似た意味を持つ「悔恨」(読み方:かいこん)と「後悔」(読み方:こうかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「悔恨」と「後悔」という言葉は、どちらも悔やむことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
悔恨と後悔の違い
悔恨と後悔の意味の違い
悔恨と後悔の違いを分かりやすく言うと、後悔よりも悔恨の方が悔やむ気持ちの程度が大きいという違いです。
悔恨と後悔の使い方の違い
一つ目の悔恨を使った分かりやすい例としては、「過去を振り返って悔恨の念に駆られる」「その加害者は悔恨の涙を流した」「罪悪感と悔恨の情に苛まれる」「私の軽率な言動が騒動を起こしてしまい悔恨の念に堪えません」などがあります。
二つ目の後悔を使った分かりやすい例としては、「転職したものの後悔している」「君を選んだことを後悔なんてしないよ」「後悔先に立たずとはよく言ったものだ」「引退という決断に後悔などあろうはずがありません」などがあります。
悔恨と後悔の使い分け方
悔恨と後悔という言葉は、過ちをおかしたり失敗したことに対して、あとから残念に思う気持ちを意味する言葉ですが、ニュアンスや使い方には違いがあります。
悔恨とは、過ちを後悔し残念がることを意味し、取り返しのつかないことに対して自分のしたことを残念に思うことに対して使われます。一方、後悔とは、自分のしてしまったことを後になって悔やむことを意味し、日常的な事柄に対して使われます。
悔恨と後悔という言葉を比べると、悔恨の方が悔やまれる気持ちの度合いが大きく、悔恨は事故や戦争などの大きな事柄に対して使われる傾向があります。そのため、悔恨はかしこまった場面や文中で限定的に使われていますが、後悔は日常会話でも文中でも使われ汎用性のある言葉と言えるでしょう。
悔恨と後悔の英語表記の違い
悔恨も後悔も英語にすると「regret」「repent」「remorse」となり、例えば上記の「悔恨の念に駆られる」を英語にすると「pursued by remorse」となります。
悔恨の意味
悔恨とは
悔恨とは、過ちを後悔して残念に思うことを意味しています。
悔恨の使い方
悔恨を使った分かりやすい例としては、「リスク管理が甘かったことに悔恨の念が残る」「全員を救出することができず、悔恨の念に堪えない」「敗戦後に悔恨共同体が形成された」「戦争体験の苦しみと悔恨を後世に伝える」などがあります。
その他にも、「彼は自分の過ちで悔恨の情を抱くことになった」「現場の方々の安全を守れなかったことは悔恨の極みです」「苦難と悔恨の日々をこえて前向きに生きる」「免許証を返納していればと悔恨に苛まれる」などがあります。
悔恨という言葉の「悔」は、失敗や過ちを残念に思うことを表します。「恨」は、うらむことの意の他に、くやむことや残念に思うことを表します。悔恨とは、過ちを後悔して残念に思うことであり、取り返しのつかないことに対して、あとからくやしく思う感情を強く表す言葉です。
表現方法は「悔恨の念」「悔恨の情」
悔恨という言葉を用いた言い回しには「悔恨の念」「悔恨の情」があります。どちらも過ちをおかしたことに対して大変残念に思う気持ちであり、「悔恨の念を抱く」「悔恨の念に駆られる」「悔恨の念に堪えない」「悔恨の情を抱く」「悔恨の情に苛まれる」「悔恨の情がわく」などと表現します。
悔恨の類語
悔恨の類語・類義語としては、自分のした事の悪かったことを認めて後悔することを意味する「悔悟」、自分の見苦しさや過ちを反省して心に深く恥じることを意味する「慙愧」、自分で自分の過ちをとがめることを意味する「自責」などがあります。
後悔の意味
後悔とは
後悔とは、自分のしてしまったことを、後になって失敗であったと悔やむことを意味しています。
表現方法は「後悔する」「後悔を乗り越える」「後悔し続ける」
「後悔する」「後悔を乗り越える」「後悔し続ける」などが、後悔を使った一般的な言い回しです。
後悔の使い方
後悔を使った分かりやすい例としては、「会いに行けば良かったと後悔の念に駆られる」「この土地に家を建てたことに後悔の念を抱くようになった」「この試合に出て再起不能になっても後悔なんてしない」などがあります。
その他にも、「あの時の決断が間違っていた、まさに後悔先に立たずだ」「後悔しない生き方なんてあるのだろうか」「自分の軽率な振る舞いを後悔する」「彼女と別れたことをずっと後悔している」などがあります。
後悔という言葉の「後」とは時間的にあとの方を表し、「悔」とは、失敗や過ちを残念に思うことを表します。後悔とは、自分のしてしまったことを、あとになって失敗であったとくやむことを意味し、「ああすれば良かった」「あの時の行動がまずかった」「しなければ良かった」と思うことです。
四字熟語「後悔噬臍」の意味
後悔という言葉を用いた四字熟語には「後悔噬臍」があり、後になって悔やんでも今更どうしようもないことを意味します。「噬」は嚙むこと、「臍」はへそのことであり、自分のへそを嚙もうとしても嚙むことはできないように、後で悔んでもどうにもならないという意を表します。
ことわざ「後悔先に立たず」の意味
後悔という言葉を用いたことわざには「後悔先に立たず」があり、してしまったことは後になってくやんでも取り返しがつかないことを意味します。
ことわざ「後悔後に立たず」はない
「後悔先に立たず」を誤って「後悔後に立たず」と表現することがありますが、そのようなことわざはありません。ただし、「後悔後を絶たず」という表現で、次々と後悔することはあり、後悔がなくなることはないことを意味することがあります。
後悔の類語
後悔の類語・類義語としては、くやしいことを意味する「無念」、心残りであることや残念に思うことを意味する「遺憾」、罪を犯した悪いことをしたと思う気持ちを意味する「罪悪感」などがあります。
悔恨の例文
この言葉がよく使われる場面としては、あやまちを後悔し残念がることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「悔恨の念に駆られる」とは、過ちを後悔しそれを残念に思う気持ちに駆り立てられていて、追いつめられた状態になることを表します。例文2にある「悔恨の情に苛まれる」とは、過ちを後悔して残念に思い、その思いに苦しんでいる様子を表します。
後悔の例文
この言葉がよく使われる場面としては、済んでしまったことや、自分がしてしまったことを後になって悔やむことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「後悔を乗り越える」の「乗り越える」とは、物の上を越えて向こう側へ行くことの他に、困難などを切り抜けて進むことを意味します。後悔を乗り越えるとは、自分がしてしまったことを後悔したうえで、前向きに対処することを表します。
悔恨と後悔という言葉は、どちらも自分の過ちを悔やみ残念がることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、悔しさの程度が大きいさまを表現したい時は「悔恨」を、日常的な悔しさを表現したい時は「後悔」を使うようにしましょう。