【努力】と【尽力】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「努力」(読み方:どりょく)と「尽力」(読み方:じんりょく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「努力」と「尽力」という言葉は、どちらも「ある目的のために力を尽くすこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




努力と尽力の違い

努力と尽力の意味の違い

努力と尽力の違いを分かりやすく言うと、努力とは自分の目的にも使える言葉、尽力とは自分の目的には使えない言葉という違いです。

努力と尽力の使い方の違い

一つ目の努力を使った分かりやすい例としては、「目標に向かって努力することが大切です」「努力家で優しい彼が大好きです」「低酸素状態に陥って努力呼吸になっている」「努力義務を守らないとどうなりますか」などがあります。

二つ目の尽力を使った分かりやすい例としては、「サービス改善に向けて尽力する所存です」「企画を成功させるために尽力する所存です」「皆様のご尽力に感謝いたします」「多大なるご尽力を賜りありがとうございました」などがあります。

努力と尽力の使い分け方

努力と尽力という言葉は、どちらも目標や目的のために力を尽くして励むことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

努力とは、あることを成し遂げるために努め励むことを意味します。常に努力している人や怠けずによく励む人のことを「努力家」と言いますが、努力家は自分の目標に向かって努力したり、会社や組織のために頑張ることができます。

尽力とは、「プロジェクトの成功のために尽力する」のような使い方で、何かを達成しようとして力を尽くすことを意味します。尽力という言葉は、一般的に自分のための目的実現のためには使われず、ある事や他人のために全力を出し切る様子を表します。

つまり、努力とは自分を含めた誰の目的や目標にも使用できますが、尽力は自分の目的や目標に用いることはできません。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

努力と尽力の英語表記の違い

努力も尽力も英語にすると「effort」「exertion」「endeavor」となり、例えば上記の「努力する」を英語にすると「make efforts」となります。

努力の意味

努力とは

努力とは、ある目的のために力を尽くして励むことを意味しています。

努力の使い方

努力を使った分かりやすい例としては、「英語のテストで満点が取れるよう努力する」「努力賞ポイントでプレゼントと交換できます」「つつじの花言葉は努力です」「自転車利用者のヘルメット着用が努力義務とは知らなかった」などがあります。

その他にも、「英語の先生は努力家です」「イラストが上手く描けるよう努力する」「ポケモンの能力は努力値から算出できます」「努力呼吸の見分け方を教えてください」「努力は必ず報われるというのは本当ですか」などがあります。

努力の「努」は訓読みで「つとめる」と読み、ある目標や目的に向かって力を尽くすことを表す漢字です。働きのもとを表す「力」と組み合わさり、努力とは、目標の実現のために心身を労してつとめること、骨を折ることを意味します。

表現方法は「努力呼吸」

努力を用いた日本語には「努力呼吸」があります。努力呼吸とは、呼吸困難の徴候の一つであり、不足した呼吸量を補うために行われる呼吸を意味します。発熱時や低酸素血症などでみられ、通常時に使用される呼吸筋とともに、内肋間筋や腹筋などの補助呼吸筋が使われ、胸郭や肩が大きく動きます。

努力の対義語

努力の対義語・反対語としては、怠けておろそかにすることを意味する「怠慢」、なまけてだらしないことを意味する「怠惰」などがあります。

努力の類語

努力の類語・類義語としては、力いっぱい努力することを意味する「奮闘」、一つのことに精神を集中して励むことを意味する「精進」、困難にめげないで我慢してやり抜くことを意味する「頑張る」、力の限り懸命に働くことを意味する「粉骨砕身」などがあります。

尽力の意味

尽力とは

尽力とは、ある目的の実現のために、力を尽くすことを意味しています。

尽力の読み方

尽力の読み方は「じんりょく」です。誤って「じんりき」などと読まないようにしましょう。

尽力の使い方

尽力を使った分かりやすい例としては、「健全な経営に尽力して参ります」「お役に立てるよう尽力いたします」「スタッフ一同尽力して参ります」「微力ながら精一杯尽力いたします」「ご期待に応えられるよう尽力する所存です」などがあります。

その他にも、「ご尽力いただき誠にありがとうございます」「皆様にご尽力いただいたおかげです」「これまで英語教育の発展に尽力して参りました」「新規ビジネスを確立させることに尽力いたします」などがあります。

尽力の「尽」は訓読みで「つくす」と読み、他の者のために精一杯働いたり努力したりすることを表します。他の物を動かす働きを表す「力」と組み合わさり、尽力とは、ある事や他の人のために、自分の持っている力をできる限り出して力になることを意味します。

尽力という言葉は、ビジネスシーンで使用されることが多くあります。上記例文の「尽力して参ります」とは、ある目標や課題に対して自分の力を最大限に出していく気持ちを表す敬語表現です。新しい職責に就いた際の挨拶や、取引先との商談などで使用されています。

「尽力を尽くす」は誤用

尽力を用いた誤った使い方には、「尽力を尽くす」があります。「尽力を尽くす」は「頭痛が痛い」と同じ二重表現なのでおかしい言い回しになります。「尽力する」「尽力いたします」などと言い換えると良いでしょう。

尽力の対義語

尽力の対義語・反対語としては、邪魔をすることを意味する「妨害」、妨げることを意味する「阻害」などがあります。

尽力の類語

尽力の類語・類義語としては、ある物事や社会のために役立つように尽力することを意味する「貢献」、社会や人のために役に立つことを意味する「寄与」、他人やある物事のために我が身を犠牲にして尽くすことを意味する「献身」などがあります。

努力の例文と使い方

1.英語は努力した分だけ結果に出やすい教科ですから、英語が苦手なあなたは努力不足なのです。
2.努力家の人は、目標に向かってしっかりと計画を立てコツコツと頑張ることができます。
3.自己実現に向けた努力をする前に、時間の使い方を変えることにしました。
4.著名人や有名人の努力に関する名言を聞くと、俄然やる気が出てきます。
5.未来なんてどうなるかわからないのに、今を楽しまないで努力する意味がわからない。

この言葉がよく使われる場面としては、あることを成し遂げるために、怠けたりすることなく努め励むことを表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「努力」と「頑張る」の違いは、「努力」は客観的なニュアンスがあり、「頑張る」は主観的なニュアンスがあることです。また、「頑張る」には困難にめげないで我慢するという意味合いもあります。

尽力の例文と使い方

1.本プロジェクトの成功のために、精一杯尽力させていただきます。
2.株主様のご期待に添えるよう、社員一丸となって会社の成長のために尽力して参ります。
3.引き続き皆様のお役に立てるよう、微力ながら尽力する所存でございます。
4.先生方におかれましては、子どもたちが充実した学校生活を送れるようご尽力いただきありがとうございます。
5.多くの方々のご尽力のおかげでイベントが成功しましたこと、心より感謝申し上げます。

この言葉がよく使われる場面としては、力を尽くすこと、骨を折ることを表現したい時などが挙げられます。

例文4や例文5にある「ご尽力」は「尽力」の丁寧な表現です。敬意を表して他人の尽力に感謝する際に用いられ、目上の人に対しても使用することができます。

努力と尽力という言葉は、どちらも「目的のために力を尽くすこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「尽力」は自分の目的には使えないことを思い出してください。

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