【そちら】と【あちら】と【こちら】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「そちら」と「あちら」と「こちら」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「そちら」と「あちら」と「こちら」という言葉は、方向や場所などを指し示す代名詞という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「そちら」と「あちら」と「こちら」の違い

「そちら」と「あちら」と「こちら」の意味の違い

「そちら」と「あちら」と「こちら」の違いを分かりやすく言うと、「そちら」は聞き手に近い場所を表現する時に使い、「あちら」は話し手と聞き手から離れた場所を表現する時に使い、「こちら」は話し手に近い場所を表現する時に使うという違いです。

「そちら」と「あちら」と「こちら」の使い方の違い

「そちら」という言葉は、「そちらとしてはどうお考えでしょうか」「そちらの方には行ってはならない」などの使い方で、聞き手に近い方向、場所、物や聞き手側にいる人を意味します。

「あちら」という言葉は、「あちらのお客様からです」「あちらから誰かがやってくる」などの使い方で、話し手や聞き手から離れた方向や物、また離れた場所にいる人を意味します。

「こちら」という言葉は、「こちらが今回の成果です」「こちらからまたお電話差し上げます」などの使い方で、話し手に近い方向、場所、物や話し手側にいる人を意味します。

「そちら」と「あちら」と「こちら」の使い分け方

これら三つの言葉はいわゆる、「こそあど言葉」を丁寧な言い方にしたもので、多くは「こちらへどうぞ」「あちらの方へ進むと目的地が見えてくる」などのように方角や場所に使われています。

また、「あちら」は話し手と聞き手から離れた場所を指すのに対して、「こちら」は話し手に近い場所を指すことから、この二つの言葉は対義語・反対語にあたる言葉となります。

一方の「そちら」という言葉は、話し手ではなく聞き手に近い方向を表す言葉です。

その他にも、人や物などにも使われているため、「そちら」は二人称として、「あちら」は三人称として、「こちら」は一人称として使われます。

これらが、「そちら」、「あちら」、「こちら」の明確な違いです。

「そちら」の意味

「そちら」とは

「そちら」とは、聞き手に近い方向や物を意味しています。

その他にも、聞き手自身や聞き手の近くにいる人物を示す場合の代名詞としても使われ、相手自身ではない第三者を示す場合は「その人」や「その方」などの表現に置き換えて使うことができます。

表現方法は「そちらに伺います」「そちらのご都合に合わせます」「そちらはどうですか」

「そちらに伺います」「そちらのご都合に合わせます」「そちらはどうですか」などが、「そちら」を使った一般的な言い回しです。

「そちら」の敬語表現は「そちら様」

「そちら」という表現も丁寧な言葉として使われていますが、目上の人や客に対して敬意を払う時に使う言葉は「そちら様」という言い方になります。

「そちら」の漢字表記は「其方」

「そちら」は漢字表記をすると「其方」という表記になり、くだけた言い方をすると「そっち」や「それ」という言い方になります。

「其方退け」の意味

「其方」と使った言葉に、構わずに放っておくことを意味する「其方退け」がありますが、「そっちのけ」という読み方をして、「そちらのけ」という読み方はなされません。

「其方此方」の意味

「そちら」を使った言葉として、様々な場所や大体を意味する「其方此方」があります。これは、「そちらこちら」という読み方をします。

「あちら」の意味

「あちら」とは

「あちら」とは、話し手や聞き手から離れた方向や物を意味しています。

その他にも、話し手や聞き手でもない、離れた場所にいる第三者を示す場合の代名詞としても使われ、「あの人」や「あの方」などの表現に置き換えて使うことができます。

表現方法は「あちらのお客様からです」「あちらにあります」「あちらからお取りください」

「あちらのお客様からです」「あちらにあります」「あちらからお取りください」などが、「あちら」を使った一般的な言い回しです。

「あちら」の敬語表現は「あちら様」

「あちら」という表現も丁寧な言葉として使われていますが、目上の人や客に対して敬意を払う時に使う言葉は「あちら様」を使います。

「あちら」の漢字表記は「彼方」

「あちら」は漢字表記をすると「彼方」という表記になり、くだけた言い方をすると「あっち」や「あれ」という言い方になります。

「彼方立てれた此方が立たぬ」の意味

「あちら」を使った言葉として、「彼方立てれた此方が立たぬ」(読み方:あちらたてればこちらがたたぬ)があります。

これは、一方に良いようにすれば他方には悪くなるため、両方に対して良いことが同時にできない様子を意味する言葉です。

「こちら」の意味

「こちら」とは

「こちら」とは、話し手に近い方向や物を意味しています。

その他にも、話し手自身や話し手の近くにいる人物を示す場合の代名詞としても使われ、自分自身ではない第三者を示す場合は「この人」や「この方」などの表現に置き換えて使うことができます。

表現方法は「こちらです」「こちらからは以上です」「こちらになります」

「こちらです」「こちらからは以上です」「こちらになります」などが、「こちら」を使った一般的な言い回しです。

「こちら」の敬語表現は「こちら様」

「こちら」という表現も丁寧な言葉として使われていますが、目上の人や客に対して敬意を払う時に使う言葉は「こちら様」を使います。

「こちら」の漢字表記は「此方」

「こちら」は漢字表記をすると「此方」という表記になり、くだけた言い方をすると「こっち」や「これ」という言い方になります。

「此方彼方」の意味

「此方」と使った言葉に、こちらとあちらを意味する「此方彼方」がありますが、「こなたかなた」という読み方をして、「こちらかなた」や「こちらあちら」という読み方はなされません。

「彼方此方」の意味

ただし、「こちら」を使った言葉として、いろいろな場所や方向を指す「彼方此方」があります。これは「あちらこちら」という読み方をします。

「こちら」の類語

「こちら」の類語・類義語としては、自分の属している方を指す「当方」(読み方:とうほう)があります。

「そちら」の例文

1.そちらは今どのような状況ですかと上司に電話で問われたため、事細かに説明した。
2.今すぐそちらに人を向かわせますと迅速な対応をしてくれた保険会社に頭が上がらない。
3.そちら様のご都合よろしい時間にまたご対応頂ければ幸いです。
4.そちらに見えます建物はおよそ200年前に建てられた歴史的建造物でございます。
5.そちらの角を右に曲がっていただき、20メートルほど道なりに歩いていただくと、左手にハート型のモニュメントがあります、その奥のビルが国際センターです。
6.友人が何かを抱えながら道端でそちらこちらを見渡してコソコソしているので、気になって話しかけるととても驚いた様子であった。
7.そちらの方はどなたと聞くと友人は「何を言っているの、ほら、3組の裕子だよ」と言い、あまりの変わりようにびっくりしてしまった。
8.ミーティングはいつがいいかと聞くと相手から、そちらの都合に合わせますと言われたので、明日の午後2時に小会議室でということになった。

この言葉がよく使われる場面としては、聞き手に近い方向や物を意味する時などが挙げられます。

例文3の「そちら様」は相手に対して敬意を表す時に使う敬語表現です。

「あちら」の例文

1.本日お買い上げ頂いた金額に応じてあちらで福引を行うことができますと案内された。
2.あちらにいらっしゃるのは私の恩師で、今回の式典でのスピーチを快く引き受けてくださった方です。
3.あちらは今回新店舗のオープンのために皆さんが送ってくださったお祝い品です。
4.先日、私の家の近所でボヤ騒ぎがあったが、平日の昼間だというのにあちらこちらから人が出てきて、いつの間にか小さな人だかりとなっていたことが、とても印象的だった。
5.バーテンダーからあちらのお客様からですと言われ、視線を異動させると中年の男性が会釈してきたのでとりあえず会釈して返した。
6.スタッフにあちらにいらっしゃるのはもしかして鈴木教授ですかと聞くと、確かに鈴木教授ですが双子の弟の方ですと言われ驚いたのだった。
7.あちらにあるビルの屋上に誰かが立っているのように見えたが、たしかあのビルは空きビルでもう誰もいないはずだと自身の目を疑った。
8.スタッフにこの会社のパンフレットはどこにあるのかと聞くと、あちらのブースからお取りくださいといって誘導された。

この言葉がよく使われる場面としては、話し手や聞き手から離れた方向や物を意味する時などが挙げられます。

例文2の「あちらにいらっしゃる」は「あちら様」や「あのお方」、「あちらのお方」などの言い方に置き換えて使うことができます。

「こちら」の例文

1.当日何かわからないことがありましたら、こちらに記載されている番号にお電話頂けたらと思います。
2.こちらとしては一刻も早い解決と事態の収束を願ってやまないため、誰かと協力させてもらえるのは有難い話だった。
3.詳しくはこちらのリンク先をご確認くださいと、アパレルショップからのセール情報に関するメールが送られてきた。
4.申請の際には、こちらの申込用紙の太枠の部分にボールペンで必要事項を記入していただき、ご本人さま確認書類をご持参の上、所定の窓口までお越しください。
5.本来ならこちらから伺わなければならないところを、わざわざそちら様から来ていただいてたいへん恐縮しております。
6.当時どの車にしようか迷っていて、ディーラーの人からこちらはどうですかと薦めてくれたのが、わたしの長年の愛車になる車だったというわけだ。
7.お会計はこちらになりますと値段を見せられると、思っていたよりも桁数がひとつ多いことに気が付き、わたしは一気に顔が青ざめた。
8.遅れてお店につくと、店員さんが予約していたわたしたちに気づいてくれてどうぞこちらへ案内してくれたので、席を迷わずに済んだ。

この言葉がよく使われる場面としては、話し手に近い方向や物を意味する時などが挙げられます。

例文2の「こちら」は「当方」や「私」などの一人称として使われる言葉に置き換えて使うことができます。

「そちら」と「あちら」と「こちら」どれを使うか迷った場合は、聞き手に近い場所を表す場合は「そちら」を、話し手と聞き手から離れた場所を表す場合は「あちら」を、話し手に近い場所を表す場合は「こちら」を使うと覚えておけば間違いありません。

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