同じ「たまもの」という読み方の「賜物」と「賜」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「賜物」と「賜」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
賜物と賜の違い
賜物と賜の意味の違い
賜物と賜の違いを分かりやすく言うと、賜物と賜は意味や使い方の違いはなく、どちらを使っても同じです。
賜物と賜の使い方の違い
一つ目の賜物を使った分かりやすい例としては、「ビジネスの成果は社員の努力の賜物です」「目標達成は皆様の応援の賜物と存じます」「皆様方のご厚情の賜物と深く感謝いたしております」「のどぐろは日本海の賜物です」などがあります。
二つ目の賜を使った分かりやすい例としては、「みずみずしい果物は自然の賜だといえよう」「メダルの授与は選手の努力の賜に他ならないだろう」「全力でお仕事に取組んで頂いている賜と存じます」「ご指導の賜と心から感謝申し上げます」などがあります。
賜物と賜の使い分け方
賜物と賜という言葉は、どちらも「恩恵や祝福として与えられたもの」「あることの結果として得られた成果」を意味する同音同義語です。二つの言葉の意味や使い方には違いがないため、上記の例文にある「賜物」と「賜」は、互いに置き換えて使うことができます。
ただし、公用文では「賜物」「賜」という漢字表記ではなく、「たまもの」と平仮名表記することが推奨されています。
公文書や法令などに用いる文章には「たまもの」と書かれることが普通ですが、一般的な手紙やビジネス文書などに関しては「賜物」「賜」「たまもの」どれを使っても構わないことを覚えておきましょう。
賜物と賜の英語表記の違い
賜物も賜も英語にすると「gift」「boon」「result」となり、例えば上記の「努力の賜物」を英語にすると「the result of one’s efforts」となります。
賜物の意味
賜物とは
賜物とは、恩恵や祝福として与えられたものを意味しています。
その他にも「あることの結果として現れたよい事柄、成果」の意味も持っています。
賜物の読み方
賜物の読み方は「たまもの」です。「たまわりもの」と読むと、頂いた品物を丁寧に表現した言葉になり、意味が異なってしまいます。
表現方法は「努力の賜物」「苦労の賜物」「ご指導の賜物です」
「努力の賜物」「苦労の賜物」「ご指導の賜物です」などが、賜物を使った一般的な言い回しです。
賜物の使い方
「人は神様から多くの賜物を受けています」「この地の米は天からの賜物といえる素晴らしい品質です」「英語弁論大会の入賞は先生のご指導ご鞭撻の賜物でございます」などの文中で使われている賜物は、「恩恵や祝福として与えられたもの」の意味で使われています。
一方、「関係各位のご努力の賜物と存じます」「早期回復は妻の適切な対処の賜物だなと感じている」「ワクチンが迅速に開発できたのは共同研究の賜物だ」などの文中で使われている賜物は、「あることの結果として現れたよい事柄、成果」の意味で使われています。
賜物という言葉の「賜」は上位の者が下位の者に物などを与えること、「物」は有形や無形で存在しているすべてのものを表します。賜物とは、神からの恵のような恩恵を意味したり、際立って素晴らしい結果を表現するプラスイメージの言葉です。
賜物は、目上の人から与えられたことに感謝する気持ちを伝える時や、立場のある人が周囲の人を褒めるときに使われる表現です。目上の人に対して使うと偉そうな印象を与えるので、謙譲語を用いて「賜物と存じます」と言い換えると良いでしょう。
賜物の対義語
賜物の対義語・反対語としては、他に災いを与えるようなよくない事を意味する「悪害」、害があることを意味する「有害」、身体や物品を損なうような危険なことを意味する「危害」などがあります。
賜物の類語
賜物の類語・類義語としては、恵みや慈しみを意味する「恩恵」、あることが背景となってうみ出されたものを意味する「産物」、ある事柄が積み重なり他のある形をとって現れることを意味する「結晶」などがあります。
賜の意味
賜とは
賜とは、恩恵や祝福として与えられたもの、たまわりものを意味しています。
その他にも「あることの結果として現れたよいもの、成果」の意味も持っています。
賜の読み方
賜の読み方は、訓読みで「たまもの」です。賜という漢字は、「賜る」と送り仮名が付く場合は「たまわる」と読みますが、漢字一文字の場合は「たまもの」と読みます。また、「賜与」「下賜」など熟語になると音読みで「し」と読みます。
賜の使い方
「生命は天からの賜です」「農作物は自然からの貴重な賜です」「キリスト教では賜を生かして互いに仕え合うことを教えています」などの文中で使われている賜は、「恩恵や祝福として与えられたもの」の意味で使われています。
一方、「苦手な英語が好きになれたのは先生の指導の賜です」「彼がビジネスで成功できたのは努力の賜でしょう」「舞台が無事に終了したのもスタッフの苦労の賜だと思います」などの文中で使われている賜は、「結果として現れたよいもの、成果」の意味で使われています。
賜とは、前述した賜物の同音同義語であり、大きく二つの意味があります。現在では「結果として現れたよいもの、成果」の意味で使われることがほとんどですが、漢字ではなく平仮名で「たまもの」と書かれることが多くなっています。
「努力の賜」の意味
賜を用いた言い回しには「努力の賜」があります。「努力の賜」とは、相手の努力を評価し、良い結果を褒め称える際に使われる表現であり、ビジネスシーンや日常会話でよく使われています。「努力の賜物」「努力のたまもの」とも書き表すことができます。
賜の対義語
賜の対義語・反対語としては、害になることや他に悪い影響を与える物事を意味する「弊害」、健全なものを傷つけ損なうもとになるようなものを意味する「害毒」などがあります。
賜の類語
賜の類語・類義語としては、恩恵や恵むことを意味する「恵み」、ある物事がもたらす結果を意味する「お陰」、神仏などから賜る物を意味する「授かり物」、努力した結果として成果が得られることを意味する「結実」などがあります。
賜物の例文
この言葉がよく使われる場面としては、賜ったもの、結果として得たよい事やもの、よい結果を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある賜物は、恩恵として賜ったものの意味で用いられています。例文3から例文5の賜は、結果として得たよいものの意味で用いられています。
賜の例文
この言葉がよく使われる場面としては、賜ったもの、結果として得たよい事やもの、よい結果を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2の文中にある「賜」は、恩恵や祝福として賜ったものの意味で用いられています。例文3から例文5の「賜」は、よい結果か成果の意味で用いられています。
賜物と賜という言葉は、どちらも「与えられたものや成果」を表す同音同義語です。意味や使い方に違いはないので、好みや書きやすさにより選べばよいでしょう。ただし、公用文には平仮名で「たまもの」と書くようにしましょう。