似た意味を持つ「生徒」(読み方:せいと)と「児童」(読み方:じどう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「生徒」と「児童」という言葉は、どちらも「学校に在籍する者」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
生徒と児童の違い
生徒と児童の意味の違い
生徒と児童の違いを分かりやすく言うと、生徒とは中学校および高校に在籍する者を表し、児童とは小学校に在籍する者を指すという違いです。
生徒と児童の使い方の違い
一つ目の生徒を使った分かりやすい例としては、「兄は学校で生徒会の役員をやっています」「生徒諸君には充実した学校生活を送って欲しい」「生徒指導提要のポイントを解説します」「生徒手帳を紛失してしまいました」などがあります。
二つ目の児童を使った分かりやすい例としては、「姉は大学で児童心理学を専攻しています」「国会で児童福祉法の改正が検討されています」「児童扶養手当の支給日は偶数月の11日です」「児童館で英語の絵本の読み聞かせをしています」などがあります。
生徒と児童の使い分け方
生徒と児童という言葉は、どちらも学校教育法において学校に在籍する者を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
生徒とは、学校などで教えを受ける人を意味し、学校教育法では中学校や高等学校あるいは専門学校に在籍する者を指していう言葉です。「生徒手帳」とは、中学校や高等学校で生徒に配布される、校則や校歌などを刷り込んだ生徒用の手帳のことです。
児童とは、学校教育法において満6歳から12歳までの小学校に通学する者を意味し、中学校や高校に通う「生徒」、大学に通う「学生」と対になる言葉です。ただし、児童福祉法では満18歳に満たない者を「児童」と定義し、児童をさらに「乳児」「幼児」「少年」と分けています。
つまり、生徒とは中学校や高校に在籍して教育を受ける者を指し、児童とは小学校に在籍して教育を受ける者を指す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
生徒と児童の英語表記の違い
生徒を英語にすると「student」「pupil」となり、例えば上記の「生徒会」を英語にすると「a student council」となります。一方、児童を英語にすると「child」「children」「boys and girls」となり、例えば上記の「児童心理学」を英語にすると「child psychology」となります。
生徒の意味
生徒とは
生徒とは、学校などで教えを受ける者を意味しています。
その他にも、「特に、中学校・高等学校で教育を受ける者」の意味も持っています。
生徒の使い方
「近所のピアノ教室で生徒を募集しています」「英語の塾で生徒が熱中症になりました」「カルチャースクールは生徒に様々な講座を提供しています」などの文中で使われている生徒は、「学校などで教えを受ける者」の意味で使われています。
一方、「英語が苦手な生徒が増えています」「生徒会の一存では決められません」「生徒会役員になってやりたいことがあります」などの文中で使われている生徒は、「中学校や高校で教育を受ける者」の意味で使われています。
生徒とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。生徒の「生」は純粋でまじりけがなく新鮮なさま、「徒」は門下の弟子を表します。
表現方法は「生徒指導提要」
生徒を用いた日本語には「生徒指導提要」があります。生徒指導提要とは、生徒の発達や成長を支えるため、生活面に関連した指導の考え方や問題行動への対処方法などをまとめた教員用手引書です。2010年にインターネットを巡る問題など新たな課題に対応する目的で、文部科学省が作成しました。
生徒の対義語
生徒の対義語・反対語としては、学校などで学業を教える人を意味する「教師」、塾や学校などで講義する人を意味する「講師」などがあります。
生徒の類語
生徒の類語・類義語としては、学問の研究をする人を意味する「学徒」、その学校に籍を置く学生や生徒を意味する「在校生」、教師として自分が教えたことのある相手を意味する「教え子」、学生や大学生を意味する「スチューデント」などがあります。
児童の意味
児童とは
児童とは、心身ともにまだ十分発達していない者、子供、特に学校教育法で満6~12歳の学齢児童を意味しています。
その他にも、「児童福祉法で、満18歳未満の者」の意味も持っています。
児童の使い方
「児童一人ひとりの多様な能力を見極める」「児童理解の方法を勉強しています」「児童の可能性を最大限に引き出してあげたいです」などの文中で使われている児童は、「心身ともにまだ十分発達していない者」の意味で使われています。
一方、「児童手当の支給日を市役所に問い合わせる」「児童相談所の一時保護所を利用する」「児童養護施設でボランティアをしています」などの文中で使われている児童は、「児童福祉法で満18歳未満の者」の意味で使われています。
児童とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。児童の「児」は幼い子どもや親からみた子どもを表し、「童」は子どもを表す漢字です。
表現方法は「児童虐待」
児童を用いた日本語には「児童虐待」があります。児童虐待とは、親などの保護者や同居人などが児童に危害を加えることを意味します。1970年代まではもっぱら身体的虐待を指していたが,今日では性的虐待、育児放棄、情緒的虐待を含むようになっています。
児童の対義語
児童の対義語・反対語としては、技術を教える人や学校の教師を意味する「先生」、教育職員免許法による普通免許状を持ち学校教育に携わる者を意味する「教諭」などがあります。
児童の類語
児童の類語・類義語としては、子供や稚児を意味する「小児」、幼少の人や少年を意味する「小人」、幼稚園や保育園に通う子供を意味する「園児」、児童福祉法で満1歳から小学校に就学するまでの子供を意味する「幼児」、子供や児童を意味する「わらべ」などがあります。
生徒の例文
この言葉がよく使われる場面としては、学校などで教えを受ける人、大学の学生や小学校の児童に対し高等学校・中学校で教育を受ける者を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「生徒会」とは、中学校や高等学校で、生徒の自治意識を育てるために設けられる組織のことです。学校生活の改善や向上、各種生徒活動の連絡調整、学校行事への協力などの活動を行います。小学校では「児童会」と呼ばれるものです。
児童の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心身ともまだ十分に発達していない者、児童福祉法で18歳未満の者を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「待機児童」とは、認可保育所への入所要件を満たし申し込みがされているのに、施設不足などの理由によって入所できないでいる児童を指す言葉です。
生徒と児童という言葉は、どちらも「学校で教育を受ける者」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、高校や中学校で教育を受ける者を表現したい時は「生徒」を、小学校で教育を受ける者を表現したい時は「児童」を使うようにしましょう。