似た意味を持つ「滅相もない」(読み方:めっそうもない)と「とんでもない」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「滅相もない」と「とんでもない」という言葉は、どちらも相手の言葉を否定することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「滅相もない」と「とんでもない」の違い
「滅相もない」と「とんでもない」の意味の違い
「滅相もない」と「とんでもない」の違いを分かりやすく言うと、「滅相もない」とは目上の人に対して使う、「とんでもない」とは同等か目下の人に対して使うという違いです。
「滅相もない」と「とんでもない」の使い方の違い
一つ目の「滅相もない」を使った分かりやすい例としては、「滅相もないです、私も今到着したばかりでした」「滅相もない、こちらにも責任があります」「滅相もない、ここからが本番です」などがあります。
二つ目の「とんでもない」を使った分かりやすい例としては、「この魚はとんでもない価格で売られている」「彼は10代にしてとんでもない世界記録を樹立した」「とんでもない、私はやっていません」「私が昇進なんてとんでもないです」などがあります。
「滅相もない」と「とんでもない」の使い分け方
「滅相もない」と「とんでもない」は、どちらも相手の言葉否定する場合に使う同じ意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあります。
「滅相もない」の方が「とんでもない」よりも謙った言い方なので、上司や取引先など目上の人に対して使う場合は「滅相もない」を、同僚や部下などの同等や目下の人に対して使う場合は「とんでもない」と覚えておきましょう。
また「とんでもない」には、思い掛けないことや、以ての外であることという意味があるのも違いの一つです。
「滅相もない」と「とんでもない」の英語表記の違い
「滅相もない」を英語にすると「don’t be absurd」「don’t be ridiculous」「not at all」「Don’t be silly」となり、例えば上記の「あいつがパイロットだって?滅相もないこと言うなよ」を英語にすると「That guy is a pilot? Don’t be absurd」となります。
一方、「とんでもない」を英語にすると「outrageous」「unexpected」「very offensive」「no problem」となり、例えば上記の「この魚はとんでもない価格で売れられている」を英語にすると「This fish is sold at an outrageous price」となります。
「滅相もない」の意味
「滅相もない」とは
「滅相もない」とは、とんでもないやあるべきことではないことを意味しています。
「滅相もない」の使い方
「滅相もない」を使った分かりやすい例としては、「私がプロジェクトリーダーなんて滅相もない話です」「滅相もありません、いつもお世話になっておりますので」「滅相もない、ただ人として当たり前のことをしただけですから」などがあります。
「滅相もない」は、とんでもないやあるべきことではないことを意味しており、相手の言葉を否定する場合に使います。
「滅相もない」の由来は仏教用語
「滅相もない」は、仏教用語が由来になります。仏教の物事の移り変わりを四段階に分けたことを「四相」と言っていました。
「四相」とは、生まれることを意味する「生相」、存在、持続することを意味する「住相」、変化することを意味する「異相」、消えてなくなることを意味する「滅相」で成り立っています。
「四相」のうちの一つ「滅相」の、消えてなくなることが転じて、「とんでもない」という意味を持つ「滅相もない」になりました。
「滅相もない」は、ビジネスシーンで頻繁に使われる言葉になります。謙遜の意味を込めて使うので、上司や取引先など、目上の人に対して使います。
「滅相もございません」を使う場合には注意が必要
よく使われている「滅相もございません」という言葉は、以前は誤用であると言われていました。
しかし、類語である「とんでもない」が、2007年の文化審議会が発表した敬語の指針で、相手からのほめ言葉に対して謙遜しながら軽く打ち消す表現として「とんでもございません」「とんでもありません」を使っても問題ないされたため、「滅相もございません」も誤用ではない意見も出てきました。
そのため、「滅相もございません」を使う際は、上記の背景を理解した上で使うようにしましょう。
表現方法は「滅相もないです」「滅相もないことでございます」
「滅相もないです」「滅相もないことでございます」などが、「滅相もない」を使った一般的な言い回しになります。
「滅相もない」の類語
「滅相もない」の類語・類義語としては、根拠ない噂のことを意味する「濡れ衣」、罪が無いのに罰せられることを意味する「冤罪」、絶対にそんなことはないことを意味する「決してそのようなことはない」などがあります。
「とんでもない」の意味
「とんでもない」とは
「とんでもない」とは、全くそうではないことを意味しています。その他にも、思い掛けないことや、以ての外であることの意味も持っています。
「とんでもない」の使い方
「とんでもない発明をしノーベル化学賞を受賞した」「彼はとんでもない悪さをすることで有名です」などの文中で使われている「とんでもない」は、「思い掛けないことや、以ての外であること」の意味で使われています。
一方、「とんでもない、この件に関して私は無関係だ」「儲かってるなんてとんでもない、赤字続きでとても苦労しています」などの文中で使われている「とんでもない」は、「全くそうではないこと」の意味で使われています。
「とんでもない」は複数の意味を持つ言葉ですが、どの意味でも使われています。また、ビジネスシーンにおいてもよく見かけるでしょう。
「とんでもございません」「とんでもありません」を使う場合には注意が必要
「とんでもない」は「とんでも」に否定の「ない」がついた言葉ですが、「とんでも」が単独で使われることはなく、「とんでもない」という言葉で使うのが一般的です。
そのため、「とんでもありません」「とんでもございません」という言葉は不適切とされており、丁寧に言うなら「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」というのが適切とされていました。
しかし、「とんでもありません」「とんでもございません」という言葉を使う人が増えたことにより、2007年の文化審議会が発表した敬語の指針で、相手からのほめ言葉に対して謙遜しながら軽く打ち消す表現として「とんでもございません」「とんでもありません」を使っても問題ないとされました。
表現方法は「とんでもないことです」「とんでもないです」「とんでもない人」
「とんでもないことです」「とんでもないです」「とんでもない人」「とんでもないことでございます」などが、「とんでもない」を使った一般的な言い回しになります。
「とんでもない」の類語
「とんでもない」の類語・類義語としては、道理に合わないことを意味する「途方もない」、とんでもなく調子外れであることを意味する「突拍子もない」、身分や常識などがから大きく外れていることを意味する「大それた」、けしからぬことを意味する「以ての外」などがあります。
「滅相もない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、とんでもないやあるべきことではないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、ビジネスシーンで目上の人に対して使うことが多いです。
「とんでもない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、全くそうではないことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、思い掛けないことや、以ての外であることを表現したい時にも使います。
例文1はや例文2は思い掛けないことの意味で使っており、例文3は全くそうではないことの意味で使っています。また、例文4は以ての外であることの意味で表現しています。
「滅相もない」と「とんでもない」どちらを使うか迷った場合は、目上の人に対しては「滅相をない」を、同等や目下の人に対しては「とんでもない」を使うと覚えておきましょう。