同じ「まんをじして」という読み方の「満を辞して」と「満を持して」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「満を辞して」と「満を持して」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「満を辞して」と「満を持して」の違い
「満を辞して」と「満を持して」の意味の違い
「満を辞して」と「満を持して」の違いを分かりやすく言うと、「満を辞して」とは「満を持して」の間違った使い方、「満を持して」とは十分に準備して機会を待つことです。
「満を辞して」は誤字
一般的には「満を辞して」という言葉は存在しません。読み方が似ていることから、「満を持して」のことを間違えて「満を辞して」を使っている人がほとんどです。
「満を持して」は正しい日本語
正しい言葉である「満を持して」を使った分かりやすい例としては、「満を持して挑んだ戦いに見事勝利しました」「彼女はステージ上に満を持して登場しました」「私は満を持して起業しました」「満を持して彼女の小説が発売されました」などがあります。
「満を持して」という言葉はあっても、「満を辞して」という言葉は存在しません。同時に「満を持して」という単語の意味について「十分に準備して機会を待つこと」と覚えておきましょう。
「満を持して」の英語表記
「満を持して」を英語にすると「long-awaited」「be fully prepared」「wait with full preparation」となり、例えば上記の「満を持して彼女の小説が発売されました」を英語にすると「Her long-awaited comic was released」となります。
「満を辞して」の意味
「満を辞して」とは
「満を辞して」とは、「満を持して」の間違った使われ方です。
「満を辞して」という言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。読み方が似ているため、「満を持して」と混同してしまう人が多いようですが、間違った言葉なので使わないように気を付けましょう。
「満を辞して」と間違えやすい理由
「満を辞して」と「満を持して」を間違えてしまう理由としては、「辞して」と「持して」の発音が同じだからです。また、パソコンや携帯の変換で「じして」と入力すると、「辞して」と変換が出てきてしまうのも間違えやすい理由の一つになっています。
その他にも、「万を持して」「満を侍して」などと誤変換するするケースも見られますが、全て間違いになります。正しい日本語は、「満」と「持して」を使った「満を持して」と覚えておきましょう。
「満を辞して」の「辞」を使った正しい日本語
間違った言葉である「満を辞して」の「辞」を使った別の言葉としては、今まで就いてた職を自分から辞めることを意味する「辞職」、勧められたことを遠慮して断ることを意味する「辞退」、就いていた任務や職務を自分から申し出て辞めることを意味する「辞任」などがあります。
「満を持して」の意味
「満を持して」とは
「満を持して」とは、十分に準備して機会を待つことを意味しています。
表現方法は「満を持して登場する」「満を持して放つ」「満を持して挑む」
「満を持して登場する」「満を持して放つ」「満を持して挑む」「満を持して臨む」などが、「満を持して」を使った一般的な言い回しになります。
「満を持して」の使い方
「満を持して」を使った分かりやすい例としては、「有名な映画監督が満を持して放った作品が大ヒットしました」「満を持して登場と宣伝していたが読んでみたらつまらなかったです」「満を持して挑んだ夏の甲子園は1回戦で敗退してしまいました」などがあります。
「満を持して」は準備を十分にして機会を待つことを意味する「満を持する」に接続詞の「して」を付けた言葉です。
「満を持して」は日常生活だけではなく、ビジネスシーンなど様々な場面で使う事ができます。例えば新作映画やゲームが発売される際の宣伝文句や、ビジネスシーンにおいて新商品を発表する時などです。
「満を持して」の語源
「満を持して」の語源は中国の歴史書である「史記」にあります。この史記には持満(読み方:じまん)という言葉が掲載されており、これが「満を持して」の語源です。
「満を持して」の由来
時満とは弓を一杯まで引き絞った状態を保持することを意味しており、これが転じて、いつもでも攻撃できる準備をするという意味で使われるようになりました。さらに時代が経つにつれて意味が変化していき、現代では十分に準備して機会を待つことの意味で使われています。
「満を持して」の類語
「満を持して」の類語・類義語としては、用意怠りなく機会を狙うことを意味する「爪を研ぐ」、物事の緊張や精神の高揚が最高に盛り上がった状態のことを意味する「クライマックス」、ある雰囲気や感情などが最も高まった状態のことを意味する「最高潮」などがあります。
「満を辞して」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、「満を持して」という言葉を間違えて「満を辞して」と表現している時などが挙げられます。
「満を辞して」という言葉は辞書にも載っていませんし、広く使われている言葉ではなく、「満を持して」を間違えて使っている可能性が高いです。
「満を辞して」という言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、「満を辞して」ではなく、「満を持して」と表現するのが正しい使い方になります。
「満を持して」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、十分に準備して機会を待つことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「満を持して」は様々な場面で使うことができます。
「満を辞して」と「満を持して」どちらを使うか迷った場合は、「満を辞して」は辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の「満を持して」を使うようにしましょう。