似た意味を持つ「視認性」(読み方:しにんせい)と「可読性」(読み方:かどくせい)と「判読性」(読み方:はんどくせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「視認性」と「可読性」と「判読性」という言葉は、読みやすさという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
視認性と可読性と判読性の違い
視認性と可読性と判読性の意味の違い
視認性と可読性と判読性の違いを分かりやすく言うと、視認性は認識のしやすさを表現する時に使い、可読性は文章の読みやすさを表現する時に使い、判読性は誤読のしにくさを表現する時に使うという違いです。
視認性と可読性と判読性の使い方の違い
視認性という言葉は、「文字が潰れていて視認性ゼロだ」「より視認性の高さを上げることで商品の認知度も上がる」などの使い方で、認識のしやすさを意味します。
可読性という言葉は、「全てひらがなで書く場合可読性は下がる」「言葉のレベルを下げることで可読性を高めていく」などの使い方で、文章の読みやすさを意味します。
判読性という言葉は、「紛らわしい漢字を使わないよう判読性を考える」「数字とアルファベットは見た目が似ているものがあるため併用すると判読性が下がる」などの使い方で、読み間違いの少なさを意味します。
視認性と可読性と判読性の使い分け方
白い背景に書かれている灰色の文字より、白い背景に黒い文字で書かれている文字が読みやすいように、視認性は文字の認識のしやすさに関わります。
何行かにわたって太字に設定されている文章より、重要な部分以外は通常の文字の太さに設定されている文章の方が読みやすいように、可読性は文字間隔や文字の太さなど読んでいる時に目で追いやすいかに関わります。
使われている文字が小文字のエルなのかアイなのか、「私は急いで走っていった彼女を見た」と言う文章で急いでいるのが私なのか彼女なのかなど、判読性はこういった文章の内容を理解することに関わってきます。
このように、読みやすさと言ってもこれら視認性、可読性、判読性の三つが全て揃ってようやく読みやすい文字・文章となりうると言えます。このそれぞれの読みやすさの違いが、視認性、可読性、判読性の明確な違いです。
視認性の意味
視認性とは
視認性とは、目で見た時の確認のしやすさを意味しています。
視認性を使った言葉として、「夜間視認性向上装置」「被視認性」があります。
「夜間視認性向上装置」の意味
一つ目の「夜間視認性向上装置」とは、駅に設置されている設備で、車掌が客の乗り降りを終えた後、列車に接近しすぎていないかを確認することができる装置です。
2005年に起きた脱線事故をきっかけに安全性を向上させるため設置されました。夜間運転中は車掌のいる最後尾から最前車両付近の乗り降りの確認がしづらく、実際に乗客が乗り降りしている最中にドアに挟まれることが発生していたために設置されました。
「被視認性」の意味
二つ目の「被視認性」とは、見落とされない可能性を表す言葉です。視認されているということ、見落とされるマイナスイメージではなく逆にプラスのイメージが付与される言葉になります。
表現方法は「視認性の向上」「視認性を高める」「視認性を上げる」
視認性を使った表現として、「視認性の向上」「視認性を高める」「視認性を上げる」「視認性を確保」「視認性が高い」などがあります。デザイン関係だけではなく、自動車関係でも多く使われる言葉です。
視認性の使い方
可読性や判読性との違いは、文字や文章だけではなく目に見えるもの全てに使う言葉であるという点です。そのため、自動車や電車などの走行車両関連でも歩行者や他の車両を認識するといったことも視認性に含まれます。
可読性の意味
可読性とは
可読性とは、文字や文章が読みやすいことを意味しています。
「再可読性」の意味
可読性を使った言葉として、「再可読性」があります。これは、すでに読んだことのある文章を後になって読み返す傾向の度合いを指す言葉です。再可読性が高い場合は読み返す読者が多いと言うことになります。
表現方法は「可読性が低い」「可読性が下がる」「可読性に欠ける」
可読性を使った表現として「可読性が低い」「可読性が下がる」「可読性に欠ける」「可読性を高める」などがあります。文字や文章を声に出したり、心の中で読む際にすらすらと読めるか読めないかの度合いを表す言葉です。
可読性の使い方
可読性を使った表現は、フォントなどのデザイン関係で使われる他、プログラムのコードなどシステム関係でも使われる言葉です。プレゼンテーションが必要になる企業などでも、「パワーポイントの可読性」というように使われている場面は多いと言えます。
判読性の意味
判読性とは
判読性とは、文字や文章の理解のしやすさを意味しています。
表現方法は「判読性が高い」「判読性に優れている」「判読性が低い」
判読性を使った表現として、「判読性が高い」「判読性に優れている」「判読性が低い」があります。
判読性の使い方
ホームページの作成や、手書きの論文およびレポートなどではある程度使われる言葉ですが、視認性や可読性より重視されているポイントではありません。
しかし、一時期女学生たちの間で広まったギャル文字が使われていたり、私たちのくせ字などもあり、アルファベットや数字の区別がつかなくなったりと、判読性も重視されるようになってきたポイントと言えます。
また、国語の授業で習うだろう句読点の挿入部分を考えるといった、作文など文章を記述する練習にて扱われる知識も、判読性に大きく関連しています。
視認性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、認識のしやすさを意味する時などが挙げられます。
例文1や例文3は可読性や判読性という言葉に置き換えて使っても問題はありませんが、例文2は文字ではなく走行車両や歩行者の認識を行うもので、文字や文章ではないため置き換えて使うことはできません。
可読性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、文字の読みやすさを意味する時などが挙げられます。
どの例文も、何かを認識する行為を超えて理解することを重視しているため、視認性という言葉に置き換えて使うことはできません。
また、例文2は判読性という言葉に置き換えて使うことができますが、例文1は知識量で、例文3は文字の表現方法でそれぞれ読みやすさが左右されることから、誤読のしにくさを表す判読性は置き換えて使うことに適していません。
判読性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、誤読などをしない、意味の伝わりやすさを意味する時などが挙げられます。
どの例文に使われている判読性という言葉も、可読性に置き換えて使うことが出来ますが、視認性は認識ができるかできないかの違いを意味するため置き換えることはできません。
視認性と可読性と判読性どれを使うか迷った場合は、認識のしやすさを表す場合は「視認性」を、読みやすさを表す場合は「可読性」を、誤読の少なさや理解のしやすさを表す場合は「判読性」を使うと覚えておけば間違いありません。