似た意味を持つ「自粛」(読み方:じしゅく)と「自重」(読み方:じちょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「自粛」と「自重」という言葉は、どちらも行動を慎むことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
自粛と自重の違い
自粛と自重の意味の違い
自粛と自重の違いを分かりやすく言うと、自粛とは社会的に慎むこと、自重とは個人的に慎むことという違いです。
自粛と自重の使い方の違い
一つ目の自粛を使った分かりやすい例としては、「大規模イベントの開催自粛が続いている」「外出を自粛するように呼びかけた」「活動を自粛していた芸能人が復帰した」などがあります。
二つ目の自重を使った分かりやすい例としては、「この後重要な会議があるのでニンニク入りラーメンは自重する」「騒ぎが収まるまでしばらく自重することにした」「その場の雰囲気を壊したくなかったので発言を自重した」などがあります。
自粛と自重の使い分け方
自粛と自重は行動を慎むという共通の意味を持っているのですが、自粛は世間の目を気にして社会的に自らの行動を控える時に使い、自重は個人的に軽はずみな行動を慎む時に使うことが多いです。
上記の「外出を自粛するように呼びかけた」は使える言葉なのですが、「外出を自重するように呼びかけた」とは言いません。後者を使うならば、「新型ウイルスが流行っているため外出を自重した」になります。
自粛と自重の英語表記の違い
自粛を英語にすると、「Self-restraint」となり、例えば上記の「イベントの開催自粛が続いている」を英語にすると「Event self-restraint continues」となります。
一方、自重を英語にすると「prudence」となり、例えば上記の「お酒を飲むことを自重する」を英語にすると「Be prudence when drinking」となります。
自粛の意味
自粛とは
自粛とは、自らの行動を慎むことを意味しています。
表現方法は「自粛する」「自粛いたします」「自粛のお願い」
「自粛する」「自粛いたします」「自粛のお願い」「自粛ムード」「自粛要請」などが、自粛を使った一般的な言い回しです。
自粛の使い方
自粛を使った分かりやすい例としては、「当面の間、夜間の酒場の出入りは自粛するように呼びかけた」「イベントの開催を自粛した」「自粛ムードが続いてる」「不祥事を起こしたのでしばらく活動を自粛いたします」などがあります。
自粛という言葉は簡単に言うと、世間の目を気にして自分から進んで控えたり遠慮するという意味です。
上記の「不祥事を起こしたのでしばらく活動を自粛いたします」を例に挙げると、不祥事を起こしたので世間の目を気にしてしばらく活動を控えますという意味になっています。
自粛は新聞やテレビの報道などでよく見たり聞いたりする言葉です。特に新型ウイルスの流行や大災害が起った際に「外出を自粛するように」「イベントの開催を自粛してください」などの表現で使われるのを見かけるはずです。
自粛の類語
自粛の類語・類義語としては、自分の感情や欲望などに打ち勝つことを意味する「克己」(読み方:こっき)、耐え忍ぶことを意味する「我慢」、自分の感情や欲望を抑えることを意味する「自制」などがあります。
自粛の粛の字を使った別の言葉としては、厳かで心が引き締まることを意味する「厳粛」、ひっそりと静まっていることを意味する「粛粛」、静かに慎んでいることを意味する「静粛」、緩んだ気風などを奮い起こして引き締めることを意味する「振粛」などがあります。
自重の意味
自重とは
自重とは、行動や言動を慎んで軽はずみなことをしないことを意味しています。
その他にも、自分の健康に注意して身体を大切にすることの意味も持っています。
表現方法は「自重する」「ご自重ください」
「自重する」「ご自重ください」などが、自重を使った一般的な言い回しです。
自重の使い方
「酔っぱらって他人迷惑をかけないために酒の飲みすぎは自重しよう」「自重しない人は嫌われやすい」「お前ら自重しろ」などの文中で使われている自重は、「言動を慎んで軽はずみなことをしないこと」の意味で使われています。
一方、「何卒ご自重ください」「ご多忙の折だと思いますが何卒ご自重ください」などの文中で使われている自重は、「自分の健康に注意して身体を大切にすること」の意味で使われています。
自重という言葉は一般的に、言動を慎んで軽はずみなことをしないことの意味で使われています。反対に、自分の健康に注意して身体を大切にすることの意味ではあまり使わないため、馴染みがないはずです。
「自重しろ」「自重汁」の意味
自重は、自分に対してにしか使わない言葉だったのですが、ネット上で相手に対して「自重しろ」「自重汁」などを使う人が増えてきています。この場合は、相手に対して「行動を慎めよ」という意味で使われています。
自重の読み方
自重の読み方を「じちょう」ではなく「じじゅう」と読んでしまうと、自分の体重という全く違う意味になってしまうので十分に注意してください。
四字熟語「隠忍自重」の意味
自重を使った四字熟語としては、「隠忍自重」(読み方:いんにんじちょう)があります。隠忍自重とは、怒りや苦しみなどをじっと堪えて軽々しい行動をしないことを意味しています。隠忍自重を使った分かりやすい例としては、「隠忍自重の毎日を過ごしている」があります。
自重の類語
自重の類語・類義語としては、自分の言動を自分で戒め慎むことを意味する「自戒」、控え目に振る舞うことを意味する「慎み」、自制して礼儀を守るようにすること意味する「克己復礼」(読み方:こっきふくれい)などがあります。
自重の重の字を使った別の言葉としては、愛して大事にすることを意味する「愛重」、非常に大切にすることを意味する「貴重」、敬い重んじることを意味する「敬重」、この上なく大切なことを意味する「至重」などがあります。
その他にも、尊び重んじることを意味する「推重」、厳かで重々しいことを意味する「荘重」、価値のあるものを尊いものとして扱うことを意味する「尊重」、珍しいものとして大切にすることを意味する「珍重」などがあります。
自粛の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世間の目を気にして自らの行いや行動を慎むことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2のように新聞やテレビの報道などでよく見かける言葉です。特に新型ウイルスの流行や災害が起こった際に頻繁に見かけるでしょう。自粛は世間の目や他人の目を気にして自らの行動を慎む時に使うと覚えておけば間違いありません。
自重の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分自身が問題を起こさないように行動や言動を慎むことを表現したい時などが挙げられます。
例文2のように自分自身が問題を起こさないように行動を慎む意味で使われるのが一般的です。しかし、例文1や例文3のように、ネット上では他人に対して行動を慎めよという意味で使う人が増えてきています。
自粛と自重どちらを使うか迷った場合は、世間の目を気にして社会的に自らの行動を慎む時は自粛、自分自身が問題を起こさないように個人的に自らの行動を慎む時は自重を使うようしましょう。