似た意味を持つ「指数」(読み方:しすう)と「指標」(読み方:しひょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「指数」と「指標」という言葉は、どちらも統計で用いられる数値を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
指数と指標の違い
指数と指標の意味の違い
指数と指標の違いを分かりやすく言うと、指数とは変動を示す数値、指標とは物事を判断する目印という違いです。
指数と指標の使い方の違い
一つ目の指数を使った分かりやすい例としては、「消費者物価指数は三ヵ月連続で下落している」「株価指数をニュースサイトでチェックする」「老年人口指数は上昇する一方です」「指数関数のグラフや方程式の計算問題を解説します」などがあります。
二つ目の指標を使った分かりやすい例としては、「仕事柄、経済指標カレンダーを毎日確認しています」「ストレスの指標となるアンケートです」「福祉支援事業の指標化に向けて検討する」「環境指標生物の生態調査に携わる」などがあります。
指数と指標の使い分け方
指数と指標という言葉は、どちらも物価や経済状況を示す統計で用いられる言葉ですが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
指数とは、「生産指数」「株価指数」のように使われ、何らかの基準数値に基づいた比率値のことです。統計用語として、ある状態から他の状態へ移ったときの数量の相対的増減を測定するための数値のことです。
指標とは、「経済指標」「景気指標」のように使われ、物事を判断したり評価したりするための目印となるものを意味します。「景気指標」とは、過去の景気変動過程を指し示し、将来の景気変動を予測する手がかりとなる統計的な数字のことです。
つまり、指数とは増減を把握するための数値であり、指標とは物事を判断する目印や数値であるという違いがあります。
指数と指標の英語表記の違い
指数も指標も英語にすると「index」「index number」となり、例えば上記の「物価指数」を英語にすると「the index number of prices」となります。
指数の意味
指数とは
指数とは、ある数や文字の右肩に記して、それを何度掛け合わせるかを示す数字を意味しています。
その他にも、統計における物価・賃金・生産高など同種のものの時間的変動を示す数値の意味も持っています。
表現方法は「指数を求める」「指数をとる」「指数が大きい」
「指数を求める」「指数をとる」「指数が大きい」などが、指数を使った一般的な言い回しです。
指数の使い方
「指数関数を計算しグラフに表す」「指数関数の微分公式を説明します」「明日は指数関数の積分についてテストします」「感染者は指数関数的に増加している」などの文中で使われている指数は、「何度掛け合わせるかを示す数字」の意味で使われています。
一方、「コメの作況指数が101以上になりそうです」「実質賃金指数もダウンし続けている」「暑さ指数によると明日は辛そうだ」「消費者物価指数とインフレ率の推移を照らし合わせる」などの文中で使われている指数は、「物価や賃金などの時間的変動を示す数値」の意味で使われています。
指数とは、数学用語と統計用語の二つの意味があります。数学用語としては、文字や数を何度掛けるか、または何度割るかを表した数の右上に小さく記す文字や数を意味します。統計用語としては、物価など変動するものの目印となる数字のことで、基準となる値を100とし百分比によって表します。
「感染者は指数関数的に増加している」の意味
上記の例文の「感染者は指数関数的に増加している」とは、感染症に感染している人の数が急激に増えていることを表しています。「指数関数的」の意味は、飛躍的に増加する指数関数のように、急激に増加したり発展することです。
「物価指数」の意味
指数という言葉を用いた日本語には「物価指数」があります。消費者が購入する商品やサービス価格を総合した物価指数である「消費者物価指数」、企業間で取引される商品の価格を反映した物価指数である「企業物価指数」などがあります。
指数の類語
指数の類語・類義語としては、参考となる基本的な方針を意味する「指針」、物事の基礎となるよりどころを意味する「基準」、指数や指標を意味する「インデックス」などがあります。
指標の意味
指標とは
指標とは、物事を判断したり評価したりするための目印となるものを意味しています。
その他にも、「計算尺で固定尺の上を左右へ移動させて目盛りを読む付属具」「数学における正数の常用対数を整数と正の小数との和として表すときの整数部分」の意味も持っています。
表現方法は「指標を作る」「指標になる」「欠かせない指標」
「指標を作る」「指標になる」「欠かせない指標」などが、指標を使った一般的な言い回しです。
指標の使い方
「サワガニは水質を反映する指標生物です」「株取引のために経済指標カレンダーをチェックする」「英語力を測る指標のひとつにTOEICがあります」などの文中で使われている指標は、「物事を判断したりするための目じるしとなるもの」の意味で使われています。
一方、「指標が付いている測量定規を買った」の文中にある指標は、「固定尺の上を移動させて目盛りを読む付属具」の意味で、「指標表の対称操作の前にある数を答えなさい」の文中にある指標は「正数の常用対数を整数と正の小数との和として表すときの整数部分」の意味で使われています。
指数とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「物事を判断したり評価したりするための目印となるもの」の意味で用いられています。
「指標生物」の意味
上記の例文にある「指標生物」とは、「指標種」とも言われ、特定の環境条件を成育に必要とする生物を指していう言葉です。環境条件や環境汚染の程度を知るめやすになります。この方法の事を「生物指標」と言いいます。
「経済指標」の意味
指標という言葉を用いた日本語には「経済指標」があります。経済活動の状態を知る手がかりとなる統計的な数字のことであり、具体的には、生産指数、日銀券発行高、物価指数、株価指数などを指します。
指標の類語
指標の類語・類義語としては、実現や達成をめざす水準を意味する「目標」、測量器などで左右に滑らせて目盛りを読み取る小板を意味する「カーソル」、主尺の一目盛り以下の端数を読み取るための補助尺を意味する「遊標」などがあります。
指数の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何度掛け合わせるかを示す数字、基準値を100として他の値を比率で表した数値を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「指数法則」とは、自然現象に対して成り立つ法則で、累乗の関係式のことです。例文5の「株価指数」とは、株式の相場の状況を示すために、個々の株価を一定の計算方法で総合し数値化したものです。
指標の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を指し示す目印となるもの、常用対数の整数の部分を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「指標値」とは、連続する数値や物事の相対的な変化を把握するために、ある時点の基準を100としたときの現在の値のことです。例文5の「指標表」とは、抽象代数学の一分野であり、与えられた群について、その全ての既約表現の指標を表にまとめたものです。
指数と指標という言葉は、どちらも統計で用いられる数値を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、増減を把握するための数値を表現したい時は「指数」を、物事を判断するための目印を表現したい時は「指標」を使うようにしましょう。