似た意味を持つ「両者」(読み方:りょうしゃ)と「双方」(読み方:そうほう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「両者」と「双方」という言葉は、どちらも「二人や二つのもの」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
両者と双方の違い
両者と双方の違いを分かりやすく言うと、両者とは二人や二つのものを単純に表し、双方とは二人や二つのものの関係性を表すという違いです。
一つ目の両者を使った分かりやすい例としては、「両者の言い分に食い違いがある」「両者間で協議のうえ措置を決定します」「サルとイノシシの両者は絶妙な距離を保っている」「天と地の両者は大きな違いがある」などがあります。
二つ目の双方を使った分かりやすい例としては、「双方の合意のもと和解契約が成立しました」「双方協議のうえ本契約を解約することができます」「ヒグマとツキノワグマの激闘は双方が致命傷を負う形となった」などがあります。
両者と双方という言葉は、どちらも二人や二つの団体あるいは二つの物体を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
両者とは、両方の者や二つのものを意味します。人に対して使用されることがほとんどですが、「サルとイノシシの両者」「天と地の両者」のように動物や物事に用いることもできます。二つあるものを単純に指す言葉です。
双方とは、関係するものの両方を意味し、あちらとこちらを表します。両者と同様に、多くは人について用いられていますが、動物や物事に使用することもあります。双方という言葉は、関係性を持っているというニュアンスがあり、共通する何かがあったり、対立していたりする場合に使用されます。
つまり、両者とは単純に二人や二つのものを表現し、双方とは関係する二人や二つのものを表します。二つの言葉は似ていますが、ニュアンスには違いがあるので区別して使うようにしましょう。
両者も双方も英語にすると「both」「both parties 」「both sides」となり、例えば上記の「両者の言い分」を英語にすると「both claims」となります。
両者の意味
両者とは、両方の者、双方を意味しています。
両者を使った分かりやすい例としては、「両者ともに実力はほぼ互角である」「カスハラとクレームの両者を正確に区別する」「両者の間で契約書を取り交わす」「移動と異動の両者には明確な違いがある」「最終的には両者共にお咎め無しになりました」などがあります。
その他にも、「握手をして両者ともにお互いを称え合おう」「両者互角のハイレベルな戦いであった」「両者の関係の仲立ちをすることになりました」「二人は別れを選びましたが両者共々幸せになって欲しいです」などがあります。
両者の読み方は「りょうしゃ」です。同じ読み方をする熟語に「両社」がありますが、意味が異なるので注意してください。
両者の「両」は二つで一組みとなるものの双方を表し、「者」は人あるいは物事や事柄を表す漢字です。両者とは、両方のものや二つのものを意味し、直前の文脈で述べられた2つの対象や人、チームなどを指す言葉です。
両者という言葉は、「両者の間で契約書を取り交わす」のような使い方で、多くは人について使用されています。ただし、人以外の物に使うことも可能であり、「二つの物体の両者」「カスハラとクレームの両者」と表現しても問題ありません。
両者の対義語・反対語としては、二つそろって対になっているもののうちの一つを意味する「片方」などがあります。
両者の類語・類義語としては、二つあるものの二つともを意味する「両方」、ふたりの人をひと組みにしていうことを意味する「両人」、二つの方向や方面を意味する「両面」、あれとこれと両方を意味する「両両」、双方に関連するさまを意味する「バイラテラル」などがあります。
双方の意味
双方とは、関係するものの両方、あちらとこちらを意味しています。
その他にも、「二つの方形」の意味も持っています。
「双方代理は原則的に禁止されています」「双方の販路拡大を実現するビジネスを提案する」「双方向番号ポータビリティが開始されました」などの文中で使われている双方は、「関係するものの両方、あちらとこちら」の意味で使われています。
一方、「楯築遺跡は岡山にある双方中円墳です」「代表的な双方中円墳はどこにありますか」「1つの連結点で双方を繋ぐ構造になっています」「双方が交わるような建造物である」などの文中で使われている双方は、「二つの方形」の意味で使われています。
双方の読み方は「そうほう」です。誤って「ふたかた」などと読まないようにしましょう。
双方とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「関係するものの両方、あちらとこちら」の意味で用いられています。双方の「双」は二つで一組みとなるものの両方、「方」は起点から上下左右などに向かう直線の向きを表す漢字です。
双方を用いた日本語には「双方代理」があります。双方代理とは、一人が同時に当事者双方の代理人となって契約を結ぶことを意味します。代理人がいずれか一方の利益をはかり、他方の利益を害するおそれがあるので、民法は原則として双方代理を禁止しています。
双方の対義語・反対語としては、二つまたは二つ以上あるもののうちの一つを意味する「一方」などがあります。
双方の類語・類義語としては、両方の人や二人を意味する「両名」、情報伝達の方向が一方向でなく受信側からも発信できる方式を意味する「双方向」、同じ母親から一度の出産で生まれた二人の子を意味する「双子」、二つの方面や二方向を意味する「二手」(読み方:ふたて)などがあります。
両者の例文
この言葉がよく使われる場面としては、両方の者、二者、双方を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、両者という言葉は二人の人や二つの団体に対して使われることが多くなっています。ただし、例文5のように動物や物事に使用されることもあります。
双方の例文
この言葉がよく使われる場面としては、あちらとこちらと両方、二つの方形を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「双方中円墳」とは、墳墓形式の一つであり、前方後円墳の前方部のような方形部分が円丘の前後につけられているものを言います。
両者と双方という言葉は、どちらも「二人や二つのもの」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、二人や二つのものを単純に表現したい時は「両者」を、二人や二つのものの関係性を表現したい時は「双方」を使うようにしましょう。