同じ「ちょうしゅう」という読み方の「徴収」と「徴集」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「徴収」と「徴集」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
徴収と徴集の違い
徴収と徴集の意味の違い
徴収と徴集の違いを分かりやすく言うと、徴収とはお金を集める時に使い、徴集とはお金だけでなく人や物を集める時に使うという違いです。
徴収と徴集の使い方の違い
一つ目の徴収を使った分かりやすい例としては、「老人福祉法に基づいた費用の徴収です」「クラブの会費は月末に徴収される」「源泉徴収について顧問の会計士に確認した」「国税徴収法基本通達の全文改正があった」などがあります。
二つ目の徴集を使った分かりやすい例としては、「血気溢れる徴集兵が多い部隊であった」「徴兵令により全国で徴集が始まった」「クラス全員に徴集をかける」「明日の朝一番で報告書を徴集します」「メンバーを徴集して話を聞いた」などがあります。
徴収と徴集の使い分け方
徴収と徴集という言葉は、どちらも「ちょうしゅう」と読み、字面も似ていますが、意味や使い方は異なります。徴収とは金銭などを取り立てることや、国が税金などを取り立てることを意味し、徴集とは人を強制的に呼び集めたり、金銭や物品を取り立てたりすることを意味します。
二つの言葉には「金銭を取り立てること」という共通する意味があります。上記の例文の「会費は月末に徴収される」は「会費は月末に徴集される」に置き換えることができます。しかし、「全員に徴集をかける」を「全員に徴収をかける」と置き換えることはできません。
つまり、徴収はもっぱらお金を集めることに関して使われ、徴集はお金だけでなく人や物を集めることに関して使われます。これが、徴収と徴集という言葉の違いになります。
徴収と徴集の英語表記の違い
徴収を英語にすると「collection」「imposition」「levying」となり、例えば上記の「費用の徴収」を英語にすると「collection of costs」となります。
一方、徴集を英語にすると「enlistment」「recruitment」「conscript」となり、例えば上記の「徴集兵」を英語にすると「conscript soldier」となります。
徴収の意味
徴収とは
徴収とは、金銭などを取り立てることを意味しています。
その他にも、国または公共団体が国民から租税・手数料・現品などを強制的に取り立てることの意味も持っています。
表現方法は「徴収する」「徴収します」「徴収させていただきます」
「徴収する」「徴収します」「徴収させていただきます」などが、徴収を使った一般的な言い回しです。
徴収の使い方
「会費を徴収する係になった」「イベントの参加費は当日徴収することにした」「飲み会の案内文には会費徴収について書き忘れてしまった」などの文中で使われている徴収は、「金銭などを取り立てること」の意味で使われています。
一方、「収入が減ったので納税の徴収猶予特例制度を利用する」「所得税徴収高計算書を作成する」「国税徴収法の改正が検討されている」などの文中で使われている徴収は、「国または公共団体が国民から租税などを取り立てること」の意味で使われています。
徴収という言葉は、上記の例文にあるように二つの意味がありますが、どちらも金銭を集めることを表しています。徴収という言葉の「徴」とは取り立てることや求めることを表し、「収」とは 手に入る金銭や取り高などを表します。
徴収は目上の方に使うと失礼
徴収はお金を集めることの意味で使われる言葉ですが、「徴」には取り立ての意があるので、目上の方に使うと失礼に思われることがあります。「会費を徴収します」よりは、「会費を集めます」「会費を集めさせていただきます」と表現する方が良いでしょう。
「源泉徴収」の意味
徴収という言葉を用いた日本語には「源泉徴収」があります。税金に関する用語であり、給与や報酬等の支払者が、それらを支払う際に所得税等の税金を差し引き、それを国等に納付する制度のことです。源泉徴収された税金は源泉徴収税と言います。
徴収の対義語
徴収の対義語・反対語としては、品物や金銭を納めることを意味する「納入」、納めるべきものをすべて納めることを意味する「全納」、何回かに分けて納めることを意味する「分納」などがあります。
徴収の類語
徴収の類語・類義語としては、取り上げて使うことを意味する「収用」、税金を取り立てることや租税を徴収することを意味する「徴税」、受け取るべき金銭を集めることを意味する「集金」などがあります。
徴集の意味
徴集とは
徴集とは、人を強制的に呼び集めたり、金銭・物品を取り立てたりすることを意味しています。
その他にも、兵役制度で強制的に現役または補充役に編入することの意味も持っています。
徴集の使い方
「式典には社員全員に徴集をかけた」「見積書を徴集し比較する」「保育料は銀行引き落としで徴集させていただきます」「戦時中、鉄は強制的に徴集された」などの文中で使われている徴集は、「人を呼び集めたり、金銭や物品を取り立てること」の意味で使われています。
一方、「祖父は徴集兵であった頃の話をしたがらない」「兵役に適任とされる者を徴集していた」「徴集猶予期間が切れる寸前に終戦となった」などの文中で使われている徴集は、「兵役制度で現役または補充役に編入すること」の意味で使われています。
徴集という言葉は、上記の例文のように複数の意味を持っており、国家や個人などが人や物を強制的に集める時に使われています。何か目的があって人を集めたり、物を預かるために集めることを表す場合に使われる表現です。
「徴集兵」の意味
徴集という言葉を用いた日本語には「徴集兵」があり、徴兵制度などによって集められた兵士を意味します。徴兵制度は国家が国民に兵役に服する義務を課す制度であり、徴集兵は強制的に集められる兵士のことです。対義語には、自らの意志で入隊する「志願兵」があります。
「意見を徴集する」「担保の徴集」は誤字
徴集の間違えやすい言い回しには「意見を徴集する」「担保の徴集」があり、これらは正しくは「意見を聴取する」「担保の徴取」です。
徴集の対義語
徴集の対義語・反対語としては、品物を納入することを意味する「納品」、いったん仕入れたまたは買った品物を返すことを意味する「返品」、もとに戻すことや持ち主に返すことを意味する「返還」などがあります。
徴集の類語
徴集の類語・類義語としては、兵士を募集することを意味する「募兵」、国家が国民を徴集して一定期間兵役に就かせることを意味する「徴兵」、呼び出して集めることを意味する「召集」などがあります。
徴収の例文
この言葉がよく使われる場面としては、金銭などを取り立てることや、国家や公共団体が法規に基づいて国民から租税などを取り立てることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「学校徴収金」とは、生徒が自己負担する学校行事の参加費や副教材購入費、PTA会費にあてるものです。例文3にある「会費を回収する」とは、回収する人がお金を立て替えていた場合に使える表現です。
例文5にある「意見を徴収する」は誤り、正しくは「意見を聴取する」であり、意見や事情などを聞く時に使われる表現です。
徴集の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人を呼び集めること、金銭や物を取り立てること、強制的に現役または補充役に編入することを表現したい時などが挙げられます。
例文1では、物を強制的に集めることの意味で徴集という言葉が使われています。例文2にある「意見を徴集する」は誤り、正しくは「意見を聴取する」です。例文5にある「担保の徴取」とは、担保を求めることを意味し、税金に関わる法令などで用いられる表現です。
徴収と徴集という言葉は、どちらも「ちょうしゅう」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、お金を集めることを表現したい時は「徴収」を、お金だけでなく人や物を集めることを表現したい時は「徴集」を使うようにしましょう。