似た意味を持つ「生業」(読み方:なりわい)と「仕事」(読み方:しごと)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「生業」と「仕事」という言葉は、どちらも生活を営むための活動を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
生業と仕事の違い
生業と仕事の意味の違い
生業と仕事の違いを分かりやすく言うと、生業とは金銭を得る活動のみを表し、仕事とは金銭を得る活動だけでなく、するべき任務も表すという違いです。
生業と仕事の使い方の違い
一つ目の生業を使った分かりやすい例としては、「生業扶助を受給しています」「鍼灸を生業とする者です」「英語を教えることを生業としています」「鷹狩りを生業とする鷹匠です」「高等学校等就学費は生業扶助のひとつです」などがあります。
二つ目の仕事を使った分かりやすい例としては、「金融の仕事に従事しています」「疲れて仕事のやる気が出ない」「仕事が暇すぎて辛い」「PTA役員の仕事が負担です」「仕事に役立つ便利なサイトはありますか」などがあります。
生業と仕事の使い分け方
生業と仕事という言葉は、どちらも生活を支えるために金銭を稼ぐ活動を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
生業とは、生活を営むための手段を意味します。暮らしを立てるために収入を得ることを表し、主に自営業の職について使われています。一方、仕事とは、生活を営むための手段だけでなく、「PTA役員の仕事」のように、何かを成し遂げるための行動も意味します。
つまり、生業とは金銭を得るための活動のみを表しますが、仕事とは金銭を得るための活動だけでなく、するべき任務やしなくてはいけない作業も表します。二つの言葉を比べると、生業よりも仕事という言葉の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
生業と仕事の英語表記の違い
生業を英語にすると「occupation」「livelihood」となり、例えば上記の「生業扶助」を英語にすると「occupational Assistance」となります。一方、仕事を英語にすると「work」「job」となり、例えば上記の「金融の仕事」を英語にすると「job in finance」となります。
生業の意味
生業とは
生業とは、生活を営むための仕事を意味しています。
その他にも、五穀が実るようにつとめるわざ、農業の意味も持っています。
表現方法は「生業とする」「生業にする」「生業にしている」
「生業とする」「生業にする」「生業にしている」などが、生業を使った一般的な言い回しです。
生業の使い方
「資格取得のために生業扶助を申請する」「歌詞を書くことを生業とする」「生業訴訟が福島地裁で開かれました」「生業が農業から土器づくりへ変容した」などの文中で使われている生業は、「生活を営むための仕事」の意味で使われています。
一方、「先祖代々、生業に携わっています」「転校に恵まれて生業は順調です」「水稲栽培が生業に占める割合を調べる」などの文中で使われている生業は、「五穀が実るようにつとめるわざ、農業」の意味で使われています。
生業の読み方
生業の読み方は三通りあり、「なりわい」の他に「せいぎょう」「すぎわい」があります。一般的には「なりわい」と読まれることが多い言葉ですが、「生業扶助」は「せいぎょうふじょ」と読むので注意しましょう。
生業の由来
生業とは、もともと農業に由来した言葉です。昔は生活を営むための手段が主に農業だったことから、農業や農作物を「生業」と呼んでいました。次第に生活をするための仕事の意味を持つようになり、現在では主にこの意味で使われています。
「生業扶助」の意味
生業を用いた日本語には「生業扶助」(読み方:せいぎょうふじょ)があります。生活保護制度における扶助の一つで、生活保護受給世帯や、生活困窮世帯の自立を助けるための給付金の一つです。生業扶助には、生業費、技能修得費、高等学校等就学費、就職支度費の四つの区分があります。
ことわざ「生業は草の種」の意味
生業を用いたことわざには「生業は草の種」(読み方:すぎわいはくさのたね)があります。暮らしを立てるための職業は、草の種のように多いことを意味します。
生業の類語
生業の類語・類義語としては、生活を支えるための仕事を意味する「職」、その家の生計を立てるための職業を意味する「家業」、生活の基盤になっている仕事を意味する「商売」などがあります。
仕事の意味
仕事とは
仕事とは、何かを作り出す、または、成し遂げるための行動を意味しています。
その他にも、生計を立てる手段として従事する事柄の意味も持っています。
表現方法は「仕事する」「仕事ができない」「仕事辞めたい」
「仕事する」「仕事ができない」「仕事辞めたい」などが、仕事を使った一般的な言い回しです。
仕事の使い方
「花の水やりは子どもの仕事です」「赤ちゃんは泣くのが仕事」「英語のラジオ講座を毎朝の仕事にしています」「仕事を途中で投げ出すことは出来ない」などの文中で使われている仕事は、「何かを成し遂げるための行動」の意味で使われています。
一方、「給料が安いので仕事を辞めたい」「二日酔いで仕事に行きたくない」「仕事探しを全力でサポートします」「本当は仕事したくない」「仕事を辞める理由を考える」などの文中で使われている仕事は、「生計を立てる手段として従事する事柄」の意味で使われています。
仕事の由来
仕事という言葉の「し」は行うことを意味する「す」に由来し、「仕」は当て字と言われています。事柄や務めを表す「事」と組み合わさり、仕事とは、何かを行うことによって変化をもたらしたり、作り出すことを意味します。現在では、生計を立てるための職業の意味でも使われる言葉です。
「やっつけ仕事」の意味
仕事という言葉を用いた日本語には「やっつけ仕事」があります。急場しのぎの粗雑な仕事や、いい加減な仕事を意味するマイナスイメージの言葉です。
仕事の対義語
仕事の対義語・反対語としては、仕事や職業としてでなく個人が楽しみとしてしている事柄を意味する「趣味」、遊ぶことや仕事ができなくてひまなことを意味する「遊び」などがあります。
仕事の類語
仕事の類語・類義語としては、生計を維持するために人が日常従事する仕事を意味する「職業」、職業や事業などに関して継続して行う仕事を意味する「業務」、利益の追求のみを目的として進める仕事を意味する「ビジネス」などがあります。
生業の例文
この言葉がよく使われる場面としては、生活するための仕事、農業を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の文中にある生業は「生活するための仕事」の意味で使われ、例文5の文中にある生業は「農業」の意味で使われています。生業とは、本来は「農業」を意味する言葉ですが、現在では「生活するための仕事」の意味で使われることが殆どです。
仕事の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何かを成し遂げるための行動、生計を立ててゆくための職を表現したい時などが挙げられます。
例文1の文中にある仕事は「何かを成し遂げるための行動」の意味で使われ、例文2から例文5の文中にある仕事は「生計を立ててゆくための職」の意味で使われています。
生業と仕事という言葉は、どちらも生活を営むための活動を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、生活するための活動を表現したい時は「生業」を、生活するための活動や何かを成し遂げるための行動を表現したい時は「仕事」を使うようにしましょう。