【エゴイスト】と【ナルシスト】と【サイコパス】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「エゴイスト」と「ナルシスト」と「サイコパス」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「エゴイスト」と「ナルシスト」と「サイコパス」という言葉は、他者を不快にする可能性がある考えを持つ人という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




エゴイストとナルシストとサイコパスの違い

エゴイストとナルシストとサイコパスの意味の違い

エゴイストとナルシストとサイコパスの違いを分かりやすく言うと、エゴイストは利己主義者を表現する時に使い、ナルシストは自己陶酔者を表現する時に使い、サイコパスは精神病質者を表現する時に使うという違いです。

エゴイストとナルシストとサイコパスの使い方の違い

エゴイストという言葉は、「エゴイスト気質な彼は後輩によく迷惑を掛けている」「こんなにもエゴイストであると思っておらず振り回されてばかりだ」などの使い方で、自分の利益だけを考える人を意味します。

ナルシストという言葉は、「ナルシストな彼を見ているとこちらも恥ずかしくなってくる」「彼女のナルシスト的一面は自身をよく見せる努力が見られる」などの使い方で、自己愛が強い人を意味します。

サイコパスという言葉は、「その人が本当にサイコパスなのかは窮地に立たされなければ誰にもわからない」「サイコパス診断を様々なホームページでしてみても結果がいつも異なる」などの使い方で、反社会的な人格を持っている人を意味します。

エゴイストとナルシストとサイコパスの使い分け方

ナルシストとサイコパスは、どちらもダークトライアドというパーソナリティ特性に含まれており、前者は他人を軽蔑した上で自身が優れている存在だと思い込む人を、後者は反社会的な行動を取るような人を指します。

一方のエゴイストも、ダークトライアドのマキャベリズムの考え方と結び付けられることが多い考えで、自分の利益を重視し他人の行動や考えを軽視したり無視するような人を指します。

これが、エゴイスト、ナルシスト、サイコパスの明確な違いです。

エゴイストの意味

エゴイストとは

エゴイストとは、自分の利益だけを考える人を意味しています。

エゴイストの日本語訳は利己主義

エゴイストは、利己主義という日本語訳が当てられていますが、エゴイズムの方が利己主義よりも広い範囲を指すためニュアンスが若干異なります。

エゴイズムは心理的エゴイズムと倫理的エゴイズムがある

エゴイズムは、自分自身の利害に動機づけられているという心理的エゴイズムと、人の利害に動機づけられるべきであるという倫理的エゴイズムに大きく分けられているため、エゴイストもこれら二種類に区分されます。

また、エゴイストはエゴと省略して使われることもありますが、エゴイズムを省略した表記も同じになるため、文脈での判断が必要になりますが、ほとんど意味は同じです。

エゴイストの対義語

エゴイストの対義語・反対語としては、自分の利益よりも他者の利益を優先する考えを持つ人を意味する「アルトルイスト」があります。

エゴイストの類語

エゴイストの類語・類義語としては、自分の思い通りに振舞うことを意味する「わがまま」、社会や他人のことを考えずに自身の利益などのみを追求する考え方をする人を意味する「利己主義者」などがあります。

ナルシストの意味

ナルシストとは

ナルシストとは、自己愛が強い人を意味しています。

ナルシストはナルシシストとも言われる

ナルシストはナルシシストと言われることもあり、自己愛をナルシシズム、オートセクシャル、メトロセクシャルなどと呼びます。

ナルシストの由来

ギリシア神話に登場するナルキッソスが、水面に映った自分の姿に恋をする呪いを掛けられたエピソードが由来となり、ナルシシズムという言葉が生まれ、ナルシストという言葉も使われるようになりました。

幼児期の子どもは、自分が世界の中心だと感じていますが、それを心理学では原始的ナルシシズムと言います。成長して、思春期を迎えた頃にもその感情は変化するも残り、二次性ナルシシズムとして自己陶酔などが表れるとも言われています。

今日のナルシストはいい意味ではなく悪い意味で使われる

今日、ナルシストという言葉は、批判的な言葉として使われることが多く、マイナスイメージを与えます。特に二次性ナルシシズムの場合は病的な状態とも言われたり、自己愛性パーソナリティ障害としても扱われます。

ナルシストの類語

ナルシストの類語・類義語としては、自分で自分の能力や価値などを信じる人を意味する「自信家」、己の力量を知らずに威張ることを意味する「夜郎自大」、実際以上に自分が優秀であると思い込んで得意になることを意味する「うぬぼれ」などがあります。

サイコパスの意味

サイコパスとは

サイコパスとは、反社会的な人格を持っている人を意味しています。

サイコパスの英語表記

サイコパスは、英語で「psychopathy」という表記となり、サイコパシーや精神病質と呼ばれる精神障害の一つです。この精神病質を持つ人を精神病質者、サイコパスと呼びます。

サイコパスの由来

1960年に「サイコ」という小説原作の映画が発表されましたが、これをきっかけに世界中に「サイコ」という言葉が精神異常や多重人格という意味を持って広まることとなりました。

その結果、精神的な恐怖などで視聴者やプレイヤーを脅かす「サイコロジカルホラー」や、人間の心の闇に焦点を当てた「サイコサスペンス」などの文学や映像作品のジャンルとして使われることが多くあります。

サイコパスを省略した形として使われることもありますが、日常生活でサイコと相手を罵る使い方も見られますが、相手を批判する言葉であるため基本的には使いません。

また、この場合は、サイコパス的な考え方をしながらも反社会性の傾向がないことから「マイルド・サイコパス」と呼ばれています。

サイコパスの類語

サイコパスの類語・類義語としては、他者への共感が欠如した行動や考え方をする人を意味する「ソシオパス」があります。

エゴイストの例文

1.エゴイスト的な考えは誰しも持ったことがあるだろうが、私の友人は他者を尊重することが多く、エゴイストから最も離れた人間のように思える。
2.勝手気ままに振舞う息子はエゴイストの自覚がないため、今後恐らく自身の言動を後悔する時が来るのだろうと迷惑を掛けない程度に見守っている。
3.そのまま責任から逃れようとするのはエゴイストの考え方だと非難する声も多く上がっている。
4.いつも突然電話してきて自分の言いたいことだけ言う友人が、私なんで彼氏ができないんだろうと言うので、そのエゴイストなところを直さないと無理でしょうよと心の中で思っていた。
5.人間は本来自己防衛反応があり、その意味でエゴイストな生き物だと思うが、社会性を身に着けて初めて人間と呼べるものになるのだと思われます。
6.隣の部署の社員たちはあのエゴイストの上司に振り回されて大変だなと思う。こういう眼差しを対岸の火事というのだろうな。
7.元彼は付き合う前は優しかったが、いざ付き合ってみるとエゴイスト丸出しで、たった3か月で別れてしまった。
8.モデル業界は一見きらびやかに見えるかもしれないが、モデルたちは皆エゴイストばかりなので、現場はギスギスしているよ。

この言葉がよく使われる場面としては、自分の利益だけを考える人を意味する時などが挙げられます。

例文3の「エゴイストの考え方」は、エゴイズムという言葉に言い換えて使うこともできます。

ナルシストの例文

1.30秒に1回鏡を見ている彼にナルシストかと笑っている人がいたが、初めてのデートで緊張しているのだと心の中で代わりに憤りを覚えてしまった。
2.どんなにナルシストであっても他人を不快な気持ちにさせなければ、自分を磨くことに努力している人間として素敵に思う。
3.子どもは基本的に自分が中心の生活を送ることが多いためにナルシスト的な考えを持つことが多い。
4.たしかに彼女は外見をとても気にするしナルシストの気があるかもしれないが、だからといって冷笑して小バカにしている私たちが彼女より上なわけではない。
5.ミュージシャンたるもの、ナルシストでないはずがない。自分が好き、から始まる表現が、万人の共感を得るものに昇華されていけば、それはやがて立派な芸術になる。
6.主役の恋敵役は自身を東京大学出身であることを誇りに思うナルシストで、いつも相手の女性から嫌われている。
7.ある芸人は自分が出演した番組を観て笑っていると言っていたけど、究極のナルシストとしか言いようがないな。
8.学生時代に友達がいなくてもつらくなかったのは、孤独な自分にうっとりしていたのでナルシストをこじらせていたのかもしれない。

この言葉がよく使われる場面としては、自己愛が強い人を意味する時などが挙げられます。

例文1のように、他人に対して言う場合は「ナルシ」と省略されて使われることもあります。

サイコパスの例文

1.サイコパスが犯人のホラー映画は、どうしたらそんな考えをすることが出来るのかという倫理観で構成されたもので、恐怖をあおられた。
2.いつもどんな時でもにこにこと笑っていることから、サイコと言われていた友人がいたが、ふとした時に何を考えているのか全く分からなかった時は似たようなことを思った。
3.ミステリを見ていて思うのは、サイコパス的思想の犯人は自白する時が一番恐ろしいということだ。
4.あのお客さん、ただのクレーマーかと思いきや、ここまで行くとサイコパスですね。店員の名前と顔だけでなく、いつ何を言ったか一字一句覚えているんですから。
5.経営者や医者にはサイコパスが多いと聞くので、時折遭遇した時にはそういう目線で見てしまう。
6.映画で演じるキャラクターにはサイコパス的な要素があったので、彼は役作りには相当苦労した模様だ。
7.サディズムもエスカレートすればただのサイコパスにしかならない。他人の苦痛に対し共感という抑制がなくなってしまうだろう。
8.このチームは監督はサイコパスで、主将がマゾヒスト、他の選手に至ってはペシミストという史上最悪のチームだった。

この言葉がよく使われる場面としては、反社会的な人格を持っている人を意味する時などが挙げられます。

例文2の「サイコ」は、サイコパスの略称として使われている表現方法です。

エゴイストとナルシストとサイコパスどれを使うか迷った場合は、利己主義者を表す場合は「エゴイスト」を、自己陶酔者を表す場合は「ナルシスト」を、精神病質者を表す場合は「サイコパス」を使うと覚えておけば間違いありません。

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