似た意味を持つ「探検」(読み方:たんけん)と「冒険」(読み方:ぼうけん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「探検」と「冒険」という言葉は、どちらも「未知の場所に出かけること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
探検と冒険の違い
探検と冒険の違いを分かりやすく言うと、探検とは未知の場所に行って探り調べること、冒険とは危険を承知で行うことを表すという違いです。
一つ目の探検を使った分かりやすい例としては、「南極探検のメンバーを募集しています」「クラスのみんなで町探検に行く」「どうしたら探検家として認められるのだろう」「入念に準備をして極地を探検する」などがあります。
二つ目の冒険を使った分かりやすい例としては、「冒険心がある日とは好奇心旺盛です」「鍾乳洞で冒険気分を味わいました」「北極冒険家が配信するYouTubeをよく見ています」「冒険的な人生を楽しんでいます」などがあります。
探検と冒険という言葉は、どちらも未知の場所やよく知らない場所に出かけることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
探検とは、よく知らない場所や未知の世界に踏み込んで、さまざまな調査や研究を行うことを意味します。探検は、未知の場所を調べて情報を集めることが目的であり、新しい発見を目指す科学的な行動と言えます。
冒険とは、危険を冒すことを意味し、危険を覚悟のうえで行うことを表します。冒険は、困難なことに挑戦することが目的となり、その行為自体に意味を求めるものです。「冒険気分」とは、危険なことや新しいことに挑戦してみようという意欲のことです。
つまり、探検とは未知の土地に入って探り調べることであり、冒険とは危険を承知のうえで行うことを意味します。二つの言葉を比べると、探検より冒険の方が、危険を冒すという意味合いが強い言葉だと言えるでしょう。
探検を英語にすると「exploration」「expedition」となり、例えば上記の「南極探検」を英語にすると「an antarctic expedition」となります。一方、冒険を英語にすると「adventure」「risk」となり、例えば上記の「冒険心」を英語にすると「an adventurous spirit」となります。
探検の意味
探検とは、危険を冒して未知の地域に入り、実地に調べることを意味しています。
探検を使った分かりやすい例としては、「旅行先で洞窟探検ツアーに参加しました」「間宮林蔵の探検ルートを調べています」「脱サラして探検家になりたいです」「探検家チームが沈没した船を探しています」などがあります。
その他にも、「準備を整えてジャングル探検に出かける」「野外活動に最適な探検バッグを購入しました」「探検隊は巨大洞穴への突入を決意した」「探検家になるには特別な資格は要りません」などがあります。
探検は「探険」とも書きますが、一般的には「探検」と表記されることが多くなっています。探検と探険は基本的には同じ意味を持ちますが、漢字の違いによって、探検よりも探険の方がリスクを冒すというニュアンスが強くなります。
探検の「探」は訓読みで「さがす」「さぐる」と読み、未知の物事を明らかにするために観察したり調査したりすることを表します。取り調べることを表す「検」と結びつき、探検とは、未知の場所に踏み込んで、そこを調べることを意味します。
上記例文にある「探検家」とは、探検をする人を指し、未知の領域を調査するために実際に現地へ赴く人を意味します。冒険の要素が強いことを表すために「探険家」と表記することもあります。
探検の類語・類義語としては、未知の事柄などをさぐり調べることを意味する「未知の事柄などをさぐり調べること」、さぐり求めることや探し回ることを意味する「探求」、未知の物事についてさぐり調べることを意味する「探査」などがあります。
冒険の意味
冒険とは、危険な状態になることを承知の上であえて行うこと、成功するかどうか成否が確かでないことをあえてやってみることを意味しています。
冒険を使った分かりやすい例としては、「コロンブスは偉大な冒険者の一人です」「冒険家にはどんな性格の人が多いのだろう」「父も昔はやんちゃな冒険少年だったらしい」「娘が冒険者になりたいと都に出て行った」などがあります。
その他にも、「冒険心を掻き立てる空中回廊を親子で楽しみました」「自然と遊びがいっぱいの冒険スポットを探しています」「冒険先で危険な目にあうかもしれません」「冒険をテーマにした絵本を子どもにプレゼントしました」などがあります。
冒険の「冒」は訓読みで「おかす」と読み、危険や困難を覚悟のうえですることを表し、「険」は訓読みで「けわしい」と読み、危ないことを表します。冒険とは、危ないことを押し切って行うこと、成功が不確実であることをあえて行うことを意味します。
冒険を用いた日本語には「冒険小説」があります。冒険小説とは、文学ジャンルの一つで、未知に向かっての冒険を行う英雄を主人公とする物語です。日本では、明治中期に押川春浪の作品によって流行し、昭和に入って山中峯太郎や南洋一郎らが人気を博しました。
冒険の類語・類義語としては、危険をおかして物事を行うことを意味する「綱渡り」、危険な行き方をすることを意味する「危ない橋を渡る」、危険度や予想通りにいかない可能性を意味する「リスク」、冒険を意味する「アドベンチャー」、恋の冒険を意味する「アバンチュール」などがあります。
探検の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 実地にさぐり調べること、危険をおかして実地を調査することを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「探検隊」とは、よく知られていない場所や未だ足を踏み入れていない場所などを、調査あるいは開拓するために組織された人々を指す言葉です。
冒険の例文
この言葉がよく使われる場面としては、危険をおかして行なうこと、成否の確実でない事をあえて行なうことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「冒険心」とは、危険をおかしてもあえて行なおうとする気持ちを意味し、未知の物事に好んで取り組む精神を表します。
探検と冒険という言葉は、どちらも「未知の場所に出かけること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、未知の場所に行って探り調べることを表現したい時は「探検」を、危険を承知で行うことを表現したい時は「冒険」を使うようにしましょう。