似た意味を持つ「発掘」(読み方:はっくつ)と「採掘」(読み方:さいくつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「発掘」と「採掘」という言葉は、どちらも「掘り出すこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
発掘と採掘の違い
発掘と採掘の意味の違い
発掘と採掘の違いを分かりやすく言うと、発掘とは遺跡を掘り出すこと、採掘とは鉱物を掘り出すことという違いです。
発掘と採掘の使い方の違い
一つ目の発掘を使った分かりやすい例としては、「化石を発掘するための道具を揃える」「城の発掘調査が始まりました」「発掘調査報告書を全文電子化しました」「ポテンシャルのある人材を発掘する」「オーディションでタレントを発掘する」などがあります。
二つ目の採掘を使った分かりやすい例としては、「政府は石油ガス採掘権を民間企業に与えました」「これまでの金の採掘量を調べる」「採掘場で原因不明の陥没穴が発見された」「状況に応じた採掘方法を採用します」「ビットコインの採掘の仕組みを教えてください」などがあります。
発掘と採掘の使い分け方
発掘と採掘という言葉は、どちらも地中を掘って中の物を取り出すことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
発掘とは、土中に埋まっているものを掘り起こすことを意味します。主に考古学の世界で用いられ、埋もれた遺跡や遺物を掘り出す作業を指す言葉です。また、「人材を発掘する」のような使い方で、比喩的に世に知られていない価値あるものを見つけ出すことも意味します。
採掘とは、鉱物などを地中から掘り出すことを意味します。採掘によって回収される物質には、石油、石炭、ダイヤモンド、石灰岩、オイルシェール、岩塩などがあります。また、「ビットコインの採掘」のような使い方で、暗号資産の新しい取引データを検証する作業も意味します。
つまり、発掘とは遺跡や遺物を掘り出す作業や価値あるものを見つけ出すことであり、採掘とは鉱物を掘り出す作業や暗号資産のデータを検証する作業を意味する言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
発掘と採掘の英語表記の違い
発掘を英語にすると「excavation」「dig」「serendipity」となり、例えば上記の「化石を発掘する」を英語にすると「excavate that fossil」となります。
一方、採掘を英語にすると「mining」「exploitation」「working」となり、例えば上記の「採掘権」を英語にすると「mining rights」となります。
発掘の意味
発掘とは
発掘とは、地中に埋もれているものを掘り出すことを意味しています。
その他にも、「考古学で、埋もれた遺跡を掘り出す作業」「世間に知られていない優れた人やものを見つけ出すこと」の意味も持っています。
発掘の読み方
発掘の読み方は「はっくつ」です。誤って「ほっくつ」「はつくつ」などと読まないようにしましょう。
発掘の使い方
「埋蔵されていた宝物を発掘する」「地中から発掘することに成功しました」「発掘作業員は重たい土を掘り上げています」などの文中で使われている発掘は、「埋もれているものを掘り出すこと」の意味で使われています。
一方、「恐竜の骨を発掘した」「発掘調査員のバイトをしています」の文中で使われている発掘は「遺跡を掘り出す作業」の意味で、「次世代のスターを発掘する」「人材発掘の手法を教えてください」の文中で使われている発掘は「世に知られていないものを見つけ出すこと」の意味で使われています。
発掘とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。発掘の「発」は隠れていたものなどを明るみに出すこと、「掘」は地中からほり出すことを表す漢字です。
「発掘調査」の意味
発掘を用いた日本語には「発掘調査」があります。発掘調査とは、昔の人々が生活した生活環境と自然環境を、発掘することで確認し理解するための作業のことです。日本では、発掘調査を行おうとする場合、文化財保護法の規制を受けます。
発掘の対義語
発掘の対義語・反対語としては、地中に埋め隠すことを意味する「埋蔵」などがあります。
発掘の類語
発掘の類語・類義語としては、地盤や岩盤を掘り取ったり削り取ったりすることを意味する「掘削」、穴をあけることや穴があくことを意味する「穿孔」、有望な人材を探し出したり引き抜いたりすることを意味する「スカウト」などがあります。
採掘の意味
採掘とは
採掘とは、岩石や土砂あるいは地中の鉱物などを掘り出すことを意味しています。
その他にも、「ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨で、新規の取引情報を解析しブロックチェーンを作成する作業」も意味します。
採掘の読み方
採掘の読み方は「さいくつ」です。誤って「さいほり」などと読まないようにしましょう。
採掘の使い方
「石炭採掘用カの作業服が支給されました」「採掘現場で蒸気が噴出しています」「作業員が採掘場に閉じ込められてしまった」などの文中で使われている採掘は、「岩石や地中の鉱物などを掘り出すこと」の意味で使われています。
一方、「ビットコインの採掘量が増加している」「個人採掘者がブロック生成に成功した」「仮想通貨の採掘報酬が半分となる」などの文中で使われている採掘は、「仮想通貨で、新規の取引情報を解析しブロックチェーンを作成する作業」の意味で使われています。
採掘とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「岩石や地中の鉱物などを掘り出すこと」の意味で用いられています。採掘の「採」は同類のものを広く多く集めること、「掘」は地面に埋まっているものを取り出すことを表します。
「採掘権」の意味
採掘を用いた日本語には「採掘権」があります。採掘権とは、鉱業権の一つで、特定の鉱区内で、ある鉱物を採掘・取得する権利を意味します。物権とみなされ、原則として不動産に関する規定が準用されます。
採掘の類語
採掘の類語・類義語としては、鉱山で鉱石を採掘することを意味する「採鉱」、石炭を採掘することを意味する「採炭」、地下の油層から石油を汲み取ることを意味する「採油」、石炭や鉱石などを地表から直接に掘り進んで採掘することを意味する「露天掘り」などがあります。
発掘の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、土中にあるものを掘り出すこと、考古学で地表下に埋蔵された遺物や遺跡を掘り出すこと、知られていないすぐれたものを探して世に出すことを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある発掘は、比喩的用法で、隠れた価値あるものや人を見つけ出すことの意味で用いられています。
採掘の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、土を掘って鉱物などを取ること、ブロックチェーン技術で管理される暗号資産の取引情報を承認する作業を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある採掘は、土を掘って鉱物などを取ることの意味で用いられています。例文5の採掘は、暗号資産の取引情報を承認する作業の意味で使用されています。
発掘と採掘という言葉は、どちらも「掘り出すこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、遺物や遺跡を取り出すことを表現したい時は「発掘」を、鉱物や資源を掘り出すことを表現したい時は「採掘」を使うようにしましょう。