似た意味を持つ「先着」(読み方:せんちゃく)と「抽選」(読み方:ちゅうせん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「先着」と「抽選」という言葉は、どちらも「当選者を決定する方法」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
先着と抽選の違い
先着と抽選の意味の違い
先着と抽選の違いを分かりやすく言うと、先着とは申し込んだ順番に決定すること、抽選とは申し込み順に関係なく無作為に選出することという違いです。
先着と抽選の使い方の違い
一つ目の先着を使った分かりやすい例としては、「開店まで先着順に並んでお待ちください」「先着販売の申込方法を確認する」「チケットは先行抽選ではなく先行先着で販売されます」「先着10名様にプレゼントします」などがあります。
二つ目の抽選を使った分かりやすい例としては、「抽選券は午前9時より配布いたします」「抽選会のポスターを作成する」「ガラポン抽選会に参加しました」「福袋はオンラインストアで抽選販売します」「厳正なる抽選の結果、落選となりました」などがあります。
先着と抽選の使い分け方
先着と抽選という言葉は、どちらもチケットの販売方法や、プレゼントの当選者を決定する方法などで用いられていますが、意味や使い方には違いがあります。
先着とは、他よりも先に到着することを意味します。チケット販売における「先着販売」とは、チケットの発売日を告知しておき、購入希望者は申し込み順にチケットを取得できる方式です。先着販売は、早い者勝ちの原則が適用される手法と言えます。
抽選とは、くじを引くことを意味し、平等な確率で物事を決める方法を表します。チケット販売における「抽選販売」とは、申し込み順に関わらず抽選システムなどでチケット購入者を無作為に選出するものです。
つまり、先着とは申し込んだ順番によって決定することであり、抽選とは申し込み順ではなく無作為に選び出すことです。二つの言葉は申し込み順が問題になるか否かという点で、相反する意味を持つ言葉と言えるでしょう。
先着と抽選の英語表記の違い
先着を英語にすると「arriving first」「the first arrival」となり、例えば上記の「先着順に」を英語にすると「in order of arrival」となります。一方、抽選を英語にすると「drawing」「lottery」となり、例えば上記の「抽選券」を英語にすると「lottery ticket」となります。
先着の意味
先着とは
先着とは、先に到着することを意味しています。
その他にも、「囲碁で、手順として先に打つこと、また、互いの要点に先に打つこと」の意味も持っています。
先着の使い方
「駅員さんに先着の電車を案内してもらう」「あの新築マンションは先着順で販売するそうです」「受付は先着順となり、定員になり次第締め切らせていただきます」などの文中で使われている先着は、「先に到着すること」の意味で使われています。
一方、「先着して有利に打ち進めたい」「先着できるかどうかが勝負の分かれ目だ」などの文中で使われている先着は、「囲碁で、手順として先に打つことや互いの要点に先に打つこと」の意味で使われています。
先着とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「先に到着すること」の意味で用いられています。先着の「先」は空間的あるいは時間的に早い方を表し、「着」はある場所に行きつくことを表す漢字です。
表現方法は「先着順」
先着を用いた日本語には「先着順」があります。先着順とは、応募や申し込みについて、先に到着したものや受付したものから順に対象として取り扱うことを意味します。順番に関係なくランダムにくじ引きされる「抽選」との対比で用いられる表現です。
先着の対義語
先着の対義語・反対語としては、他に比べて出るのが遅れることを意味する「出遅れ」などがあります。
先着の類語
先着の類語・類義語としては、人より先にした者が利益を得るということを意味する「早い者勝ち」、目的地などに到着した順序を意味する「着順」、品物の在庫分が売り切れたら終わりであることを意味する「売り切れ御免」などがあります。
抽選の意味
抽選とは
抽選とは、くじを引くこと、くじ引きを意味しています。
抽選の漢字表記
抽選は「抽籤」とも書きますが、一般的には常用漢字を用いた「抽選」と表記されています。
抽選の読み方
抽選の読み方は「ちゅうせん」です。誤って「ゆせん」「ちゅうぜん」などと読まないようにしましょう。
抽選の使い方
抽選を使った分かりやすい例としては、「抽選会で英語の教材が当たりました」「おすすめの抽選アプリを紹介します」「抽選ツールを厳選して決めました」「お店の人に抽選販売の仕組みを教えてもらいました」などがあります。
その他にも、「アクリル製の抽選箱をネットで購入しました」「抽選券は300枚ほど用意しております」「宝くじの抽選結果を確認する」「ガラガラ抽選で当たるコツはありますか」「抽選であなたが選ばれました」などがあります。
抽選の「抽」は訓読みで「ぬく」と読み、全体から一部分を取り出すことを表す漢字です。より分けてえらぶことを表す「選」と結びつき、抽選とは、くじ引きなどを用いて無作為に選び出すことを意味します。
表現方法は「抽選償還」
抽選を用いた日本語には「抽選償還」があります。抽選償還とは、公債や社債などの途中償還方法の一つであり、債権者平等の原則から抽選により一部債券を償還する方法を意味します。抽選に当たった所有者は額面での償還に応じなくてはなりません。
抽選の対義語
抽選の対義語・反対語としては、先に到着したものから順に対象として取り扱うことを意味する「先着順」、多数の中から基準や目的に合ったものを選び抜くことを意味する「選抜」などがあります。
抽選の類語
抽選の類語・類義語としては、回転式の木製の箱から玉を一つだけ取り出す仕組みの抽籤 器を意味する「ガラガラ」、抽選器でくじ引きをすることを意味する「ガラポン」、ゲームのアイテムを抽選によって取得する仕組みを意味する「ガチャ」などがあります。
先着の例文
この言葉がよく使われる場面としては、先に到着すること、先に手をつけることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「先着1名」とは、一番最初に受付した1名のみが対象となることを表しています。例文5の「先着先行」とは、一般発売に先駆けてチケットを販売する方式であり、予約が成立した順番に販売することを意味します。
抽選の例文
この言葉がよく使われる場面としては、当選を決めるためのくじ引きを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「抽選券」とは、抽選会などでくじ引きを行うための券を意味します。例文2の「抽選会」とは、くじ、懸賞、募集などの当選を決めるための会合です。
先着と抽選という言葉は、どちらも「当選者を決定する方法」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、申し込んだ順番に決定することを表現したい時は「先着」を、申し込まれた人の中からくじ引きで決めることを表現したい時は「抽選」を使うようにしましょう。