似た意味を持つ「固有」(読み方:こゆう)と「特有」(読み方:とくゆう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「固有」と「特有」という言葉は、どちらも「そのものだけに存在すること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
固有と特有の違い
固有と特有の違いを分かりやすく言うと、固有とは本来持っている本質的な要素、特有とは他にはない特別に持っている要素という違いです。
一つ目の固有を使った分かりやすい例としては、「離島には日本固有の種が数多く生息しています」「企業には固有の風土があります」「固有ベクトルの求め方を教えてもらいました」「日本固有の文化を守って継承していく」などがあります。
二つ目の特有を使った分かりやすい例としては、「レトルトカレー特有の味が苦手なので食べられません」「メディアの特有性をマーケティングに役立てる」「財産分与されないために特有財産を立証する」などがあります。
固有と特有という言葉は、どちらも特別に備わっていること、そのものだけが持っているさまを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
固有とは、もともと持っていることや、そのものだけに限って有るさまを意味します。そのものが最初からもっている本質的な要素というニュアンスが強い言葉です。「固有ベクトル」とは、ベクトルを一次変換したとき、それに対するもとのベクトルを指します。
特有とは、そのものだけに特別に備わっていることを意味します。他のものにはなく、それだけが特別に持っているというニュアンスが強い言葉です。「特有性」とは、そのものだけが持っている特別の性質のことであり、「特性」とも言います。
つまり、固有とは本来持っている本質的な要素を表し、特有とは他にはない特別に持っている要素を表現します。二つの言葉は似ていますが、ニュアンスは異なるので区別して使うようにしましょう。
固有を英語にすると「endemic」「inherent」となり、例えば上記の「日本固有の種」を英語にすると「species endemic to Japan」となります。一方、特有を英語にすると「characteristic」「peculiar」となり、例えば上記の「特有の味」を英語にすると「a peculiar flavor」となります。
固有の意味
固有とは、本来持っていることを意味しています。
その他にも、「そのものだけにあること、また、そのさま、特有」の意味も持っています。
「素材固有の旨味を最大限に引き出す」「自然豊かな奄美大島の固有種を調査する」「木材固有の美しさを活かした家具を作る」などの文中で使われている固有は、「本来持っていること」の意味で使われています。
一方、「わびさびは日本人固有の感性です」「地域固有の農民文化を大事にする」「製造所固有記号を調べる」「固有振動数は何で決まるものですか」どの文中で使われている固有は、「そのものだけにあるさま」の意味で使われています。
固有の読み方は「こゆう」です。誤って「こゆ」「かゆう」などと読まないようにしましょう。
固有とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。固有の「固」はがっちりかたまって動かないこと、「有」は存在することや持っていることを表す漢字です。
固有を用いた日本語には「固有心筋」(読み方:こゆうしんきん)があります。固有心筋とは、心臓の心房や心室の壁の大部分を構成し、ポンプ機能を担う心筋細胞です。特殊心筋が伝える電気信号を受け取り、心臓の規則正しい運動を実現します。
固有の対義語・反対語としては、どれにもあてはまることを意味する「共通」、全体に広く行き渡ることを意味する「普遍」などがあります。
固有の類語・類義語としては、そのものだけが特別にもっていることを意味する「独特」、人や物が他と比較して異なる個性をもっているさまを意味する「個性的」、独自のものであるさまを意味する「オリジナル」などがあります。
特有の意味
特有とは、そのものだけが特にもっていること、また、そのさまを意味しています。
特有を使った分かりやすい例としては、「病院特有の匂いの原因を究明する」「日本人特有の能力は何ですか」「住んでから地域特有の課題を見えてきました」「日本人特有の特徴を思いつくまま書き出してみよう」などがあります。
その他にも、「弁護士に特有財産の証明方法を教えてもらいました」「私の職業観はIT業界の特有性にマッチしません」「女の子特有の甘い匂いを感じる」「地域特有の苗字をまとめた地図を作ろうと思います」などがあります。
特有の読み方は「とくゆう」です。誤って「とくう」「とっゆう」などと読まないようにしましょう。
特有の「特」は他と異なってそれ一つだけのさま、それだけ目立って著しいさまを表す漢字です。持っていることを表す「有」と組み合わさり、特有とは、そのものだけに特別に備わっていること、特別にそれだけが所有することを意味します。
特有を用いた日本語には「特有財産」があります。特有財産とは、夫婦の一方が婚姻前からもっている財産、および婚姻中自分の名義で取得した財産のことです。夫婦財産制のなかの法定財産制で規定されるもので、特有財産は夫婦共有から外れます。
特有の対義語・反対語としては、ごくありふれたものであることを意味する「普通」、広く全体に共通して認められ行き渡っていることを意味する「一般」などがあります。
特有の類語・類義語としては、他と違ってそのものだけにあることを意味する「独自」、類似のものがない新しい着想が表われているさまを意味する「独創的」、他に類を見ないさまや独特であるさまを意味する「ユニーク」などがあります。
固有の例文
この言葉がよく使われる場面としては、もともと持っていること、そのものだけに限って有るさまなどの傾向を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「固有種」とは、特定の地域に分布が限られる動植物の種を意味します。日本のニホンザルやイリオモテヤマネコなどがこれに当たります。
特有の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その人や物が他と異なり固有にもっている性質や情態を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「特有」と「独特」の違いは、特有はそのものだけに備わっていることを表し、独特は他と違って個性的であるさまを表す点にあります。
固有と特有という言葉は、どちらも「そのものだけに存在すること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、本来持っている本質的な要素を表現したい時は「固有」を、他にはない特別に持っている要素を表現したい時は「特有」を使うようにしましょう。