意味も持っています。
怪奇の読み方
怪奇の読み方は「かいき」です。誤って「あやき」「けいき」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「怪奇現象」「怪奇行動」
「怪奇現象」「怪奇行動」などが、怪奇を使った一般的な言い回しです。
怪奇の使い方
「名探偵が怪奇事件の謎をひもとく」「江戸川乱歩は怪奇小説を書いた文豪です」「怪奇現象に悩む家は少なくありません」「女性の心は複雑怪奇なのです」などの文中で使われている怪奇は、「あやしく不思議なこと」の意味で使われています。
一方、「怪奇な見た目の食材ほど実は美味しかったりします」「怪奇な姿に恐れおののく」「珍しいサボテンの怪奇な形に驚く」などの文中で使われている怪奇は、「姿かたちが不気味なこと」の意味で使われています。
怪奇の「怪」は訓読みで「あやしい」と読み、不思議な事柄を表し、「奇」は訓読みで「めずらしい」と読み、普通でないことを表す漢字です。怪奇とは、あやしく不思議なこと、実際にはありそうもないを意味します。また、 姿や形が奇妙で無気味なこと、グロテスクなことも意味します。
四字熟語「複雑怪奇」の意味
怪奇を用いた四字熟語には「複雑怪奇」(読み方:ふくざつかいき)があります。複雑怪奇とは、非常に込み入っていて、普通の理解を越えるような不思議なさまを意味します。複雑でわかりにくい話や事態などに使用される四字熟語です。
怪奇の対義語
怪奇の対義語・反対語としては、特に変わっていないことや当たり前であることを意味する「普通」などがあります。
怪奇の類語
怪奇の類語・類義語としては、普通では考えも想像もできないことを意味する「不思議」、現実にはありえないような、不思議な事実を意味する「怪異」、普通とようすが違っていることを意味する「奇異」、神秘的なさまや不可解なさまを意味する「ミステリアス」などがあります。
奇怪の意味
奇怪とは
奇怪とは、常識では考えられないほど怪しく不思議なことを意味しています。
その他にも、「常識に外れていて合点のゆかないこと、けしからぬこと」の意味も持っています。
奇怪の読み方
奇怪の読み方は「きかい」です。同じ読み方をする熟語に「機械」や「機会」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「奇怪な行動」「奇怪な人」
「奇怪な行動」「奇怪な人」などが、奇怪を使った一般的な言い回しです。
奇怪の使い方
「本当にあった奇怪な話を紹介します」「必ず当たるという奇怪なおみくじを引きました」「何とも奇怪千万な出来事であった」などの文中で使われている奇怪は、「怪しく不思議なこと」の意味で使われています。
一方、「首相の奇怪千万な振る舞いに国民は驚いている」「若者の言動は奇怪なことばかりだ」「思春期の息子は奇怪なことばかり言っている」などの文中で使われている奇怪は、「合点のゆかないこと」の意味で使われています。
奇怪とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で使われているので文脈により意味をとらえる必要があります。「奇怪な出来事」「奇怪な振る舞い」など、ネガティブな意味合いで用いられることが多い言葉です。
四字熟語「奇奇怪怪」の意味
奇怪を用いた四字熟語には「奇奇怪怪」(読み方:ききかいかい)があります。奇奇怪怪とは、奇怪を強めていう表現であり、非常に怪しく不思議なさま、常識では理解できない不思議なさまを意味します。「奇々怪々」とも書きます。
奇怪の対義語
奇怪の対義語・反対語としては、一般の社会人が共通にもつ普通の知識や判断力を意味する「常識」などがあります。
奇怪の類語
奇怪の類語・類義語としては、珍しく不思議なことを意味する「奇妙」、常識では考えられないことを意味する「不可思議」、常識を欠いていることを意味する「非常識」、奇怪を強めていう語を意味する「奇っ怪」(読み方:きっかい)などがあります。
怪奇の例文
この言葉がよく使われる場面としては、説明のしようもない不思議なこと、姿かたちが奇妙で無気味なことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある怪奇は、説明のしようもないほど不思議なことの意味で用いられています。例文5の怪奇は、姿かたちが奇妙で無気味なことの意味で使われています。
奇怪の例文
この言葉がよく使われる場面としては、普通では理解できない不思議な出来事、常識外れなさまや理にかなわぬさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2の奇怪は、「普通では理解できない不思議な出来事」の意味で用いられています。例文3から例文5の奇怪は、「理にかなわぬさま」の意味で使われています。
怪奇と奇怪という言葉は、どちらも「あやしく不思議なこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、不気味な感じがする不思議なことを表現したい時は「怪奇」を、理にかなわない不思議なことを表現したい時は「奇怪」を使うようにしましょう。