【転落】と【墜落】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「転落」(読み方:てんらく)と「墜落」(読み方:ついらく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「転落」と「墜落」という言葉は、どちらも「高い場所から落ちること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




転落と墜落の違い

転落と墜落の違いを分かりやすく言うと、転落とは何かに接触しながら落ちること、墜落とは何も接触せずに落ちることという違いです。

一つ目の転落を使った分かりやすい例としては、「転落防止柵の設置基準を確認する」「車が海へ転落する瞬間を目の当たりにした」「道路が陥没してトラックが転落してしまった」「月収50万円から無収入に転落した」などがあります。

二つ目の墜落を使った分かりやすい例としては、「墜落機のパイロットは意識不明の重体です」「黒煙を出しながらセスナ機が墜落した」「墜落による労働災害が発生しました」「作業の前に墜落制止用器具を装着する」などがあります。

転落と墜落という言葉は、どちらも高い場所から低い位置に落ちること表しますが、意味や使い方には違いがあります。

転落とは、転げ落ちること、落下することを意味します。階段や坂道などで、何かに接触しながら転がるように落ちていく様子を表す言葉です。また、「無収入に転落した」のような使い方で、比喩的に落ちぶれるさまも意味します。

墜落とは、下に落ちること、高いところから落ちることを意味し、何も接触せずに完全に宙に浮いた状態から落下するさまを表します。飛行機の事故や、高所作業での重大事故を表現することが多い言葉です。

つまり、二つの言葉の違いは接触の有無にあります。転落とは接触しながら落ちるさまを、墜落は接触することなく落ちるさまを表現しています。

転落を英語にすると「fall」「downfall」「tumble」となり、例えば上記の「転落防止」を英語にすると「fall prevention」となります。一方、墜落を英語にすると「crash」「accidental fall」となり、例えば上記の「墜落機」を英語にすると「a crashed plane」となります。

転落の意味

転落とは、転げ落ちることを意味しています。

その他にも、「上位から下位に一挙に落ちること、急激に落ちぶれること」「堕落すること、身をもち崩すこと」の意味も持っています。

「転落防止ネットを注文しました」「河川敷に転落防止柵が設置されました」「作業現場の従業員が転落ししました」「転落式パチンコの仕組みを解説します」などの文中で使われている転落は、「転げ落ちること」の意味で使われています。

一方、「学年トップから底辺に転落した」の文中で使われている転落は「上位から下位に一挙に落ちること」の意味で、「ギャンブルにハマって転落の一途をたどった」の文中で使われている転落は「堕落すること」の意味で使われています。

転落は「顛落」とも書きますが、一般的には常用漢字を用いた「転落」と表記されています。

転落とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。転落の「転」は転がることやひっくり返ること、「落」は上から下に位置が下がることを表す漢字です。

転落を用いた日本語には「無配転落」があります。無配転落とは証券用語であり、前の決算期末には配当があったが、今期の決算期末では配当金が支払われないことを意味します。業績がはなはだしく悪化した企業が陥るものです。

転落の対義語・反対語としては、物の位置や物事の程度などがあがることを意味する「上昇」などがあります。

転落の類語・類義語としては、高い所から落ちることを意味する「落下」、登山の際に急斜面を滑り落ちることを意味する「滑落」、くずれ落ちることを意味する「崩落」、相場や物事の価値などがさがることを意味する「下落」などがあります。

墜落の意味

墜落とは、高いところから落ちること、下に落ちることを意味しています。

墜落を使った分かりやすい例としては、「日航機墜落事故から40年経ちました」「墜落の瞬間を空港のカメラが捉えていた」「航空機の墜落事故はテロ組織が関係していた」「インド旅客機の墜落事故のニュースを英語で聞く」などがあります。

その他にも、「高所作業時の安全対策は墜落事故防止に欠かせません」「墜落事故を防ぐためのマニュアルを作成する」「墜落時保護用のヘルメットを着用してください」「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドラインを確認する」などがあります。

墜落の「墜」は訓読みで「おちる」「おとす」と読み、上から下へ物の位置が急に変わることや、
好ましくない状態にはまりこむを表します。物が下へ動くことを表す「落」と組み合わさり、墜落とは、飛行機や人などが高い所から落ちることを意味します。

上記の例文にある「墜落制止用器具」とは、建設現場などの高所作業で墜落を防止するための保護具です。以前は「安全帯」と呼ばれていたもので、2019年の法改正でフルハーネス型の着用が原則となりました。

墜落の対義語・反対語としては、 飛行機などが陸地から空へ飛び立つことを意味する「離陸」などがあります。

墜落の類語・類義語としては、高いところから下に落ちることや下落することを意味する「墜下」(読み方:ついか)、高い所から低い所へおりることを意味する「降下」、乗っていた馬から落ちることを意味する「落馬」などがあります。

転落の例文

1.高齢者が屋根の雪かきをする際は、転落事故に十分気を付けてください。
2.子供が階段から転げ落ちそうになったので、転落防止ネットをオーダーメイドしました。
3.立体駐車場で0歳児が乗っていたベビーカーごと転落し、鼻の骨を折る重傷を負いました。
4.崖から転落する夢を見たのが気になって、急いで夢占いの本を買いに行きました。
5.ベランダの隙間に設置したくて、転落防止柵のカタログを取り寄せました。

この言葉がよく使われる場面としては、崩れて落ちることを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「転落防止柵」とは、高低差のある場所や階段などに設置される安全のための柵を意味します。

墜落の例文

1.ブラジルのジャングルに小型飛行機が墜落し、機体に乗っていた3人が死亡しました。
2.自衛隊機の墜落事故について、防衛大臣は記者会見を開きました。
3.ボイスレコーダーには、墜落事故直前30分間の生々しい音声が記録されていました。
4.英語の先生は授業中の雑談で、飛行機が墜落する夢を見たことを話していました。
5.警察は、墜落現場で見つかった遺体の身元確認を進めています。

この言葉がよく使われる場面としては、下に落ちることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、墜落という言葉は、空中に浮いた状態で落ちる航空機について用いられることがほとんどです。

転落と墜落という言葉は、どちらも「高い場所から落ちること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、何かに接触しながら落ちることを表現したい時は「転落」を、何も接触せずに落ちることを表現したい時は「墜落」を使うようにしましょう。

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