同じ「たえる」という読み方の「耐える」と「堪える」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「耐える」と「堪える」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「耐える」と「堪える」の違い
「耐える」と「堪える」の意味の違い
「耐える」と「堪える」の違いを分かりやすく言うと、「耐える」とは物理的や精神的に我慢すること、「堪える」とは能力が備わっていたり、それだけの価値があることという違いです。
「耐える」と「堪える」の使い方の違い
一つ目の「耐える」を使った分かりやすい例としては、「悔しさに耐えるように唇を噛んだ」「ストレスに耐える必要はありません」「夏の暑さに耐える体を作ろう」「この家は豪雪にも耐える構造をしている」「私はこの寒さに耐えられない」などがあります。
二つ目の「堪える」を使った分かりやすい例としては、「痛々しい事故の話は聞くに堪えない」「彼はこの任に堪えることができる人材です」「この作品は鑑賞に堪える素晴らしい作品だ」などがあります。
「耐える」と「堪える」は、同音で似た意味を持つ言葉ですが、使い方が少し違います。
「耐える」と「堪える」の使い分け方
「耐える」は、苦しいことや辛いことを我慢したり、外部から加えられる力に屈しないなど、物理的や精神的に我慢する場合に使います。一方、「堪える」は、能力が備わっていたり、それだけの価値がある場合に使う言葉になります。
「堪える」を物理的や精神的に我慢するという意味で使っても問題はないのですが、一般的には「耐える」が使われているので、この場合は「耐える」の方を使うようにしましょう。
「耐える」と「堪える」の英語表記の違い
「耐える」も「堪える」も英語にすると「endure」「bear」「withstand」「stand」となり、例えば上記の「私はこの寒さに耐えられない」を英語にすると「I cannot bear the cold」となります。
「耐える」の意味
「耐える」とは
「耐える」とは、苦しいことや辛いことを我慢することを意味しています。その他にも、外部から加えられる力に屈しないことの意味も持っています。
「耐える」の使い方
「辛い悲しさや苦しさに耐えることができない」「厳しい修行に耐える」「夏の暑さに耐える」などの文中で使われている「耐える」は、「苦しいことや辛いことを我慢すること」の意味で使われています。
一方、「日々の重労働に耐える」「この商品は高温にも耐える構造をしています」「10kgの重りに耐える」などの文中で使われている「耐える」は、「外部から加えられる力に屈しないこと」の意味で使われています。
「耐える」は二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味でも使われています。精神的に耐える場合は、苦しいことや辛いことを我慢することの意味で使い、物理的に耐える場合は、外部から加えられる力に屈しないことの意味で使うと覚えておきましょう。
表現方法は「暑さに耐える」「寒さに耐える」「衝撃に耐える」
「暑さに耐える」「寒さに耐える」「衝撃に耐える」「苦しさに耐える」「辛さに耐える」「悔しさに耐える」「痛みに耐える」などが、「耐える」を使った一般的な表現方法になります。
「耐える」の類語
「耐える」の類語・類義語としては、辛いことを我慢することを意味する「忍ぶ」、堪えることを意味する「我慢」、辛いことや苦しいことを我慢することを意味する「辛抱」、気力を出して堪えることを意味する「踏ん張る」、長時間根気よく頑張ることを意味する「粘る」などがあります。
「耐える」の耐の字を使った別の言葉としては、長く持ちこ堪えることを意味する「耐久」、環境の変化に適応していく生物の能力のことを意味する「耐性」、堪え忍ぶことを意味する「耐忍」、使用に耐えることを意味する「耐用」などがあります。
「堪える」の意味
「堪える」とは
「堪える」とは、物事をする能力が備わっていることを意味しています。その他にも、わざわざそうするだけの価値がることの意味も持っています。
「堪える」の使い方
「堪える」を使った分かりやすい例としては、「この映画は鑑賞に堪える作品です」「その行為は見るに堪えない愚行だよ」「この任に堪える人はそう多くはないだろう」「水中でも使用に堪える商品を開発している」などがあります。
「堪える」は複数の意味を持つ言葉ですが、一般的には、物事をする能力が備わっていることやわざわざそうするだけの価値がることの意味で使います。物理的や精神的に我慢するという意味も持っているのですが、その場合は「耐える」の方を使うのが一般的です。
「堪える」の読み方
「堪える」という漢字は「たえる」だけではなく「こらえる」と「こたえる」という複数の読み方をすることができます。
「堪える」(読み方:こらえる)は苦しみなど耐えてがまんすることを意味しています。もう一方の、「堪える」(読み方:こたえる)は我慢することを意味しています。どちらの言葉も我慢することという「耐える」に近い意味を持つ言葉です。
表現方法は「見るに堪えない」「聞くに堪えない」「鑑賞に堪える」
「見るに堪えない」「聞くに堪えない」「鑑賞に堪える」「読むに堪えない」「任に堪える」「憂慮に堪えない」などが、「堪える」を使った一般的な表現方法になります。
「堪える」の類語
「堪える」の類語・類義語としては、辛さや苦しさを我慢することを意味する「堪え忍ぶ」、生命を存続することを意味する「生存」、罪や過ちを許すことを意味する「赦免」(読み方:しゃめん)、そこまでは良いとして認めることを意味する「許容」などがあります。
「堪える」の堪の字を使った別の言葉としては、怒りを抑えて人の過ちを許すことを意味する「堪忍」、堪えなければならない時のことを意味する「堪え場」(読み方:こらえば)、我慢することができないことを意味する「堪え難い」などがあります。
「耐える」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、苦しいことや辛いことを我慢することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、外部から加えられる力に屈しないことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は、苦しいことや辛いことを我慢することの意味で使っており、例文4と例文5は、外部から加えられる力に屈しないことの意味で使っています。
「堪える」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事をする能力が備わっていることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、わざわざそうするだけの価値がることを表現したい時にも使います。
例文1と例文2は、物事をする能力が備わっていることの意味で使っており、例文3から例文5は、わざわざそうするだけの価値がることの意味で使っています。
「耐える」と「堪える」は同音の言葉ですが、使い分けることが可能です。物理的や精神的に我慢することを表現したい時は「耐える」を、能力が備わっていたり、それだけの価値があることを表現したい時には「堪える」を使うと覚えておきましょう。