【強行】と【強硬】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「きょうこう」という読み方の「強行」と「強硬」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「強行」と「強硬」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




強行と強硬の違い

強行と強硬の意味の違い

強行と強硬の違いを分かりやすく言うと、強行とは強引に実行すること、強硬とは強気に押し通す態度という違いです。

強行と強硬の使い方の違い

一つ目の強行を使った分かりやすい例としては、「憲法違反の安保法案を強行可決する」「鍵が開かないなら強行突破するしかない」「家族に反対されたので強行策に出ることにした」「強行規定に違反する特約は無効です」などがあります。

二つ目の強硬を使った分かりやすい例としては、「部長は強硬な態度で交渉を進めた」「強硬策が裏目に出てしまった」「強硬路線を貫くかどうか迷っています」「政府内で歯に衣着せぬ強硬派が台頭している」などがあります。

強行と強硬の使い分け方

強行と強硬という言葉は、どちらも「きょうこう」と読みますが、意味や使い方には大きな違いがあります。

強行とは、困難をおしきって強引に実行すること、無理やり物事を行うことを意味します。上記例文にある「強行策」とは、反対などがあっても押し切って行う手立てや計画のことであり、暴力的な手段を指すこともあります。

強硬とは、自分の主張などを強く押し通そうとするさまを意味し、手ごわいことを表現する言葉です。「強硬策」とは、強い態度や姿勢で臨む手段や計画のことであり、反対などがあっても押し切って行う様子を表します。

つまり、強行とは無理やり実行することであり、強硬とは強気に押し通すさまを表す言葉です。二つの言葉は同じ読み方をしますが、意味が全く違う同音異義語なので互いに置き換えて使うことはできません。

強行と強硬の英語表記の違い

強行を英語にすると「enforcement」「forcing」「carrying out」となり、例えば上記の「法案を強行可決する」を英語にすると「法案を強行可決する」となります。

一方、強硬を英語にすると「catalepsy」「firm」「strong」となり、例えば上記の「強硬な態度」を英語にすると「a firm attitude」となります。

強行の意味

強行とは

強行とは、無理を押しきって強引に行うことを意味しています。

強行の読み方

強行の読み方は「きょうこう」です。誤って「きょうぎょう」「ごうこう」などと読まないようにしましょう。

強行の使い方

強行を使った分かりやすい例としては、「ETCレーンを強行突破した運転手が逮捕されました」「警視庁強行犯係に任命されました」「強行法規と任意法規の違いを調べています」「政府は安全保障法案を強行採決しました」などがあります。

その他にも、「小雨決行、荒天強行で実施します」「こんな強行スケジュールをこなす自信がありません」「体力がある彼は強行軍に配属されるだろう」「3日間の強行軍でとても疲れました」などがあります。

強行の「強」は力や勢いがあることや、無理に押しつけることを表し、「行」は実施することや振る舞うことを表す漢字です。強行とは、困難をおして無理にある所へ行くこと、無理に物事を行なうことを意味します。

表現方法は「強行採決」

強行を用いた日本語には「強行採決」(読み方:きょうこうさいけつ)があります。強行採決とは、国会などで用いられる言葉で、少数派が審議の継続を求めているにもかかわらず、多数派が一方的に審議を打ち切り採決を行うことを意味します。

強行の対義語

強行の対義語・反対語としては、実行に際してしばらくようすを見ることを意味する「見合せ」などがあります。

強行の類語

強行の類語・類義語としては、思い切って実行することを意味する「決行」、無理を承知で思い切って行うことを意味する「敢行」、困難や反対を押しきって強い態度で実行することを意味する「断行」などがあります。

強硬の意味

強硬とは

強硬とは、自分の立場・主張を強い態度であくまでも押し通そうとすること、また、そのさまを意味しています。

強硬の読み方

強硬の読み方は「きょうこう」です。同じ読み方をする熟語に「強行」「強攻」「教皇」「恐慌」「凶行」などがありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

強硬の使い方

強硬を使った分かりやすい例としては、「家計を守るために強硬手段に出ます」「そんなに強硬な態度を取るべきではないだろう」「義兄は長いこと強硬症を患っています」「過激な強硬手段も時には必要です」などがあります。

その他にも、「関税政策で強硬な措置を発動する」「対中強硬派とされる候補者が当選しました」「タカは強硬派のシンボルの鳥です」「アメリカは各国に極めて強硬な姿勢を示しています」「中国の強硬姿勢に周辺諸国は当惑しています」などがあります。

強硬の「硬」は訓読みで「かたい」と読み、力を加えても形を変えたりしないほど物がしっかりしていることを表します。固く丈夫であることを表す「強」と結び付き、強硬とは、自分の主張などを強く押し通そうとするさまを意味します。

表現方法は「強硬外交」

強硬を用いた日本語には「強硬外交」があります。強硬外交とは、外交において自国の方針を強硬に主張し、軍事力を背景としたスタイルを意味します。日本においては、昭和初期の田中義一内閣の対中国政策が強硬外交であったと言われています。

強硬の対義語

強硬の対義語・反対語としては、柔らかくしなやかな性質を意味する「柔軟」などがあります。

強硬の類語

強硬の類語・類義語としては、かたくなで自分の態度や考えを改めようとしないことを意味する「頑固」、意志が強く自己の信念を曲げないことを意味する「硬骨」、相手方と妥協せずに事態に強硬に対処しようとする立場に立つ人たちを意味する「タカ派」などがあります。

強行の例文

1.どうしてもソーキそばが食べたくて、1泊2日の強行スケジュールで沖縄旅行に行ってきました。
2.殺人事件の謎を追っていた刑事は、遂に不正なおとり捜査を強行することにした。
3.会社側が一方的な決議を強行するのであれば、労働組合はストライキを決行するしかありません。
4.原子力発電所の再稼動に関して、地元住民を軽視した強行採決は容認できません
5.日本では、公序良俗や強行規定に反しない限り、双方の合意があれば契約は成立します。

この言葉がよく使われる場面としては、困難をおして無理にある所へ行くこと、困難をおしきって行なうことを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「強行規定」とは、法令の規定のうち、当事者の意思にかかわりなく適用される規定のことです。「強行法規」とも言います。

強硬の例文

1.あまりにも時間の使い方に問題があるので、中学生の息子からスマホを取り上げるという強硬手段に出ることにしました。
2.良かれと思った強硬策がむしろ逆効果になることもあるので、気を付けてください。
3.一部の保育者は、幼稚園や保育園で英語教育を行うことに強硬に反対しています。
4.政府は国内の不満を外に向けるために、外交政策について強硬な態度を取っているようだ。
5.夫婦別姓の強硬な反対派として知られている政治家は、不倫問題が発覚し辞意を表明しました。

この言葉がよく使われる場面としては、自分の言い分を強く主張して曲げないことを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「強硬手段」とは、手加減や容赦をしない方法、目的達成のために手段を選ばないやり方を意味します。

強行と強硬という言葉は、どちらも「きょうこう」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、強引に実行することを表現したい時は「強行」を、強い態度で押し通すさまを表現したい時は「強硬」を使うようにしましょう。

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