【先立って】と【前もって】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「先立って」(読み方:さきだって)と「前もって」(読み方:まえもって)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「先立って」と「前もって」という言葉は、どちらも物事の始まる前にある事をしておくことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「先立って」と「前もって」の違い

「先立って」と「前もって」の意味の違い

「先立って」と「前もって」の違いを分かりやすく言うと、「先立って」とは過去のことに対して使える、「前もって」とは過去のことに対して使えないという違いです。

「先立って」と「前もって」の使い方の違い

一つ目の「先立って」を使った分かりやすい例としては、「会議に先立って資料を作成する」「先立っては貴重なお時間をありがとうございました」「先立ってお伝えしました通り明日はお休みを頂く予定です」などがあります。

二つ目の「前もって」を使った分かりやすい例としては、「前もって出張の準備をする」「前もって承諾を得ておきました」「遅くなる場合は前もって連絡してください」「人気のレストランは前もって予約することが必要です」などがあります。

「先立って」と「前もって」の使い分け方

「先立って」と「前もって」はどちらも物事の始まる前にある事をしておくことという同じ意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「先立って」は「会議に先立って資料を作成する」「先立ってお付き合いしていた彼女と入籍しました」のように、予めや兼ねてなどの意味だけではなく、「先立っては貴重なお時間をありがとうございました」のように、先頃や先日などの過去を表す場合に使うことができます。

一方、「前もって」は「前もって会議の資料を作成する」「前もって連絡しておく」のように、物事の始まる前にある事をしておくことの意味でしか使うことができません。そのため、「前もって貴重なお時間をありがとうございました」と過去を表す場合は使えないと覚えておきましょう。

つまり、「先立って」は過去の出来事に使えるのに対して、「前もって」は過去の出来事に対して使えないというのが違いになります。

「先立って」と「前もって」の英語表記の違い

「先立って」を英語にすると「先立って」を英語にすると「prior to」となり、例えば上記の「会議に先立って資料を作成する」を英語にすると「Prior to you have meeting,I make materials」となります

一方、「前もって」を英語にすると「in advance」「beforehand」となり、例えば上記の「人気のレストランは前もって予約することが必要です」を英語にすると「In the case of a popular restaurant, it’s best to make a reservation in advance」となります。

「先立って」の意味

「先立って」とは

「先立って」とは、他よりも先にやることを意味しています。その他にも、先頃や先日などの過去を表すことの意味も持っています。

「先立って」の使い方

「先立って」を使った分かりやすい例としては、「会議に先立って資料を配布しておく」「開演に先立って主催者様よりご挨拶をお願いします」「先立っては大変お世話になりました」「先立ってはありがとうございました」などがあります。

「先立って」は敬語ではないのですが、敬語表現の言葉と一緒に用いることが多いです。そのため、ビジネスシーンにおいて頻繁に使われており、目上の人に対しても使うことができます。

「先立って」は手紙やメールなどの書き言葉としてだけではなく、話し言葉としても使うことも可能です。

「先立って」の丁寧語は「先立ちまして」

また、「先立って」をさらに丁寧にした表現に「先立ちまして」があります。文脈や場面によって上手に使い分けるようにしましょう。

別表記「先達て」は一般的ではない

「先立って」の別の漢字表記として「先達て」がありますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、「先立って」の方を使うようにしましょう。

「先立って」の類語

「先立って」の類語・類義語としては、その時よりも前のことを意味する「以前」、物事の始まる前にある事をしておくことを意味する「予め」、以前からのことを意味する「兼ねて」などがあります。

「前もって」の意味

「前もって」とは

「前もって」とは、物事の始まる前にある事をしておくことを意味しています。

表現方法は「前もって準備する」「前もって知る」「前もって行動する」

「前もって準備する」「前もって知る」「前もって行動する」などが、「前もって」を使った一般的な言い回しになります。

「前もって」の使い方

「前もって」を使った分かりやすい例としては、「旅行する際は前もって計画を立てておくことが大切です」「心配するので帰りが遅くなる時は前もって連絡してね」「前もって資料を作成しておいて良かったです」などがあります。

「前もって」は物事の始まる前にある事をしておくことを意味しており、予めや前々からというニュアンスで使うのが一般的です。また、「前もって」は日常生活とビジネスシーンのどちらでも使うことができます。

「前もって」の漢字表記

「前もって」を漢字にすると「前以て」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの前もってを使うようにしましょう。

「前もって」の類語

「前もって」の類語・類義語としては、他よりも先にやることを意味する「先んじて」、今よりも前にのことを意味する「先に」などがあります。

「先立って」の例文

1.先立ってお伝えしてました通り、来週の月曜日は有休消化させていただきます。
2.先立ってお話しした提携の件ですが、ご検討いただけましたでしょうか。
3.来週のグランドオープン先立って行われるイベントがあります。奮ってご参加ください。
4.税務署が立ち入り調査するという情報を入手したので、立ち入り調査の前に先立って、都合の悪い資料をシュレッダーにかけておく。
5.先立ってはお忙しい中足を運んでいただき、誠にありがとうございました。
6.事前のリハーサルでは開演に先立って代表から挨拶をもらうことになっていたが、代表は一向に会場に現れなかった。
7.先立ってお伝えしました通り、きょうの会合は中止となりましたのでご了承くださいませ。
8.先立っては貴重なご意見を戴きましてまことにありがとうございました。われわれの今後の運営に活かしたいと思います。
9.先立って先方に納めた製品が設計上のミスで使い物にならないことが判明して社内で大騒ぎになっている。
10.開始に先立って、代表の岡村からみなさまに一言ご挨拶申し上げます。ご歓談の折、大変申し訳ありませんが、しばしご傾聴いただけますと幸いです。

この言葉がよく使われる場面としては、他よりも先にやることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、先頃や先日などの過去を表すことの意味で使っています。

例文1から例文4の「先立って」は他よりも先にやること、例文5の「先立って」は先頃や先日などの過去を表わすことの意味で使っています。

「前もって」の例文

1.明後日から修学旅行なので、忘れ物をしないように前もって準備をしておく。
2「晩御飯がいらない時は前もって連絡してね」とお母さんに言われました。
3.もし予定が合わなくなり参加できない場合は、前もってご連絡ください。
4.このフランス料理屋さんはとても人気なので、前もってテーブルを予約しておくべきでした。仕方がないので別の店へいきます。
5.北海道は初めて行く場所なので、前もってお店や交通機関について調べておく。
6.根回しというと聞こえが悪いが、安定的な社内自治のためには関係者に前もって説明をし、ある程度の理解を求めておくというのは悪いことではない。
7.誕生日ケーキを予約したいんですが、代金は前もって払っておいたほうがいいでしょうか。それとも受け取り当日でいいですか。
8.前もってしっかり準備して万全だと思っても、いざ本番になるとうまくいかないこともたくさんある。
9.そういうことは前もってちゃんと言ってもらわないとこちらもすぐに対応できないのだから困るよ。
10.前もって計画していたことがひっくり返ったことは、何か重要な発見がある合図なのだから悲観することはないよ。

この言葉がよく使われる場面としては、物事の始まる前にある事をしておくことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「前もって」は様々な場面で使うことができる言葉です。

「先立って」と「前もって」はどちらも、物事の始まる前にある事をしておくことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、過去のことに対して使えるのが「先立って」、過去にのことに対して使えないのが「前もって」と覚えておきましょう。

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