似た意味を持つ「このまま」と「そのまま」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「このまま」と「そのまま」という言葉は、どちらも今の状態のままのことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「このまま」と「そのまま」の違い
「このまま」と「そのまま」の違いを分かりやすく言うと、「このまま」は対象が自分の方に近い場合に使う、「そのまま」は対象が相手の方に近い場合に使うという違いです。
一つ目の「このまま」を使った分かりやすい例としては、「このままでは意味が通じません」「このままだと志望校に合格するのは厳しいだろう」「このままだと熱中症で倒れてしまいそうです」「病人をこのままにしてはおけません」「私はこのままで満足です」などがあります。
二つ目の「そのまま」を使った分かりやすい例としては、「両親は嫁いだ姉の部屋をそのままにしている」「彼は中国へ行ってそのまま帰ってきませんでした」「写真を撮るのでそのまま動かないでください」「娘は母親そのままの明るい子です」などがあります。
「このまま」と「そのまま」はどちらも今の状態のままのことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「このまま」の「この」は空間的や心理的に話し手に近い人や物を指さしているので、基本的に対象が自分の方に近い場合に使います。
一方、「そのまま」の「その」は空間的や心理的に聞き手に近い人や物を指しているので、基本的に対象が相手の方に近い場合に使うというのが違いです。
例えば、ゆで卵を作ろうとしている時に自分が卵を持っていたら、「このまま茹でます」と使うことができます。一方、相手が卵を持っていた場合は、「そのまま茹でてください」となります。
つまり、対象が自分の方に近い場合に使うのが「このまま」、対象が相手の方に近い場合は「そのまま」の方を使うというのが違いです。
「このまま」も「そのまま」も英語にすると「as is」となり、例えば上記の「私はこのままで満足です」を英語にすると「I am contented as I am」となります。
「このまま」の意味
「このまま」とは、今の状態のままのことを意味しています。
「このまま」を漢字にすると「此の儘」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「このまま」を使うようにしましょう。
「このまま」を使った分かりやすい例としては、「これらには触れずにこのままにしておいてください」「このままでは試合に勝つことはできないだろう」「このまま進めて問題ありません」「このままだと自分が壊れてしまいそうです」などがあります。
「このまま」は空間的や心理的に話し手に近い人や物を指さすことを意味する「この」に、ある動作や状態が保たれた状況で別の動作がなされることを意味する「まま」が合わさり、今の状態のままのことの意味で使われている名詞です。
「このまま」は空間的や心理的に話し手に近い人や物を指さしているので、基本的に対象が自分の方に近い場合に使います。
「このまま」は今の状態をそのまま維持する場合に使うので、日常生活やビジネスシーンなどの幅広い範囲で使うことができます。また、自分でも使用したことある方がほとんどなので、馴染みがある人も多いでしょう。
「このまま」の類語・類義語としては、現在の状況や状態や情勢がそのまま変わらないことを意味する「現状維持」、ある社会で古くから受け継がれてきている生活上のことを意味する「慣習的」、以前から今まで通りのことを意味する「従来通り」などがあります。
「そのまま」の意味
「そのまま」とは、その状態のとおりで変化のないことを意味しています。その他にも、そのものに完全に似ていることや前の動作からすぐ次の動作に移ることの意味も持っています。
「そのまま」を漢字にすると、「其の儘」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「そのまま」を使うようにしましょう。
「そのままの姿勢を維持してくださいね」「こちらの商品はそのまま召し上がっても問題ありません」などの文中で使われている「そのまま」は、「その状態のとおりで変化のないこと」の意味で使われています。
一方、「実践そのままの演習を行いました」「横なるとそのまま寝てしまいました」などの文中で使われている「そのまま」は、「そのものに完全に似ていることや前の動作からすぐ次の動作に移ること」の意味で使われています。
「そのまま」はその状態のとおりで変化のないこと、そのものに完全に似ていること、前の動作からすぐ次の動作に移ることの3つの意味を持つ言葉です。
この中でも広く一般的なのがその状態のとおりで変化のないことで、日常生活やビジネスシーンなどの様々な場面で使うことができます。
「そのまま」は空間的や心理的に聞き手に近い人や物を指しているので、基本的に対象が相手の方に近い場合に使うと覚えておきましょう。
「そのまま」の類語・類義語としては、今ある状態の通りのことを意味する「あるがまま」、偽りのない姿のことを意味する「ありのまま」、言葉や物事の表面に現れた意味そのままのことを意味する「額面通り」などがあります。
「このまま」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、今の状態のままのことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「このまま」は様々な場面において使うことができる言葉です。
「そのまま」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その状態のとおりで変化のないことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、そのものに完全に似ていることや前の動作からすぐ次の動作に移ることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3はその状態のとおりで変化のないこと、例文4はそのものに完全に似ていること、例文5は前の動作からすぐ次の動作に移ることの意味で使っています。
「このまま」と「そのまま」はどちらも今の状態のままのことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、対象が自分の方に近い場合に使うのが「このまま」、対象が相手の方に近い場合に使うのが「そのまま」と覚えておきましょう。