似た意味を持つ「ヤクザ」(読み方:やくざ)と「極道」(読み方:ごくどう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ヤクザ」と「極道」という言葉は、どちらも反社会的勢力に属する人々を指すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ヤクザ」と「極道」の違い
「ヤクザ」と「極道」の違いを分かりやすく言うと、「ヤクザ」は世間が日常会話で使う俗称のこと、「極道」は映画やドラマの中で用いられる表現のことという違いです。
一つ目の「ヤクザ」を使った分かりやすい例としては、「彼は昔ヤクザと関わりがあったらしい」「ヤクザ映画は日本独自の文化を映し出している」「ヤクザの抗争事件がニュースで大きく報じられた」「彼はヤクザとつながりがある」などがあります。
二つ目の「極道」を使った分かりやすい例としては、「極道の世界は厳しい掟に支配されている」「彼は極道に足を踏み入れてしまった」「極道者としての誇りを捨てなかった」「極道の物語は任侠映画でよく描かれる」「彼は極道の生き様を貫いた」などがあります。
「ヤクザ」と「極道」はどちらも反社会的勢力に属する人々を指すことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「ヤクザ」は「彼は若い頃にヤクザと関わりを持ってしまった」のように、世間一般で広く使われる呼称で、非合法的な活動を行う人々を指す言葉になります。多くの場合、否定的・蔑称的な響きを持って用いられます。
一方、「極道」は「彼は極道の世界に身を投じた」のように、当事者自身が自らの立場を表す際や、内輪的な呼称として使われることが多い言葉です。「極道」とは本来「本道から外れた道」という意味を持ち、任侠的な生き方や自己犠牲を美徳とする文脈で肯定的に使われることもあります。
つまり、世間が日常会話で使う俗称なのが「ヤクザ」、映画やドラマの中で用いられる表現なのが「極道」と覚えておきましょう。
「ヤクザ」も「極道」も日本語特有の表現なので直訳した英語はありませんが、近い表現としては「gangster」「outlaw」などがあります。
「ヤクザ」の意味
「ヤクザ」とは、正業に就かず法に背くなどして暮らす者の総称のことを意味しています。
「ヤクザ」を使った分かりやすい例としては、「ヤクザは暴力団とも呼ばれる存在である」「ヤクザは社会的に否定的なイメージを持たれている」「小説の主人公はヤクザに追われる身だった」「ヤクザと接点を持つことは危険だとされる」などがあります。
「ヤクザ」は、日本独自の反社会的組織である暴力団やその構成員を指す言葉です。簡単に言えば、法の枠組みを逸脱して利益を追求する集団や個人を指し、暴力や恐喝、賭博、薬物取引などの違法行為に関与することが多い存在です。
そのため、基本的にマイナスのイメージで使用する言葉になります。
「ヤクザ」と関わることは一般社会では危険とされており、警察や行政も取り締まりを強化しています。また、近年では組織の規模や影響力が減少しつつあるものの、根強い存在として認識されています。
ヤクザの起源は江戸時代まで遡るとされています。当時の「博徒」や「無宿人」が、地域社会の中で半ば自警的や任侠的な活動を行っていたことがルーツと考えられています。
博徒は賭博や用心棒業で生計を立てていましたが、義理や人情を重んじる価値観を持ち、地域の祭りや庶民生活に関わることもありました。
明治以降、こうした組織は任侠団体として制度化され、戦後の混乱期には組織犯罪の形態がより明確になり、現代の暴力団組織に発展したと言われています。
語源は諸説ありますが、有名なのは「八、九、三」説です。これは、かつての賭博札で最も価値の低い3枚(8、9、3)を指し、「役に立たないもの=無用の者」を意味することから、社会的に反社会的と見なされる人々を指すようになったとされています。
「ヤクザ」の対義語・反対語としては、暴力団ではない素人のことを意味する「カタギ」があります。
「ヤクザ」の類語・類義語としては、暴力をふるって悪事をする無法者の団体のことを意味する「暴力団」があります。
「極道」の意味
「極道」とは、素行の悪い人をののしっていうことを意味しています。
「極道」を使った分かりやすい例としては、「兄貴分は極道としての心得を語った」「極道の世界は一度入ると抜け出しにくい」「極道は単なる犯罪者ではなく独自の美学を持つ」「彼は極道を貫いた人物として語り継がれている」などがあります。
「極道」は主に日本における暴力団の構成員や、反社会的な活動を行う人々を指す言葉です。簡単に言うならば、法律や社会の規範から外れ、組織的に違法行為を行う人物や集団のことを意味します。
「極道」の起源は、江戸時代の博徒や無宿人にさかのぼります。これらの人々は、社会のルールから外れた存在でしたが、仲間内での忠誠心や義理を重んじる独自のルールを持っていました。
明治、大正、昭和期を通じて、こうした文化が暴力団として組織化され、現代の「極道」につながっています。
現代では、「極道」という言葉は単に暴力団員を指すことが多く、日常会話で使うことはまれです。報道や文学、映画などで描かれることが中心であり、極道文化や任侠精神を象徴的に表現する場合に使われるというのが特徴です。
「極道」の類語・類義語としては、仁義を重んじ弱きを助け強きを挫くために体を張る自己犠牲的精神や人のことを意味する「任侠」があります。
「ヤクザ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、正業に就かず法に背くなどして暮らす者の総称のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「ヤクザ」はマイナスのイメージで使う言葉です。
「極道」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、素行の悪い人をののしっていうことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「極道」はマイナスのイメージで使う言葉です。
「ヤクザ」と「極道」はどちらも反社会的勢力に属する人々を指すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、世間が日常会話で使う俗称なのが「ヤクザ」、映画やドラマの中で用いられる表現なのが「極道」と覚えておきましょう。