似た意味を持つ「じっくり」と「つくづく」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「じっくり」と「つくづく」という言葉は、どちらも時間を掛けて行うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「じっくり」と「つくづく」の違い
「じっくり」と「つくづく」の意味の違い
「じっくり」と「つくづく」の違いを分かりやすく言うと、「じっくり」はマイナスのイメージでは使わない、「つくづく」はマイナスのイメージで使うことがあるという違いです。
「じっくり」と「つくづく」の使い方の違い
一つ目の「じっくり」を使った分かりやすい例としては、「この件についてあらゆる可能性をじっくりと考える」「時間はたっぷりあるのでじっくり案を練ることにしました」「大きな決断なのでじっくり考える必要があります」などがあります。
二つ目の「つくづく」を使った分かりやすい例としては、「鏡に映る自分の髪型をつくづくと眺めました」「生きているのがつくづくと嫌になりました」「つくづくと今後のことを考える」「父の主張が正しかったのだとつくづく思うようになりました」などがあります。
「じっくり」と「つくづく」の使い分け方
「じっくり」と「つくづく」はどちらも時間を掛けて行うことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「じっくり」は念入りに物事をする場合に使う言葉になります。基本的にポジティブなニュアンスの言葉なので、プラスのイメージでしか使いません。
一方、「つくづく」は 物事を静かに深く考えたり注意深く観察したりする場合に使うだけではなく、 物事を痛切に感じる場合にも使う言葉になります。そのため、「つくづく自分のことが嫌になった」のように、マイナスのイメージで使うこともあります。
したがって、「つくづく」はマイナスのイメージでも使うことがあると覚えておきましょう。
「じっくり」と「つくづく」の英語表記の違い
「じっくり」を英語にすると「slowly and carefully」「think over」となり、例えば上記の「大きな決断なのでじっくり考える必要があります」を英語にすると「 I need to think slowly and carefully about this because it’s a big decision」となります。
一方、「つくづく」を英語にすると「carefully」「greatly」「keenly aware」となり、例えば上記の「父の主張が正しかったのだとつくづく思うようになりました」を英語にすると「I came to be fully convinced of the correctness of my father’s view」となります。
「じっくり」の意味
「じっくり」とは
「じっくり」とは、念入りに物事をすることを意味しています。
表現方法は「じっくり楽しむ」「じっくり考える」
「じっくり楽しむ」「じっくり考える」などが、「じっくり」を使った一般的な言い回しになります。
「じっくり」の使い方
「じっくり」を使った分かりやすい例としては、「腰を据えてじっくりと話し合うことにしました」「彼を仲間に入れるべきかじっくりと考えることにしました」「玉ねぎは弱火でじっくりと炒めることで旨味が引き出せます」「将来のことについてじっくりと考える」などがあります。
「じっくり」は念入りに物事をすることを意味する副詞です。副詞とは品詞の一つであり、他の言葉を修飾して説明を加えるという役割を担っています。
「じっくり」は「考える」「眺める」などのようなの行為を表わす言葉とセットでよく使います。
「じっくり」の特徴
「じっくり」は「じっくり考える」「じっくりと話し合う」などのように抽象的なものだけではなく、「じっくりと煮込む」「じっくりと炒める」などのように、物理的なものに対しても使うことができると覚えておきましょう。
「じっくり」はポジティブな表現の言葉です。そのため、プラスのイメージでしか使用できず、マイナスのイメージで使うことはできません。
「じっくり」の類語
「じっくり」の類語・類義語としては、念を入れて物事を考えたり見たりすることを意味する「つらつら」、注意深くて軽々しく行動しないことを意味する「慎重」などがあります。
「つくづく」の意味
「つくづく」とは
「つくづく」とは、物事を静かに深く考えたり注意深く観察したりすることを意味しています。その他にも、物事を痛切に感じることの意味も持っています。
「つくづく」の漢字表記
「つくづく」を漢字にすると、「熟」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「つくづく」を使うようにしましょう。
表現方法は「つくづく感じる」「つくづく眺める」
「つくづく感じる」「つくづく眺める」「つくづく考える」などが、「つくづく」を使った一般的な言い回しになります。
「つくづく」の使い方
「寝た息子の顔をつくづくと眺める」「将来についてつくづくと考えることにしました」などの文中で使われている「つくづく」は、「物事を静かに深く考えたり注意深く観察したりすること」の意味で使われています。
一方、「彼女の恩につくづくと感謝をしました」「就職して社会の厳しさをつくづくと感じる」などの文中で使われている「つくづく」は、「物事を痛切に感じること」の意味で使われています。
「つくづく」は物事を静かに深く考えたり注意深く観察したりすることと、物事を痛切に感じることの二つの意味を持つ副詞です。
「つくづく」は「感じる」「眺める」「考える」「思う」などの行為を表わす言葉とセットでよく使います。
「つくづく」の特徴
「つくづく」はプラスのイメージだけではなく、マイナスのイメージとセットでも使うことができるというのが特徴です。例えば、「ミスばかりしてつくづく自分が嫌になる」のようなネガティブな表現にも使うことができます。
「つくづく」の類語
「つくづく」の類語・類義語としては、心の底から深く感じることを意味する「しみじみ」、念をいれて物事をすることを意味する「とっくり」、何から何まで全部のことを意味する「逐一」などがあります。
「じっくり」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、念入りに物事をすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「じっくり」はプラスのイメージで使う言葉です。
「つくづく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を静かに深く考えたり注意深く観察したりすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、物事を痛切に感じることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は物事を静かに深く考えたり注意深く観察したりすること、例文4と例文5は物事を痛切に感じることの意味で使っています。
「じっくり」と「つくづく」はどちらも時間を掛けて行うことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、マイナスのイメージでは使わないのが「じっくり」、マイナスのイメージで使うことがあるのが「つくづく」と覚えておきましょう。