【移転】と【転居】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「移転」(読み方:いてん)と「転居」(読み方:てんきょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「移転」と「転居」という言葉は、どちらも「場所を移すこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




移転と転居の違い

移転と転居の意味の違い

移転と転居の違いを分かりやすく言うと、移転とは会社などの所在地を移すこと、転居とは家などの住む場所を移すことという違いです。

移転と転居の使い方の違い

一つ目の移転を使った分かりやすい例としては、「オフィスの移転計画を進めています」「事務所移転の挨拶状を作成しています」「乗用車の移転抹消に必要な書類は何ですか」「海外子会社に移転価格の税務調査が入りました」などがあります。

二つ目の転居を使った分かりやすい例としては、「市役所に転居届を出しに行きます」「転居届はいつまでに出すべきですか」「転居に関する手続きの方法を教えてください」「転居しましたが、印鑑登録の住所変更は必要ですか」などがあります。

移転と転居の使い分け方

移転と転居という言葉は、どちらも所在地や住所を他の場所に移すことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

移転とは、場所や住所を変えることを意味します。多くは会社や店舗などの住所を移すことに用いられ、個人が住む家の場所を移すことに使用されることはあまりありません。また、移転は法律用語にもなっており、「移転抹消」「移転価格」のような使い方で、権利を他に移すことも意味します。

転居とは、住居を他の場所に変えることを意味し、いま住んでいる場所とは別の場所に移り住むことを表します。法令では同じ市区町村内で引っ越しすることを指し、別の市区町村に引っ越すことを意味する「転出」「転入」と区別されています。

つまり、移転とは事務所や店舗の引っ越しに使用され、転居とは家などの住居に使用される言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味や使い方には違いがあるので注意してください。

移転と転居の英語表記の違い

移転を英語にすると「transposition」「transfer」「relocation」となり、例えば上記の「移転計画」を英語にすると「relocation plan」となります。

一方、転居を英語にすると「moving」「removal」「change of address」となり、例えば上記の「転居届」を英語にすると「a notice of removal」となります。

移転の意味

移転とは

移転とは、位置や住所などを変えることを意味しています。

その他にも、「法律で、権利の主体が一方から他方へ移ること、また、移すこと」の意味も持っています。

移転の使い方

「会社移転のお知らせをハガキとメールで送ります」「事務所の移転祝いに胡蝶蘭を贈りました」「移転登記とは不動産の所有権を明確にするための手続きです」などの文中で使われている移転は、「位置や住所などを変えること」の意味で使われています。

一方、「車の移転登録申請書を取り寄せる」「国税庁が主催する移転価格税制のセミナーに参加しました」「法律によって犯罪収益の移転を防止する」などの文中で使われている移転は、「権利の主体が一方から他方へ移ることや移すこと」の意味で使われています。

移転とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。移転の「移」は他の所へ動かすことや位置が変わること、「転」は場所を変えることを表す漢字です。

「移転価格税制」の意味

移転を用いた日本語には「移転価格税制」があります。移転価格税制とは、親会社と海外子会社などのグループ企業間の国際取引について、取引価格に不正のある場合、税務当局が適正と判断した価格に基づいて所得を計算し法人税の課税額を決める制度のことです。

移転の対義語

移転の対義語・反対語としては、一定の所に落ち着くことを意味する「定着」などがあります。

移転の類語

移転の類語・類義語としては、ある場所から他の場所へ移ることを意味する「移動」、同じ組織の中で他の職務または任地にかわることを意味する「転任」、スポーツ選手などが所属を他の団体へ移すことを意味する「移籍」などがあります。

転居の意味

転居とは

転居とは、住居をかえること、引っ越しを意味しています。

転居の使い方

転居を使った分かりやすい例としては、「転居届に必要なものを確認する」「転居届の提出はいつから受付してますか」「転居届は引っ越し前に出せません」「転居後にマイナンバーカードの変更手続きをしてください」などがあります。

その他にも、「英語の先生のご近所に転居しました」「転居はがきのテンプレートを無料でダウンロードする」「郵便局の窓口で転居届の申請をしてきました」「郵便局の転居届はインターネットでやります」などがあります。

転居の「転」は訓読みで「ころがる」と読み、方向を変えることや場所を移すことを表します。腰を落ち着けて住むを表す「居」と結びつき、転居とは、住む所を他の場所に変えることを意味します。特に、法令では同一市町村内で住所を変更することを「転居」と呼んでいます。

「転居届」の意味

転居を用いた日本語には「転居届」があります。転居届とは、同じ市区町村内で引っ越しをする場合に役所に提出する届出のことです。引っ越し後14日以内に提出するものです。市区町村の区域外へ引っ越す場合は、引っ越し元の役所に転出届を、引っ越し先の役所に転入届を出さなければなりません。

転居の対義語

転居の対義語・反対語としては、一定の場所に住居を構えて住みつくことを意味する「定住」、長くある土地に住み着くことを意味する「永住」などがあります。

転居の類語

転居の類語・類義語としては、他の土地に移り住むことを意味する「移住」、住居を他に移すことを意味する「転宅」、今までの居住地を出て他の土地に移ることを意味する「転出」、他の土地からその土地へ移り住むことを意味する「転入」などがあります。

移転の例文と使い方

1.店舗移転に必要な手続きや費用を検討した結果、今回は見送ることにしました。
2.息子が通う英語塾が遠くに移転することになり、継続するかどうか悩んでいます。
3.オフィスを移転することになったので、サーバやパソコンの移設を専門業者に相談しています。
4.相続による特許権の移転は、すみやかに特許庁長官に届け出ることを推奨します。
5.税理士をしている友人に、移転価格税制の問題点をわかりやすく教えてもらいました。

この言葉がよく使われる場面としては、場所を移すこと、会社や店舗などの住所を移すこと、権利を他に移すことを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3にある移転は、場所を移すことの意味で用いられています。例文4や例文5にある移転は、権利を移すことを意味する法律用語です。

転居の例文と使い方

1.もうすぐ引っ越す予定ですが、転居届はいつからいつまでに出せばいいですか。
2.市内で引っ越しをする場合、転居届を移転してから14日以内に出してください。
3.同じ市区町村内で引越すのであれば、転居届を出すことで住民票の異動が完了します。
4.郵便物等を転送するための転居届は、郵便局に行かなくてもインターネット上で手続き可能です。
5.郵便局のe転居がうまくできなかったので、結局は郵便局に行くことになりました。

この言葉がよく使われる場面としては、住居をかえること、転宅を表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「e転居」とは、日本郵便が提供している転居届のサービスであり、郵便物等の転送のための届出をインターネット上で受け付けるものです。

移転と転居という言葉は、どちらも「場所を移すこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、店などの所在地を移すことを表現したい時は「移転」を、家などの住む場所を移すことを表現したい時は「転居」を使うようにしましょう。

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