【ひょうきん】と【滑稽】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「ひょうきん」と「滑稽」(読み方:こっけい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「ひょうきん」と「滑稽」という言葉は、どちらもおどけていて笑いだしたくなることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「ひょうきん」と「滑稽」の違い

「ひょうきん」と「滑稽」の意味の違い

「ひょうきん」と「滑稽」の違いを分かりやすく言うと、「ひょうきん」とは基本的にプラスのイメージで使う言葉、「滑稽」とはプラスとマイナスどちらのイメージでも使える言葉という違いです。

「ひょうきん」と「滑稽」の使い方の違い

一つ目の「ひょうきん」を使った分かりやすい例としては、「ひょうきんな仕草で人を笑わせる」「彼はひょうきんな人です」「俺たちはひょうきん族だ」「私の一人息子はひょうきんな性格です」「彼女はひょうきんなことを言ってよく人を笑わす」などがあります。

二つ目の「滑稽」を使った分かりやすい例としては、「彼は滑稽に振る舞っている」「あいつがチームリーダーとは滑稽だ」「彼は滑稽な格好をした喜劇役者です」「いつまでも過去のことでうじうじしているなんて実に滑稽」「彼女を社長にするなんて滑稽だ」などがあります。

「ひょうきん」と「滑稽」の使い分け方

「ひょうきん」と「滑稽」はどちらもおどけていて笑いだしたくなることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「ひょうきん」は気軽でおどけた感じのすることを意味する言葉で、基本的にプラスのイメージで使う言葉になります。

一方、「滑稽」はあまりにも馬鹿馬鹿しいことと、笑いの対象となる面白いことの二つの意味を持っており、プラスとマイナスどちらのイメージでも使える言葉というが違いです。

「ひょうきん」と「滑稽」の英語表記の違い

「ひょうきん」を英語にすると「jocular」「comical」「funny」となり、例えば上記の「She often makes people laugh by saying funny things」を英語にすると「彼女はひょうきんなことを言ってよく人を笑わす」となります。

一方、「滑稽」を英語にすると「comical」「funny」「ridiculous」「nonsense」となり、例えば上記の「Make her president? What nonsense」を英語にすると「彼女を社長にするなんて滑稽だ」となります。

「ひょうきん」の意味

「ひょうきん」とは

「ひょうきん」とは、気軽でおどけた感じのすることを意味しています。

「ひょうきん」の漢字表記

「ひょうきん」を漢字にすると、「剽軽」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「ひょうきん」を使うようにしましょう。

表現方法は「ひょうきん者」「ひょうきん族」「ひょうきんな女」

「ひょうきん者」「ひょうきん族」「ひょうきんな女」「ひょうきんな男」「ひょうきんな性格」などが、「ひょうきん」を使った一般的な言い回しになります。

「ひょうきん」の使い方

「ひょうきん」を使った分かりやすい例としては、「あの人はひょうきん者だと思います」「彼がひょうきんな性格であることは知っている」「2000年代生まれの人はひょうきんという言葉を知らないことが多い」「ひょうきんな女性は意外とモテるらしい」などがあります。

「ひょうきん」の由来

「ひょうきん」の由来は中国語の「剽軽」です。「ひょうきん」は元々中国の言葉で、素早いことと軽はずみで争いを事を好むことの意味で使われていました。そのため、泥棒や喧嘩っ早いなどのマイナスイメージを伴っています。

それが日本に入ってだんだんと意味が変化し、気軽でおどけた感じのすることというプラスのイメージで使う言葉になりました。そのため、基本的にはプラスのイメージで使う言葉ではありますが、マイナスなイメージでも使うことがあると覚えておきましょう。

また、「ひょうきん」は1980年代や1990年代にはよく使われていた言葉ですが、現代ではほとんど使われていない死語になっています。死語とは昔は使用されていたが、現在では全く使われなくなった言葉のことです。

「ひょうきん」の類語

「ひょうきん」の類語・類義語としては、つい笑いたくなることを意味する「面白い」、普通とは違うところがあって笑いたくなることを意味する「おかしい」、おだてに乗って勢いづいたり得意になったりする人のことを意味する「お調子者」などがあります。

「滑稽」の意味

「滑稽」とは

「滑稽」とは、あまりにも馬鹿馬鹿しいことを意味しています。その他にも、笑いの対象となる面白いことの意味も持っています。

「滑稽」の読み方

「滑稽」の読み方は「こっけい」です。誤って「かっけい」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「滑稽に思う」「滑稽に見える」「滑稽な姿」

「滑稽に思う」「滑稽に見える」「滑稽な姿」「滑稽な人」などが、「滑稽」を使った一般的な言い回しになります。

「滑稽」の使い方

「今更強がっても滑稽なだけだと思います」「運に対して文句を言っている彼をみると、滑稽だなと感じる」などの文中で使われている「滑稽」は、「あまりにも馬鹿馬鹿しいこと」の意味で使われています。

一方、「彼は滑稽な仕草をしている」「この映画はとても滑稽だと思います」などの文中で使われている「滑稽」は、「笑いの対象となる面白いこと」の意味で使われています。

「滑稽」はあまりにも馬鹿馬鹿しいことと、笑いの対象となる面白いことという異なる意味を持っており、プラスのイメージとマイナスのイメージどちらでも使うことができるというのが特徴です。

あまりにも馬鹿馬鹿しいことの意味は、上記の「今更強がっても滑稽なだけだと思います」のように、みっともないというニュアンスでマイナスイメージで使います。

一方、笑いの対象となる面白いことの意味は、上記の「この映画はとても滑稽だと思います」のように、ユーモアがあって面白いというニュアンスで、プラスのイメージで使うのが一般的です。

「滑稽」の由来

「滑稽」の由来は中国歴史書『史記』です。「滑」は滑らかなこと、「稽」は考えることを意味しており、この二つが合わさって、頭の回転が速く弁舌が淀みないことの意味で使われていました。

本来は笑いの対象となる面白いという意味を持っていない言葉でしたが、頭の回転が速く弁舌が淀みないと言われる「滑稽」な人の中には、おどけていたり、ユーモアな人が多かったのです。

これが転じて、「滑稽」は笑いの対象となる面白いことの意味でも使われるようになりました。

「滑稽」の類語

「滑稽」の類語・類義語としては、愚かなことを意味する「あほらしい」、馬鹿らしくみえることを意味する「馬鹿げる」、変わっていておかしいことを意味する「珍妙」、おどけたことを意味する「コミカル」などがあります。

「ひょうきん」の例文

1.ひょうきん者の彼の周りには、休み時間になるとみんな集まってきます。
2.学生時代はオレたちひょうきん族という番組にはまっていたが、今思い出すととても懐かしい。
3.彼はひょうきんな仕草で他人を笑顔にできる、笑いの天才でした。
4.ひょうきん者は一緒にいると楽しいので、私は大好きです。
5.彼はイケメンだがひょうきんな性格でとても明るいので、そのギャップに惚れてしまいます。
6.娘の担任との面談で、お嬢さんはとてもひょうきんでクラスの人気者なんですよと言われ、家ではムスッっとしていることも多いので2面性に驚いた。
7.友人はお笑い芸人を目指しているそうだが、中学時代からひょうきんな性格でクラスメイトを笑わせていたことを思い出した。
8.彼女は気持ちを落ち着かせようとひょうきんなことを言ってきたが、私は愛想笑いでしか応えられなかった。
9.ひょうきんな女性は意外とモテるらしいが、下ネタ全開で話されるとさすがに男性も腰が引けてしまうものだ。
10.学生時代は堅物といわれた男も、年を経るにつれて割とひょうきんな性格になってしまい、人は丸くなるのだなと痛感した。

この言葉がよく使われる場面としては、気軽でおどけた感じのすることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「ひょうきん」は基本的にはプラスのイメージで使う言葉です。

「滑稽」の例文

1.彼が負けた言い訳を口にする度に、とても滑稽に見えてくる。
2.今更強がっても滑稽なだけなので、素直に負けを認めた方がいいだろう。
3.メディアやSNSに踊らされている彼を見ると、とても滑稽だなと感じました。
4.息子の滑稽な仕草によって、家族みんなが笑顔になりました。
5.彼の滑稽な演技によって、会場はかつてないほど盛り上がりました。
6.片思いの彼女にプレゼントを贈ったり家電が壊れた時は修理に行ったり尽くしているが、ただ利用されている事実を知るたびに自分が滑稽で泣き笑いしてしまう。
7.素人がネットで拾ってきた適当な知識で、医師や科学者たちが長い間に培ってきた知見を否定するなど滑稽でしかない。
8.人間関係で苦しんでいた君のことをずっと気づけなかった僕はどれほど滑稽な人間だったのだろう。
9.もう勝ち目はないのだから、今更強がっても滑稽なだけだ。あなたが今できることは潔く負けを認めることですよ。
10.進路指導の教師に東京の大学を目指すと言ったら、ろくに勉強もできないくせに滑稽だとバカにされました。

この言葉がよく使われる場面としては、あまりにも馬鹿馬鹿しいことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、笑いの対象となる面白いことを表現したい時にも使います。

例文1から例文3の「滑稽」はあまりにも馬鹿馬鹿しいこと、例文4と例文5の「滑稽」は笑いの対象となる面白いことの意味で使っています。

「ひょうきん」と「滑稽」はどちらもおどけていて笑いだしたくなることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、基本的にプラスのイメージで使うのが「ひょうきん」、プラスとマイナスのどちらのイメージでも使うのが「滑稽」と覚えておきましょう。

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